26 デコボコパーティ
「とりあえずよ、銀髪嬢ちゃん。お前さんの伝手に訊いてきたらどうだ?」
「……分かった。二人とも待っててね。後、おじさん達、二人に手出ししたら承知しないからね」
「おいおい、おじさんもかよ……」
「……おじさん、スケベなんでしょ?」
ジトっと見てしれっとおっさんが言った事を突きつける。
「あっちゃーっ!! いらねぇ事言うんじゃなかったぜ」
顔に手を当て首を横に振るおっさんを横目に、俺はバトソンがいる道具屋へと走っていった。
「さて、さっきから黙りっぱなしの当事者さん達はどうしたい?」
リリアが居ぬ間に、少しばかりリュッカ達の意思確認を行う。
「私達は……」
二人して腕を組み悩む。自分達のせいでこんなにも沢山の人達に迷惑をかけてしまった。
あの時、大丈夫だからと詫びも入れずに宿へ向かってしまわなければ、問題にならずに済んだのではないかと。
とはいえ、王都の学園に行けないではそれはそれで困る。せっかく合格して親にも見送ってもらったというのに、顔向け出来ない。
情けない気持ちでいっぱいになったのか、表情が暗い。
リュッカが依頼したパーティに向き頭を下げた。
「本当にごめんなさい。私達がちゃんと事情を話して謝りに行けばこんな事にはならなかったのに……」
アイシアもリュッカの態度を見て頭を下げる。
「ご、ごめんなさい」
謝られた側は一名を除いて同情するように話し始める。
「いえ、こちらこそごめんなさい。そちらの事情も知らずに勝手な事をしようとして。いくら冒険者でも、いや、冒険者だからこそあってはならない事なのに……」
「はっ、謝るのは当然だろ? 依頼者だからって生意気なんだよ」
「――ラッセ! お前って奴は……」
「――うるせぇよ!」
もう一人の丸刈りの人はオロオロと頼りない姿で喧嘩する二人を見て慌てる。流石のザーディアスも呆れる。
「……お前さん達、そんなんで護衛なんて務まるのかねぇ」
くいっと親指でデコボコパーティを指す。
「悪い事は言わねぇ……銀髪嬢ちゃんに賭けな」
苦笑いの二人。するとチリンチリンと鈴の音を鳴らし、扉が開いた。
「あっ……リリアちゃん、バトソンさん」
「ごめん、お待たせ」
「で、嬢ちゃん。首尾はどうなんだ」
「事情は大体リリアちゃんから聞いたよ……」
「あんたは?」
小首を傾げるザーディアスにぺこっとお辞儀をするバトソン。
「リリアちゃんの王都までのお供をしているバトソンと言います」
丁寧に挨拶をした。




