表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
問おう! 貴方ならこの状況、歓喜しますか? 絶望しますか?  作者: Teko
2章 王都までの旅路 〜残念美少女から普通の美少女になります〜
45/487

08 内臓とかリアルで見たくなかった

 

「ふう……」


 どうやら解体は済んだようだ。一息つく声が聞こえたが、俺は完全に視界を逸らしていた。


 だって内臓とか平気で出てたんだよ! 逸らしてもくちゃくちゃって水音が聞こえてたけどさぁ。鳥肌が立ちまくりだったよぉ。


 すると赤毛の女の子は少し血に汚れた魔石を布で拭くとこちらへ歩いてくる。


「はい、こちらは貴女の物です。少し血生臭いかもしれませんが……」


 真ん中あたりが茶色く光る魔石を差し出した。その魔石は彼女の手いっぱいの大きさでごつごつしている。


「え? いいの?」


「勿論ですよ。ホワイトグリズリーを討伐されたのは貴女ですから」


「そうだよ! 受け取りなよ」


 使い道が分からんが、助けた二人にこうも言われたら貰うしかない。


「あ……ありがとう」


 こういうのって分かる人が持ってた方がいいんじゃないか? 後でバトソンさんにでも訊くか。


「残りなんですけど……」


 上目遣い気味にこちらを見ながら何やら言いたげだ。


「えっと、何?」


 実際女の子と喋るのなんて何年ぶりだろうか――他人行儀な喋り方をする。


「その魔石以外のこちらの戦利品はどうしますか? 一応全部貴女の物ですけど……」


 そう言いながら解体したホワイトグリズリーを見せる。


 正直モザイクっていらねぇとかネットサーフィンして散々思ったけど、ごめんなさい!! 今モザイクをかけられるなら是非、このグロテスクな数々にお掛けくださいませ!!


「い、いや……どうしろって言われても……今はとりあえず持ち帰ればいいんじゃないですか?」


「はい。それはそのつもりなんですけど――」


 ツンツンと赤毛の女の子の肩をつつかれた。


「リュッカ、お店での癖が出てる。この人、顔引きつってるから……」


 顔色が悪い俺を見て、はっとなり我に帰ると素早くぺこぺこと頭を下げた。


「ごめんなさい、ごめんなさい。つい癖で……こういうの初めてですか……?」


「は、はい……」


「目の前で解体を見るのも初めて……ですか?」


 恐る恐るゆっくりと聞いてくる。正直、あの戦闘よりこちらの解体の方が精神的にキテた俺は力無く答えた。


「はい……」


「ごめんなさい! ごめんなさい! ちゃんと確認してからやるべきでした。本当にごめんなさいっ!!」


 ぺこぺこ謝る赤毛の女の子に灰色の髪の女の子はフォローを入れる。


「まぁ無理ないよ。あんなに簡単にBランククラスの魔物をあっさりと頭を撃ち抜いて倒した人が、こういうのが苦手だなんて思わないもんね」


「ううっ……」


「とりあえずさ、持ち帰れるものは馬車の方へ持っていかない? お……じゃなかった、私分かんないし……」


 あまりにも精神的にキテたのか一人称を間違いかける。


「はい、わかりました」


 二人は解体された戦利品を何気なく拾い、運ぶ。


 本当なら手伝わなきゃいけないだろうけど、無理!


 異世界でもリアルは現実(リアル)なんだなと――ちらっと後ろの二人の戦利品を見る――鳥肌と共に感じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ