ディスタン公爵は有無を言わせない
いつもありがとうございます、読みにくくてすみません。
ドランバレン邸
ヴラーヴェはシャルマン王太子殿下から預かった招待状を、ドランバレン侯爵に託した。
「ドランバレン侯爵いかがでしたか、リヨン様はなんと。」
ドランバレン侯爵の表情からして、リヨン様はお茶会を断ったのだろう。
「ディスタン公爵、折角足を運んで頂いたのだが、娘は体調が優れないと言っています。シャルマン王太子殿下からのご招待ですが、お茶会の席で粗相があってはいけません、今回もご辞退いたします。」
やはりそう来たか。
「そうですか、ですがこの茶会はリヨン様の快気祝いも兼ねています。それにリヨン様は、シャルマン王太子殿下の記念すべき11歳の誕生日にご出席出来ませんでしたし。」
そうわが国、ボヌールロワイヨ王国の王太子は代々11歳の誕生日に王太子妃候補を選らび、その中からひとり妃を決めなければならない。
妃となった方は、用意が整い次第王室に上がりお妃教育を受ける。
だが今のシャルマン王太子殿下には、妃候補の方がひとりもいない。
いや敢えてあの方は選んでいない。もうすでに決めている方がいるのだ、それがリヨン様なのだ。
今回は是非とも、リヨン様に出席して頂けなければならんのだ。
普通親なら、娘が王太子妃になるかもしれないとなれば、シャルマン殿下のお誘は嬉しいに決まっている。未来の王妃になるのだから。
なのにこの侯爵は、「はい」とか「賜りました」とか嬉しそうにはしない。
変わった侯爵だ。
侯爵は、隣に座っていた奥方のヨアンナ様に言付け、ヨアンナ様は「失礼いたします。」と淑女の礼をして後にした。
暫くすると、ノックの音がし「侯爵がはいりなさい」と招き入れた。
そこにはヨアンナ様とリヨン様が入らした。
私は、リヨン様に目が離せなかった。
何と言う美しさだ。
輝くような陶磁器の肌、艶やかなゴールドとシルバーの美しいグラデーション。ふっくら艶付いたローズ色の唇、それになんとも言えない瞳色の猫目が私を見ている。
絶世の美少女だ。
シャルマン殿下が、是非手に入れたいのは良く分かる。
この令嬢が居たら、他の令嬢は霞んでしまうな。
普通にしていてこの美しさ、そりゃ殿下も他の令嬢何て目に入らないのが良く分かる。
「リヨン、ディスタン公爵にご挨拶を。」
リヨン様は私を見てほんわりと微笑んで
「初めまして、ディスタン公爵様。アンドリュー・ドランバレンが息女リヨン・ドランバレンでございます。」
ふわりとドレスを軽くつまみ淑女の礼をされた。
その所作も「美しい」 思わず声が出てしまった。
私はゴボンと咳払いで誤魔化し、立ち上がる。
「リヨン様良くお越し頂けました。私はシャルマン王太子殿下付の近衛兵隊長 ヴラーヴェ・ディスタンです、お見知りおきを。」
再びソファーへ腰掛け、リヨン様にも勧める。
「リヨン様もご存知の通り、明後日に開かれるシャルマン殿下のお茶会に参席して頂きたい。」
有無を言わせない台詞に、リヨン様は困り顔をされたが、ヨアンナ様からの後押しもあり、出席を了承して頂けた。
これで、安心して城に戻れる。
「リヨン様に了承して頂き、安心致しました。早速城に戻り、シャルマン殿下にご報告いたします。」
私は、失礼いたします。と騎士の礼をして、ドランバレン侯爵邸を後にした。