05 立場と恋愛感
「じゃあ私は戻るね」
アイシアはハイドラス達を王都まで送ると、ミリア村まで戻って行った。
「ドラゴンって便利ですわね」
「はは。将来的には是非彼女には王宮魔術師になって欲しいものだ」
「そうですね、是非!」
アイシアの預かり知らぬところで、国の王子様と側近が囲おうとしていることに、聞いていたナタルは呆れた様子。
ここで戻ってきた一同は解散し、ハイドラスは城へと戻った。
「お兄様、おかえりなさいませ」
「ただいま、メルティ」
ハイドラスを迎えたのはメルティアナとギルヴァ、アリアだった。
メルティアナはともかく、ギルヴァ達がこんな夜遅くにまだ休まず迎えたのには理由がある。
「殿下。彼らの動向の件ですが……」
「そう急かすな。さすがに少し休ませてくれ」
ギルヴァ達は南大陸で起きたことの原因を知っている。
そしてリンナのところへ行く前に軽く聞かされていた、クルシアが動けなくなっていることが気になってしょうがないのだ。
「色々あったようですしね、ハイドお兄様」
「まあな」
こうは言ったがギルヴァに頼みがある以上、後回しにするのも難だと、部屋へと戻ってひと息つくと話を始めた。
「ヴェルマーク、いきなりで悪いがオルヴェールの母親の護衛任務にあたってくれないか?」
「彼女の母……ですか?」
「ああ――」
ハイドラスはその経緯を説明する。
するとギルヴァはやっとチャンスが訪れたとグッと握り拳を作る。
「わかりました。その任務、受けさせて頂きます」
ギルヴァは西大陸の大使という名目で来ている以上、本来なら危険な任務は避けるべきだが、あくまで名目。
本来の目的はアリアを元の身体へと戻すこと、クルシアへの借りを返すことである。
どちらもクルシアに関連するので、願ったり叶ったりである。
するとウィルクがハイドラス達に指摘。
「あの、アリアちゃんは大丈夫なのか? てめえが居ねえと暴走する可能性があるんじゃなかったのか?」
「「あっ!?」」
ウィルクは羨ましい奴めと嫌味混じりにツッコむと、抜けていたようで二人はハッとなり、アリアを見た。
「すまない。このところ調子はどうだろうか?」
「はい、以前よりは。ただ……やはりあの声は聞こえますね」
殺せという叫びはまだ頭に巡っているようだと語る。
「お兄様。アリアさんの歌凄いんですよ。こう心の中が満たされていくような……」
「歌……か」
「メルティアナ姫殿下。一応その歌、以前攫われた原因であるマンドラゴラの力だってご存知です?」
アリアの歌の力は魔人マンドラゴラに作用されたところがあると、デリカシーなく語る。
「違います! た、確かにアリアさんにそんな力が宿っているのは知ってるけど、あんな綺麗な歌を歌うアリアさんがあんな化け物なわけありません!」
「す、すみません……」
「ヴェルマーク、彼女の力をコントロールするためのものかい?」
「はい」
リリア達が南大陸で激戦を繰り広げている間、ギルヴァはアリアの精神的な安定と力の制御について、王城で模索を繰り返していた。
ハーメルトの魔法学の研究員、魔物学の研究員の精鋭が総出でこれに対応した。
その報告はハイドラスも一度、リリアもといヘレン達と戻った際に受け取っている。
魔力の流れがやはり魔物寄りであることや魔力回路の作りもやはり変質しているようで、無詠唱での魔法発動も可能となっていた。
更にはテテュラが一部的に変質していた半魔物化も可能で、アリアの場合は目が充血したかのように赤黒くなっていく。
ただそれ以上の変質をしようとした際、自我を失い、暴走しかけたという。
以前テテュラが話した通り、テテュラやクルシアの人工魔石とは別格の代物。
魔人の力を操れる分、デメリットはあまりに大きい。
今のところは自我の暴走のみだが、もっと力を引き出すとなると別のデメリットの発生を研究者達は予想している。
だが元々相性は良く、その歌に関する能力は高い。
クルシア戦の時に見せたハードボイス攻撃は勿論、周りに付与的な能力を与える歌はかなりのもの。
そしてこの歌こそ、アリアがコントロールできる目安の確保になっている。
歌う時間、声の強弱、歌の種類、感情の乗せ方など、様々な検証を行なった。
そこからわかったことは、声の強弱はあまり関係なく、基本的には時間と感情に左右されるようだ。
歌う時間が長ければ長いほど、頭痛や幻聴に襲われるそうだ。
感情に関しては曖昧な部分があるが、歌う曲によって感情の強弱があり、多少の変化があったという。
魔物は基本、荒い感情ではある。
なので負の感情を込めた歌、もしくはそのような曲の場合は、同様のデメリットが働くと考えている。
後は強力な魔法を詠唱で歌うと、やはり身体が疼いたりするそうだ。
詠唱破棄できるとはいえ、マンドラゴラの能力の関係上、詠唱も武器にできることは魔人マンドラゴラが実証済み。
子供を無意識に攫えるような歌を奏でることは可能とのこと。
「彼女の状態は芳しくないようだし、任せるのは……」
「あ、あのっ! 私、大丈夫ですから……」
「アリア。護衛任務ということだ、長期になる。その間、側を離れるというのはさすがに……」
数日くらいなら、この環境にも慣れてきたアリアを放っても大丈夫だろうが、道化の王冠に対し、攻め手を用意できてない以上、確実に長期任務となる。
離れることに不安を覚えるなというのは、無理がある。
魔人マンドラゴラの魔石の影響は、この人工魔石を現在調査中のハーメルトにとっては難しい判断である。
「なら着いていくのは……」
「それは尚更ダメだ。奴らは元々その魔石の適合者を探していた。襲ってくる可能性のある人物の護衛にお前がついていくのは、攫って下さいと言っているようなものだ」
いくらクルシアが一度見逃したとはいえ、気まぐれで回収しようと言いかねない。
避けれる危険は回避すべきだ。
だがそれはアリアもわかっていたこと。
「ギルは西大陸で起きたケジメをつけされるために、あのクルシアさんを追ってるんでしょ?」
「ああ……」
「それは私も同じだよ。自分で望んでこの魔石を受け入れたとはいえ、私だってあの人には因縁があるの。た、戦ったこととかないけど……私にできることをしたい!」
「アリア……」
ギルヴァは彼女の気持ちを尊重したいが、やはりどうしても状態が心配なので再び説得。
「お前は十分できることをしてくれていたぞ。信じて待ってくれてたこと。俺達にとって大切なことだ。ラルクもメルトアも今頑張っていられるのも、お前が待ち続けていたから、それに応えたいんだ。俺もそうだ。だから気負うことはない」
あの時、マンドラゴラの魔石を選択させてしまったのは、待たせ続けてしまった責任だと感じているギルヴァ。
「ギル。私言ったよ。待ってるだけは嫌だって。私、力になるためにこの力を受け入れた。矛盾してるかもしれないけど、私は一緒に戦いたい」
優しく気遣ってくれるのは嬉しいことだが、共に歩ませてくれないことは悲しいことだと訴える。
「……平行線だな」
お互いが思い合うが故に結論が出ないと困ったように笑うと、
「ヴェルマーク。彼女を連れていくといい」
「――っ!? 殿下?」
アリアの同行を許可する。
「確かに危険性は高いが、その緊張感の中で覚醒し得る力があるかもしれん。こう言っては難だが、彼女の中には魔物としての本能がある。過保護に経過を見ることだけが最善だとは思えない。戦いの中で慣れさせることも重要だろう」
テテュラは言っていた。自分の意識をしっかり持つことこそ、打ち勝つ力になるのだと。
ギルヴァを思う気持ちがあるのであれば、戦いの中で心を磨くことができ、魔物の本能にも打ち勝つ強さを得られるのではないかと推測したのだ。
ハイドラスに説得されたギルヴァは折れる。
「……わかりました」
「――っ! ありがとうございます、殿下!」
「うん。だが彼の言うことをしっかり聞いて、身の危険を感じたらすぐに身を引くことだ。やれそうにないことを無理にする必要はない」
「はい!」
それでもやらなきゃいけない時はやるしかなかったりする。
だからこそ逃げ道も必要だと補足を入れるかたちをとった。
「リンナ殿のところには騎士隊、魔術師団の一個小隊あたりを送るつもりだ。そこと同行してくれ」
「わかりました」
その話は明日、陛下との話し合いでねじ込むとのことだそうだ。
陛下もギルヴァがここへ来た理由については知っている。おそらく同行の許可は下りるだろう。
そこへ扉がノックされる。
「開いている」
そう返答されると失礼しますと入ってきたのはハーディス。
解散した際に、ハイドラスから受けていた命令を実行し、その報告に上がった。
「殿下。例の冒険者達ですが、只今依頼を受けているとのことで、出掛けているようです」
「場所は?」
「ラージフェルシア王国付近へ薬草摘みに行かれたとか……」
ハイドラスはすごーく嫌な顔をしてハーディスを見たが、そんな顔をされましてもと困った様子で眉を顰める。
「確かあの辺にしかない生息していない薬草があったな」
「依頼内容を確認してもらったところ、二、三日は掛かるようです。せっかくですし――」
「そうだな。二日三日くらいなら待つか。彼らから得られる情報といっても――」
ハーディスの言おうとしたことを察したハイドラスはキリッとしたキメ顔で言い放つが、
「殿下……」
「な、なんだ……?」
「ファミア様にたまにはこちらからお会いになりましょうよ」
ハイドラスの相変わらずの苦手意識にため息が零れる。
「馬鹿を言うな。今がどんな時だかわかっているだろう? 安易に王都を離れるわけにはいかないだろっ!」
「いやいや殿下。さっきガッツリ離れてましたよ!?」
「お兄様……」
普段のハイドラスは尊敬しているメルティアナだが、ファミアに対し、ここまで苦手意識を持つ兄には呆れ果てる。
その周りの視線が何を意味しているのかは理解できているハイドラスは、あのデコボコパーティーに文句を垂れる。
「まったく……よりにもよってラージフェルシアとは。困ったものだ」
「我々としては別に何も困っていません。むしろ殿下にはファミア様とより良い関係を築かれてくれた方が有難いです」
「そうですよ! お兄様! ファミアお姉様はとっても素敵な女性なんだから……」
可愛い妹にそう言われても、ファミアの腹黒さには慣れるはずもない。
「というか殿下。口では嫌がってますが、割とお似合いですよ」
「お前の目は節穴か、ウィルク。そう見えるのはあの女が私を上手く尻に敷いているからだ」
「またお兄様はそんな言い方をして! ファミアお姉様の気持ちを考えましたか?」
そう聞かれて浮かんだのは、ほくそ笑みながら何かを企む視線を向けられるという光景。
「……私をどう虐めるのが楽しいか、とか?」
「殿下……」
中々小さい頃からのイメージが払拭されていないようだ。
「ファミア様はあの後のことも気にしておられました。彼らの件に報告もあるのです。一度連絡を取り、赴きましょう?」
南大陸についての詳しい概要は説明してないが、文書で解決したことは報告している。
だがファミアは首を突っ込んだのだからと、押しかけて来られそうだ。
だが頭を抱えるほど嫌がるハイドラスに、
「……なんと言うか、大変なんですね?」
かける言葉をこれしか搾り出せなかった。
「そうなのだ、ヴェルマーク! 私としては是非、自由恋愛をしてみたいものだ……」
「無茶言わないで下さい、殿下」
下級貴族ならまだしも、王族や上級貴族に自由恋愛が許されるケースなどほとんどない。
貴族の結婚事情などほとんどが政略結婚。
主だった理由としては両国両家の友好関係作りが鉄板だろう。
ハイドラスは自由な学園生活に憧れていることから、恋愛に関しても同じ憧れを抱いている。
叶わないとわかっていながらも。
「無茶なものか。きっと私を見てくれる人物が……」
「いくら勇者校やこの国の目指すところが平等精神であっても、国のトップは必要であり、それは殿下に他なりません。それとも姫殿下にお譲りできますか?」
「そ、それは……」
「それに王族という肩書きがある以上、そもそも自由恋愛は不可能です。……わかっておいででしょう」
ハーディスに言われるまでもなく、理解できていることではあるが、それでも声に出すのと溜め込むのとでは違いがあるわけで、
「わ、わかっている」
ふいっと子供みたいにそっぽを向く。
「それにファミア様こそ貴方の本質を見抜く数少ないお方であるのですから、存外殿下の望みも叶っているのでは?」
それもハーディスに言われるまでもない。
「わかっている。わかっているが……」
わなわなと言いたいことを溜めると、
「それをわかった上で転がされているようで、嫌なのだっ! どうしてこう可愛げがないのだあっ!」
不満を爆発させると、昔から知っている側近二人は呆れた様子で納得している。
「そうなことありませんよ。ファミアお姉様はとても可愛いらしい方ですよ」
「メルティはあの女の腹黒さを知らんのだ……」
ファミアからすれば妹に好印象を与えることは至極当然のこと。
メルティの印象は狙い通り、好印象である。
そんな殿下の様子を見ながらギルヴァはこそっと尋ねる。
「やはり政略結婚というのは大変なんだな」
「そりゃな。俺だって婚約者はいるが、基本親が家を守るためのもんだしな。肩が凝って参るよ」
「何言ってんですか。その婚約者の目を盗んでは色んな女性に手を出しているではないですか。殿下の側近としてあるまじき行為です」
「手は出してねえよ! 声をかけただけだ!」
「殿下の側近である以上、どちらでも同じことですっ!」
ハーディスの言う通り、印象はよくならないとギルヴァは苦笑いをすると、
「そういえば私もお茶に誘われたような……」
「げっ!?」
ギロっとハーディスとギルヴァに睨まれると体裁の悪くなったウィルクは、ヒュンとハイドラスの元へ。
「で、殿下。贅沢はいけませんよ。ファミア様のような聡明な方を伴侶にできるのですから……」
逃げ帰るように来たウィルクをジトッと見ると、
「なら仮にお前ならあの腹黒女に死ぬまで尻に敷かれてもいいと?」
「ファミア様のお尻に敷かれるなら是非っ!」
コイツに聞いたのは間違いだったと、グッドポーズを取る側近に呆れると、もう片方に尋ねる。
「お前はどうだ?」
「恐れ多くも、殿下の婚約者を娶りたいなど、冗談でも言えません」
真面目なハーディスの返しは見事な配慮ぶりだが、聞きたい答えではない。
「私が許すから答えろ」
「いいえ、殿下の尊厳をお守りするためにも言えません」
「お前なぁ……」
ハーディスの融通の効かない性格に参ってしまう。
「自由恋愛もよろしいですが、最初から相手がわかっていれば、よそ見をせずにその彼女のことを理解しようと奮起できるものです。それも素敵な恋愛の一つではありませんか?」
「……おい。なんで俺見て言うんだよ。殿下に向けたセリフだよな?」
「そうですが、そのように見えたのなら、貴方のどこかに後ろめたさでもあるのではないですか?」
明らかにこっち見て言っただろと、また火花を散らす。
この話を続けても無意味だと考えたハイドラスは、二人に振る。
「お前達はどうなのだ?」
「えっ?」
「なっ!?」
「以前の様子を見るにお互い、まんざらでも無さそうだったが……?」
テテュラの時にチラッと話題になっていたことを話すと、お互い赤面する。
「お、俺達は幼馴染というだけで、特別な関係では……」
「……」
「そうなんですか? 私はてっきりお二人ともお付き合いされているものかと……」
「「!?」」
「そうなのか、メルティ?」
「はい! お城内でのお二人の様子はそれはもう仲睦まじいご様子でしたよ!」
さすがは女の子。そういうセンサーはしっかりと働くようで、ニッコリと嬉しそうに語るが、当人達はもう逃げ帰りたい様子。
基本的にギルヴァの行動としては、西大陸からの連絡があった場合は陛下と謁見し、外交の橋渡し役をしたりするが、ほとんどは騎士隊に混じって鍛錬を積んだり、アリアの身体のリハビリに付き合うことである。
アリアに関する報告書の内容はほとんどがギルヴァ立ち合いの下、行われている。
だから魔法学の研究員達もその様子からお付き合いをしているものと認識している。
「ま、人それぞれペースというものがありますから……」
「ペースって言えば、シドニエの奴は終始落ち込んでたなぁ」
「無理もない。想っていた女性が……」
キョトンとこちらを見るメルティアナを見て、咳き込むとこれ以上は口にしなかった。
メルティアナは勿論だが、ギルヴァ達にもリリアの正体は明かしていない。
不用意に正体を明かすのは危険だ。
「ま、まあシドニエも自身の答えをしっかり出すはずさ。アイツだって男だろ? 正直、俺はリリアちゃんがアレでも気にしないが……」
話題は続けたいようで、ウィルクは元男とは言わずアレと発言した。
「……貴方の根性には感心致しましたよ」
どこまでも面食いな男だと嫌味を交えて語った。
「馬鹿言え。よく考えてもみろ。男がされて嬉しいことを熟知していると考えれば……」
「貴方、一度しっかりと頭を冷やしては如何ですか?」
ギルヴァ達はいつもより軽蔑の視線を向ける理由に首を傾げるが、意味のわかるハイドラスは正直だなぁと困った表情で笑う。
男のロマンだろという一方で、そんな不誠実な考えは許容できないと揉めている横で、
「メルティも誰かを好きになるんだろうか……」
まったく側近の喧嘩の仲裁をするわけもなく、寂しそうにメルティアナの頭を撫でた。
「そうだと嬉しいですけど、私も誰かと政略結婚するのでしょう?」
そんな言葉は聞きたくなかったと、ビシッと固まるハイドラス。
「そういうのはもう少し大人になってから言ってほしいものだなぁ」
とはいえメルティアナほどの年齢になれば、そろそろ相手を決める頃合いでもある。
現実は中々厳しいと嘆く。
「大丈夫ですよ、お兄様。私もファミアお姉様のような素敵な女性になってみせますから」
「――頼むから、あんな風にはならないでくれぇ〜っ!!」
「えっとぉ……」
話が大きく脱線したギルヴァ達は困った様子でそろりと話しかける。
側近二人は大喧嘩し、ハイドラスは妹の将来を非常に心配する姿である。
「んんっ。と、とにかく近いうちにオルヴェール母の護衛を任せることになるから、準備を進めておいてくれ」
「は、はい」
ギルヴァとアリアは部屋を後にし、
「……その、なんだ。恋愛や結婚というのは大変なんだな」
「そ、そうだね。特にお貴族様はね。はは……」
ハイドラス達に濁されたとはいえ、お互いを意識するような会話を互いに思い出してしまう。
するとギルヴァは目を合わせずに、少し紅潮して語る。
「守ってやるから、無茶するなよ」
「……! うん」
アリアはそっとギルヴァとの手を繋ぐ。
その暖かさもこの胸の高鳴りも、たとえ身体が半魔物化しようとも変わらないものなのだと、伝わるようにと少しだけ強く握った。




