24 ドラゴンの力
アイシアは四人に、自分に支給されていたマジックポーションを投げ渡す。
そして任せてと言わんばかりのドヤ顔グッドサインをしたかと思うと、
「エメラルドちゃんはウィンティスを、ホワイトちゃんとノワール君はドクターを止めるよ。残りの子達は、この鳥さん達をやっつけて!」
「「「はっ!」」」
するとホワイト達三人は擬人化し、指示された通りに行動を開始する。
無数のドラゴン達は、魔鳥の群れなど恐れることはなく、果敢に立ち向かう。
バザガジールには遅れをとった西大陸のドラゴン達だが、元来ドラゴンは魔物の中でも最強種にあたる。
いくら悪魔が召喚した魔物とはいえ、鳥型の魔物に遅れを取ることはない。
「す、凄え……」
その勇ましくも獰猛に戦う姿には目を奪われるものがあるようで、龍操士達も呆気に取られる。
「おい! ぼーっとするな! 俺達もやれることをやるぞ」
マジックポーションを貰い、やれるはずだと豪語するレオンだが、
「いや、逆に邪魔しない方がいいだろ?」
「そうだよ、レオン。私達の任務はあくまで彼女らを送り届けることだよ」
ヴィとネイを連れて来た二人は、状況と立場を説明した。
「しかし……」
それでは前と同じだろうと、歯を食いしばるレオン。
龍の里でアイシアと自分が違う世界にいることを思い知らせたはずだと。
あれから戦闘力に関しては、あまり変わらないものの、やはり自分にはエヴォルドと飛ぶ、この飛行技術しか伸ばすことはできなかった。
そんな中でもアイシアは同行を許してくれた。
その信頼に応える必要がある。
そんな悔しそうにアイシアを見つけるレオンを見ていたハイドラスは、
「そうだな。まだやれることはある」
「「「!」」」
「レオン。私は光属性持ちだが、宙に浮くことはできん。肉体型だからな……」
それを聞いたレオンは、ふとウィンティスを見た――。
「このトカゲ風情がぁ!!」
「トカゲか……いいだろう、ならばそのトカゲに殺されるといい!」
エメラルドとウィンティスが衝突している。
暴風が荒れ狂うせいか、あたりにいるドラゴンや魔鳥達も時折風の流れに巻き込まれている。
「なるほど……あそこに突っ込めか。中々スパルタな王子様だ」
「だがそれ以外に、役目は無さそうだろ?」
魔鳥達はドラゴン達で事足りていた。
そして――、
「ぜえああああっ!!!!」
「はああああっ!!!!」
ドクターの網のような岩の防壁には、更に魔力壁が張られていたようで、ホワイトとノワールは力の限り、拳を乱打する。
「ホワイトちゃん、ノワール君。いける?」
「お任せ下さい、アイシア様!」
「我々ドラゴンの力、存分に――」
「アアアアアアッ!!」
するとそのノワール達を挟みこもうとするように、石柱が次々と襲いくる。
二人はアイシアと共にその石柱から逃げ回る。
「ポチ! 頑張って!」
「ガアウッ!」
ゴーレムの中だというのに、縦横無尽に飛び回ることが可能なのが幸いしてか、ドクターの攻撃が当たることがない。
すると回避して飛んでいたノワールが龍の姿へと戻ると、その巨体を活かした突進をかける。
「ぬうん!」
黒龍は他の龍種とはスペックが上位に存在している。
恵まれた肉体、保有する魔力、赤龍顔負けの龍の息吹など、ドラゴンの最高峰とも呼ばれている。
なのでプライドが高い者も多いが、ノワールのような忠義を尽くすタイプは珍しい。
だがそのノワールの突進や龍の息吹でもびくともしない。
「ノワール! どけ! ――エンシェント・ブレス!」
ホワイトも龍の姿になり、ドクターを攻撃。
聖龍もまた黒龍同様、他の龍種よりも優れている。
黒龍とは違い、どちらかと言えば、魔法や息吹専門となる。
身体の龍の姿や人の姿は、魔法のセンスがある影響もあり変幻自在。
特にドラゴンの姿は小型から大型にまでなれるが、基本、負担の少ない小型の姿がほとんど。
そんな補助魔法も使える強力な聖龍の息吹も特殊なもので、通常の龍の息吹とは異なる威力を発揮する。
しかし、そのエンシェント・ブレスですら、歯が立たず、ドクターの障壁は破れないでいる。
「ポチっ!」
「――ガアッ!!」
ポチの龍の息吹も、ホワイトと混じるように攻撃。
赤龍は、攻撃力に秀でた龍種で、特に龍の息吹は育ち方によっては黒龍や聖龍よりも凄まじいものを放てる。
実際、ポチは龍の神子の血を継ぐアイシアの赤龍。その龍の息吹の威力は凄まじい。
その中にノワールも龍の息吹。
さすがにドクターの魔法障壁にも影響が出始めたようで、
「オオオオオオッ!!」
「うおっ!?」
「ぐっ!?」
「ガウッ!?」
石柱攻撃が激しくなり、アイシア達を集中砲火する。
それを良しとしないウィンティスは、
「おい! こちらの補助にも回らない――」
「させるものか!」
同じ風属性持ち同士、一歩も譲らない戦いが続く。
ウィンティスからすれば、デス・フェンリル内を自在に操り、攻撃できるドクターは大きなアドバンテージになるはずなのだが、暴走している影響もあって言うことを聞かない。
ドクター側も激しいドラゴン達の攻撃で防戦一方なのだとわかりつつも、
「くそっ! あの無能があっ!!」
ウィンティスが怒りを露わにする中、一人の龍操士と王子がこちらへ飛んでいく。
「人のせいにするとは、さすが悪魔。見事な無能ぶりだ!」
通りすがりにハイドラスの光の剣の一閃が入る。
「――ぐぶっ!?」
細いウィンティスの身体を斬り、血が流れていく。
それを見たウィンティスは、わなわなと身を震わせる。
「お、おおお……おのれおのれおのれえっ!!!!」
悪魔ウィンティスにとって、クルシア以外の人間は下等生物。
しかも速さに自信があることも影響して、誇りを汚されたと激怒する。
「そんな不意打ち程度で図に乗るなよっ! 虫けらがあっ!!」
ウィンティスの動きを予想することなど容易だった。
ハイドラス達の背後に瞬時に回ったウィンティスの顔面に拳が打ち込まれる。
「――!?」
「貴様こそ図に乗るなっ!!」
「ナイスだ」
「援護します」
そう言うとレオン達とエメラルドが共闘して、ウィンティスに立ち向かう。
確かに龍操士とウィンティスの機動力の差は大きい。
エヴォルドは二人も乗せて飛んでいる挙句、ウィンティスのように自在に融通は効かない。
だが擬人化したエメラルドが補助するかたちが取られれば、その問題は解決する。
しかもウィンティスに関しては、プライドが傷付けられたことと、思い通りに動かないドクターに腹を立て、冷静でない状況。
ウィンティスに対し、決定打のあまり無いエメラルドにとっては、光属性という天敵を味方につけられることは大きい。
「おのれおのれぇ……こんなはずでは……っ!!」
レオンの飛行技術の隙を埋めるようにサポートしながら戦うエメラルド。
そのサポートを全面に受けて、とにかく攻め気の姿勢で突っ込むレオン、エヴォルド、ハイドラスの猛攻に、ウィンティスは苦悶の表情。
やはり光属性の攻撃は厳しいらしく、嫌そうに回避するが、
「むおっ!?」
「虫けらと呼び捨てるものの攻撃に、そんなに怖がるなよ!!」
風でバランスを崩されたウィンティスに、光の剣が振り下ろされる。
「――ぐぎゃああっ!?」
その一閃はウィンティスの右手首を切断。
「おのれぇ!! このワタクシにここまでの深手を……」
「黙れ。何様のつもりか知らんが、人間とドラゴンを舐め過ぎだ」
「ぐっ、くう……」
ウィンティスは悪魔のプライドのせいか、他をかなり見下す傾向にあり、ハイドラスのこの挑発とも取れる言葉には、虫唾が走る様子を見せる。
「そうだ! 貴様の主人のしようとしていることは、我らが同胞の住処を奪うこと。そして何より、我らが恩人であり、主人であるアイシア様の故郷すら踏み躙ろうという始末! このエメラルド、断じて貴様らを許さん!」
「黙れ黙れ黙れっ!! 奪う? 踏み躙る? そんなことは悪魔であるワタクシ達からすれば、素晴らしきことよ! 悲鳴や絶望はワタクシ達の糧となる……感謝してほしいですね!」
純粋な悪魔であると公言することから、反省は無理だと判断できた。
敵対することは必然だったとも言える。
だからか、迎え討つ構えに迷いなど生まれなかった。
「レオン、頼むぞ」
ハイドラスの剣に魔力が込められていく。回復した魔力のほとんどを使うつもりなのかと思うほどに輝く。
「いくぞっ! エヴォルド!」
それを覚悟と受け止めたレオンは、向かってくるウィンティスに飛んでいく。
ウィンティスは勝利など無いのだと絶望感を味合わせるためか、超高速移動はせず、真正面から来ている。
魔力の撃ち合いをするつもりなのだろう。
ウィンティスは風と闇属性持ち。
確かに闇属性は光属性に弱いが逆も然り。撃ち合いになればハイドラスが敗れる可能性は高い。
「アッハハハハッ!! 死ねええええっ!!」
「――死ぬのはお前だ。外道」
そう呟いた瞬間――、
「――ぐぶっ!?」
レオン達は既にウィンティスを通り過ぎていた。
「バハッ!? バ、バカなぁ……」
ウィンティスの細く頑丈な身体は、真っ二つに裂かれ、下半身がデス・フェンリルの底へと落ちていく。
「な、何がぁ……」
「簡単なことだ、ウィンティス。我々が加速しただけだ」
「ば、馬鹿なことを抜かすなっ!! 貴様の魔力はその剣に集約されて、そこの龍操士の魔力程度の強化でどうにか――」
「本当に不愉快なほど舐めてかかってくるのだな、ウィンティス」
ハイドラス達の背後からエメラルドが姿を見せた。
「!?」
「お前だって風属性なんだ。風の付与がどれだけ素晴らしいものか、知っているのではないのかね?」
ハイドラスはわざとウィンティスを逆撫でするように口走る。
「血走って、冷静さをかいていた貴様を出し抜くことなど容易だ。背後から魔法をかけていることすら気付かないとは相当無能だな」
「ぐっ、くそぉ……」
光属性の攻撃をモロに受けたウィンティスが弱っていき、魔石が顔を覗かせると、
「――ぶうふっ!?」
エメラルドがその魔石を掴んで握り、そのままえぐるようにウィンティスの身体を貫いた。
「あっ……ばはぁっ!?」
「終わりだ。道化に仕える悪魔め」
ウィンティスの上半身もまた、デス・フェンリルの底に落とされるが、悪魔なので身体が砂のように消えていく。
「インフェル殿を馬鹿にしていた貴様にとっては、悔しい死だろう。存分に後悔するといい」
インフェルは正当な誇りを持って戦っていたが、ウィンティスは歪んだ誇りを持って戦っていた。
ウィンティスは自分の悪魔という誇りに慢心し敗北、その結果の末路だと、ハイドラス達は見送った。
「お見事でございます、ハイドラス殿」
「いや、貴方の援護がなければ、負けていたことだろう。感謝する」
そう言って、エメラルドから手渡されたウィンティスの魔石を受け取った。
「さて――」
ウィンティスのケリがつき、ドクターと対峙しているアイシア達を見ると、
「ノ、ノワール!?」
ノワールが石柱に挟まれて踏ん張っている姿があった。
「ア、アイシア様ぁ……」
「うん! みんな! ノワール君を助けてあげて!」
いつの間にか周りの魔鳥達の姿もほとんど居なくなっており、ドラゴン達総動員でドクターの対処に当たる。
そのうちの一部は挟まれたノワールを助けようと、身を押して上の石柱を押し上げようとするドラゴン達がいる。
そしてその石柱攻撃が弾丸のようにアイシア達、ドラゴンの軍勢に襲いかかる。
「オオオオオオッ!!」
「ポチ! いくよ! ホワイトちゃん達は本体を! やられないでね」
「了解です」
「ガウ!」
アイシアとポチの連携は凄まじく、次々と襲いくる石柱など物ともしない飛行技術でドクターとの距離を詰めていく。
「ポチ! ――龍の息吹!!」
「ガアアアッ!!」
アイシアはまるで攻撃を引きつけるかのように、遠くからでもドクターに攻撃を加える。
その目論見が当たってか、石柱の攻撃がアイシアとポチへと傾いていく。
「いくぞっ!!」
「「「「「――ガギャアアアアッ!!」」」」」
ドラゴン達はアイシアの想いに応えようと、一斉にドクターへと攻め込む。
それに気付いたドクターが攻撃を行わないはずもない。
「オオオオオオッ!」
石柱攻撃を食らわせようとするが、
「――エクスプロード!」
ドクターの視界を奪うように、猛烈な爆発が目の前に炸裂する。
「ほらほら! 余所見してると私が貴方を倒しちゃうよ! ドクター!」
暴走して対処能力が欠落しているドクターは、キョロキョロと迫り来る脅威を繰り返し見る。
どれだけ攻撃しても回避する赤龍とアイシア。
ホワイトが指揮する無数のドラゴン達の軍勢。
その悩んだ末の結果。
「アアアアアアッ!!」
天井の岩がゆっくりとだが、確実に迫って来た。
「ヤケ起こしやがった! 自分ごと全員潰すつもりか!? アイシアっ!!」
「――させない!!」
中々近付けなかった無数の石柱の中をアイシアとポチはとんでもないスピードで近寄ると、
「――エクスプロード・プロミネンス!!」
ドクターが籠っている岩網の中で大爆発が発生する。
「ギャアアアアッ!!」
「やったか!?」
ドクターの身体は激しく揺さぶられ、誰もが爆発によって倒されたかと思った時、
「アアッ!!」
激しく目を見開き、アイシアに素早く石柱が襲いかかる。
「アイシアぁっ!!」
レオンが思わずエヴォルドの手綱を叩き、向かおうとした時、
「大丈夫」
アイシアはニコリと微笑んでいた。
「ああああああっ!!」
「おおおおおおっ!!」
擬人化したホワイトがドクターの結界を貫通し、アイシアに迫っていた石柱はノワールが粉砕する。
「!?」
バリィンというガラスが割れる音と共に、ホワイトがドクターをぶん殴る。
「貴様ぁっ!! アイシア様に何をするつもりかぁ!!」
すると割れた結界をぶち壊すように、後続にいたドラゴン達も突貫する。
ドクターはぶんぶんと追い払うような手仕草で対応するが、そんな対応で何とかなるはずもなく、
「これで終わりだぁ!!」
一匹のドラゴンとホワイトの渾身の一撃で、根を張っていたドクターを引き千切る。
「オ? オオ……オオオオオオッ!!」
ドクターはウィンティス同様、デス・フェンリルの底へと落ちていった。
「お?」
落ちてきていたはずの天井が止まり、ほっと一安心。
そしてアイシアは、ドクターの岩繭へ降り立つと、そこには龍神王の魔石があった。
「殿下。これ……」
「確か、ウィンティスの奴が言っていたな。龍神王の魔石を餌にしたと……」
その餌と呼び捨てた通りか、龍神王の魔石に本来あるべき魔力の輝きはなかった。
それを見たホワイト達やドラゴン達は落ち込むが、
「取り戻せて良かったね」
「アイシア様……」
「無くなるよりは、ずっといいよ」
「そうですね。……アイシア様」
「ん?」
「その魔石は、貴女様が持っていてもらえませんか?」
龍神王の魂を送ったアイシアに是非持っていてほしいと望むホワイト達。
アイシアはハイドラスに振り向く。
龍神王の魔石は、魔人の魔石。自分が持っていて良いものなのかを尋ねるように振り返った。
するとハイドラスは何も言わず微笑んだ。その想いに応えてやれと。
「……わかった。大切にするね」
事が解決したとわかると二人の龍操士が尋ねる。
「これからどうするんだ?」
「わ、私達はあのリリアさんを追えばいいの?」
「いや、二人は外の様子を見てきてほしい。生贄が発動しているかどうか、デス・フェンリルが停止しているかどうか、確認してきてほしい」
「「りょ、了解!」」
戦闘に全く参戦できなかった二人は、こういう時くらいはと、素早く飛び去っていく。
「殿下。リアを追うんですよね?」
「勿論、そのつもりだ」
天井を見上げると、リリア達が向かった入り口は未だに塞がっていた。
「よし! ノワール君! あそこ、破壊できる?」
「お任せ下さい」
その擬人化しても巨漢なノワールは、その剛腕を活かし、塞がれた天井を破壊していく。
かなり分厚くなっているようで少々時間がかかりそうだと、ノワールは語った。
すると先程向かった二人が戻ってきたので、顔見知りのレオンが尋ねた。
「早かったな」
「う、うん。殿下、生贄は発動していません。あと、デス・フェンリルも停止しているようです」
「そうか。向こうの戦闘はどうだった?」
デス・フェンリルの口元からでも確認できたアルビオとバザガジールの戦闘について尋ねると、二人は恐ろしそうに真っ青で答える。
「とんでもない力と力のぶつけ合いみたいな感じです」
「遠くから見てても恐ろしかったですよ」
「そうか。まだ決着がついていないのか……」
するとバラバラバラと瓦礫が崩れ落ちる音が激しくなった。
「アイシア様。塞がれていた道が開けました」
「ホント!? よし! これでリアを追いかけられるね」
ハイドラスはそれに同意の返事をすると、二人の龍操士を指示する。
「君達二人はドゥムトゥスに戻り、この古代兵器デス・フェンリルが停止したことを報告に戻れ」
「よ、よろしいのですか? リリアさんと一緒に行った二人を迎えに行かなくても……」
「大丈夫だ。アイシアにはあれだけのドラゴンがいるんだ、問題はない。それに停止を報告せよとは言ったが、警戒は怠らぬよう伝えてもらうためだ。頼むぞ」
遠巻きから見ても、デス・フェンリルは停止したように見える。
ドクターが核となっていたためか、破壊したのだからゴーレムの性質上、停止するものだろうが、油断は禁物であること、確実に核を破壊したことを報告しなければならないだろう。
情報の共有は必須である。
わかったと返事をすると、二人の龍操士は再びこの場を後にした。
「すまないが君は付き合ってもらうぞ、レオン」
「最初からそのつもりだ。アイシアに行かせるのは、些か不安だからな」
「何で私の心配!?」
まあまあとアイシアを抑え込むと、ハイドラスは不安材料を口にする。
「オルヴェールが何やら無茶をする気のようだ」
「無茶って……?」
「クルシアを止める手立てに、我々を心配させることをするとのことだ」
「あいつ、何をするつもりなんだ?」
聞いてもハイドラスですら聞かされることはなく、首を横に振った。
「ならとにかく急ごう!」
アイシアは召喚していたドラゴン達を帰すと、ポチに乗って上層を目指す。
ハイドラスもまた胸騒ぎが拭えずにいた。
「頼むから、手遅れであるなよ」
 




