リヨンが好き過ぎて困っている
「リヨン可愛かったなぁ~」
どうもひとりでいるとリヨンの事を考えてしまう。
あの後、無事に親元に帰した。
リヨンの父は宰相であるアンドリュー・ドランバレン侯爵だった。
リヨンは、ドランバレン侯爵の息女、リヨン・ドランバレンだった。リヨンは上級貴族、結婚には何の障害もなかった。
問題は、リヨンが俺を好きになってくれるかだ。出会いは良かったが、リヨンは王太子主催のお茶会や誕生日にも出席しない事だった。
毎年、毎年、今年こそはと願っていても、体調が悪いだのでやんわり断られいる。
11歳の誕生日今年こそはと期待をしても、リヨンには会うことが出来なかった。
それは、原因不明の高熱で死の淵をさ迷っていたとの事。
だが突然熱が下がり、死の淵から帰ってきたのだ。医師も不思議だと言っていた。
元気になったリヨンに会いたく、誕生日パーティーに出席出来なかった変わりにお茶会にでも参加して欲しかった。
リヨンは俺より一つ下の10歳、あの時よりずっと女の子らしくなっているはず。
俺は、近くにいる侍女に
「近衛兵隊長のヴラーヴェを呼んでくれ。」
侍女は「畏まりました」と言い部屋を出ていった。
暫くしてヴラーヴェがやって来た。
「失礼いたします。王太子殿下お呼びとの事で参上いたしました。」
ヴラーヴェは俺付の護衛だ。
近衛隊長のヴラーヴェ・ディスタン24歳。
ヴラーヴェは信頼のおける者で、勇敢で、この国ボヌールロワイヨム 一番の剣の使い手である。
漆黒の髪に瞳を持った、男らしい系のイケメン。
「ヴラーヴェに頼みがある、この手紙をリヨン・ドランバレンに渡して欲しい。内容は茶会への招待だ、返事を直接貰って来るように。出来れば是非参加して欲しい、是非にだ、分かったな。」
ヴラーヴェは真顔で「御意」と返事し、手紙を預かった。
ヴラーヴェに任せれば大丈夫だろう、とは思う。
リヨンは、何処のパーティーにも参加しないからなぁ~、無理やりとかしたら嫌われるかなぁ~。
あーーーーでも、リヨンに会いたい。
ヴラーヴェが、上手くやってくれと祈るばかりだ。