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問おう! 貴方ならこの状況、歓喜しますか? 絶望しますか?  作者: Teko
2章 王都までの旅路 〜残念美少女から普通の美少女になります〜
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18 元冒険者でした

 

「おーいっ。リリアちゃんが来たぞぉー」


 道具屋のおじさんが大きな声で向こうの出入り口に向かって叫ぶ。


「はいはい」


 バタバタと早い足音が聞こえてきた。出入り口からこれまた小太りのおばさんがエプロン姿で出てきた。


 この世界にもエプロンってあるんだ。何故かリリアの母親はつけてなかったしな、無いかと思った。


「あらあらあら、まあまあまあリリアちゃん? リリアちゃんよね。あら〜こんなに可愛いくなっちゃって……」


 ズンズンと歩み寄り抱きついてこようとする。思わず後ずさる。


「は、はい。どうもご無沙汰――」


「ああ〜っ! こんなに可愛いくなっちゃってまぁ」


 ぎゅっーと抱きしめられる。腕の力が凄く、太さもあるため、ホールドされて動けない。


 脱出できないし、苦しい……母親ともアイシアとも違う物理的包容力。


 ぴくぴくと痙攣(けいれん)を始める俺を見て、バトソンさんは止めに入る。


「奥さんっ! リリアちゃんが……」


 青ざめて苦しんでいる俺を見てパッと腕を解く。


「あらあらごめんなさいっ。大丈夫?」


「は、はい、大丈夫……です」


 マジな話、本当に息が出来なかった。


「おいっ。じゃあ飯か?」


「そうね、ちょっと温め直してくるわ」


 会話を聞くに待っててくれてたらしい。優しい人達だ、俺は運がいい。親切な人達ばかりだ。


「すみません、私達が遅れたばかりに……」


 申し訳なさそうに謝ると背中をバンッと叩かれる。


「いいのよっ。気にしなくて。さ、ご飯にしましょ」


 母親といい、アイシアといい、この人といい、こちらの女性は積極的かつ力強い人が多いのかな? 比率的に。


 ――案内された部屋にはご馳走が並ぶ。ふわりといい匂いが漂っている。リリアの母親のところではこんなに料理の匂いはしなかった。


 というか温かい食べ物が少なかったような気がする。


「さあさ、お腹空いたでしょ。たーんとお食べ」


「ほれ座りな、リリアちゃん。おめーさんもな」


「……すみません、お世話になります」


「お行儀がいい子に育ったんだね」


「おう! あのおてんば娘が育てたにしちゃあ、立派に育ったじゃねえか」


 まるでリリアの母親を知っているような口ぶり。


「あの母の事、ご存知なんですか?」


「おうとも。話した事無かったか? おめーの母ちゃんは元冒険者だ。よくウチに買い出しに来ては山に登って迷宮(ダンジョン)に潜ってたっけなぁ」


 あの人、元は冒険者だったんだ。どうりでガサツだが姉御肌感があったんだ。


 でも、そしたらどうしてあんなひ弱そうな旦那と結婚したんだ? 気にはなったが、聞くのも野暮だと思ったので、聞かない事にした。


 きっと色々あったんだろう、人生何があるかわかったもんじゃないし。

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