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問おう! 貴方ならこの状況、歓喜しますか? 絶望しますか?  作者: Teko
9章 王都ハーメルト 〜明かされた異世界人の歩みと道化師達の歩み〜
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04 非常に怒られました

 

「断る」


 ズンっと威圧感を込め、むすっと機嫌の悪そうな顔で拒否を申し立てる。


 その反応にはハイドラスも苦笑い。断りを入れるリンナの隣にいる俺も苦笑いだ。


 ――俺達はヴァルハイツから帰国後、すぐにミリア村へと向かい、リンナに王都へ避難するよう、ハイドラス自ら赴いたのだが、このざまである。


「先程も説明した通り、今リンナ殿はとても――」


「危険な状態なんだろ? わあってるよ。コイツの母親だしぃ? コイツの正体も知ってるしな」


 わしっと俺の頭を掴み、わしゃわしゃと髪をかき乱す。


 俺は後ろめたさからやられ放題である。


「連中のことなら私も知ってるよ、ある程度はな。でも王都(そっち)へ行ったところで必ずしも対策になってるわけでもねえだろ?」


 そう言われてしまうと、はっきりとお守りできますとは言えないのが現状。


 道化の王冠(クラウン・クラウン)の戦力はそこいらの小国どころか大国の戦力レベル。


 ましてやバザガジールなんて世界最強とまで、その筋では呼び声が高い。


 相手をするとなると最早戦争レベルである。


 ラバの半壊はそれを物語っていた。


 あれで加減レベルなのだ、本気となると想像がつかない。


「まあわざわざ王子様が来られて、身を案じてくれることには感謝してますよ。ですがぁ……」


 リンナはすくっと立ち上がり、


「全てはぁ……」


 俺の後ろに立つと、


「――コイツのせいだろぉがあっ!!」

「――イダダダダダダっ!!」


 頭を強くグリグリと締め回し、俺は痛みで悶絶する。


 ひとしきりグリグリの刑に処された俺は、椅子から崩れ落ち、頭痛に悩む。


「うう……」


「大丈夫、リリィ?」


「……頭が痛い」


「痛くしたんだから当たり前だっ! ったく……」


 すたっと椅子に座り直すと、見下ろしながら説教をする。


「確かに私はリリアの身体になってしまったのはリリアの自業自得、だから好きに生きてもいいつったが――好き勝手やり過ぎだろっ。おい」


「は、はい……」


 俺はシュタっと正座をすると縮こまるように返事をした。


「ま、まあまあ。娘さんのおかげでこれから起こるであろうことの回避ができたのです。彼らから回収した人工魔石やアミダエルの技術等はこちらでも分析を進めており、奴らの戦力を削ぎつつ、対策を練られるという状況は極めて――」


「あー……下手にフォローせんで下さい、王子様。コイツが調子に乗るので……」


 ギクリと思わず反応してしまうと、ギロっと睨まれた。


「ほ、本当にごめんなさいっ!」


 深々と頭を下げると、呆れたため息を吐かれた。


「まあ王子様の言われたことも事実でもあるみたいだし、多少の迷惑なら許すさ」


「ほ、本当にっ!? ありが――」


 俺の目の前でニッコリと笑顔を見せるその両手は再び頭の横へ。


「だが反省もたっぷりしろやあーっ!!」

「――ギャアアアアアアっ!!」


 再び膝を折り、頭痛に苦しむ。


 意気消沈した俺をアイシアがなでなで、リュッカがあわあわしている横で話は進む。


「とにかく王子様。心遣い痛み入りますが、自分の身は自分で守れます。これでも腕は立つ方なんで……」


「ええ。それに関しては聞き及んでいます」


 ここへ来る前にパーティを組んでいたグラビイスを始め、知り合いの冒険者に尋ねて回り、リンナの実力は把握済み。


 実際、冒険者を辞めることにギルドマスターが頭を悩ませたほどだという。


「それに心配せずとも奴らの欲しがってる情報も、これくらいしか持ってませんので……」


 ひらっと見せたのは、リリアの魔法陣を記したメモ。


「それを狙われる可能性を示唆しているのですが……」


「わかってますよ。ですがこれに関しては正直、本人以外にはわかんねえもんだと思いますよ。伝手を使おうとしても中々ね……」


 リンナもこの魔法陣の安全な発動まで至っていない。


 魔法陣に詳しい伝手に聞こうと考えても、下手な情報流出を避けたいと考えると人選は限られる。


 しかも難解な魔法陣ときた。解明には時間がかかる。


 さらに言えば、当人であるリリアを元に戻すための魔法陣。


 バレる可能性が低いとはいえ、下手な探りを入れられ、リリアが別人だということはできれば伏せたい。


「それにしても本当に知ってたんですね、リンナさん」


「まあね。お前さん達が来た時だったかな?」


「そんな素振りなかったように思いますけど……」


 いや、帰ってきた一日目は結構不機嫌だった覚えがある。


「一応訊きますが、性別のことも……」


「ああ、知ってるよ。コイツがラッキースケベなことだろ?」


「ちょっ!? ち、違います!」


「ほほーん。じゃあしっかり女の子なんだな?」


 そう訊かれると素直にイエスとは答えられない自分がいるが、答えてもいいかなって自分もいる。


 しどろもどろしていると、その心境の変化に驚く。


「はーん。リリアの身体で過ごす内に変わったわけだ。正体バラした時、一人称が俺だったくせに……」


「そ、そうだっけ?」


「ああ。よーく覚えてるよ」


 リンナにとって、リリアが別人だったことは衝撃的な事件だ。この言葉はその通りに受け止めていいだろう。


 すると自分でもいつの間にか変わっていたことに驚く。


「ってことは、ガキを期待してもいいんだな?」


「へ?」


「好きな野郎でも出来たんだろ? そうでなきゃ心境の変化なんて起きないだろぉ?」


「な、ななな、何を言い出すの!」


 俺は赤面しながらバタバタと否定すると、


「割と冗談で言ってたんだが、マジで受け止めてたんだな」


「いや、結構マジな言い方だったよ!」


「そりゃあ親としては孫の顔くらい見たいだろ?」


 俺の当時の心境を考え、半分冗談だったと話すが、とてもそうじゃなかったと思う。


 揶揄(からか)うのはここまでにと話すと、


「まあとにかくお前はこれ以上、無茶するな。やっとでさえ一度娘を失ってんだぞ。……二回目なんてあってたまるかっ……」


「……っ! ご、ごめんなさい……」


 リンナは一度、リリアを止めることができなかった。それを俺がもう一度するのは、あまりに親不孝すぎる。


 実の母親ではないが、俺のことを本気で心配してくれているのだ。その気持ちには応えたいところ。


「ならば尚のこと、娘さんの側に居てあげることが――」


「くどい。……王子様? 貴方様の言いたいことはわかってますとも。そりゃ近場にいた方が守りやすいだろうが、聞いた話じゃそこの勇者様のご両親も狙われてる可能性があるんだろ? まとめて守ろうなんて大雑把なことすると(かえ)って悪化しますよ」


「……」


 狙われている可能性が高い人間を、集中させておくメリットとデメリットくらいわかっている。


 メリットとしてはリンナが言う通り、場所の把握が容易なことや守れる環境を整えやすいなど、要するには籠城(ろうじょう)戦術が取りやすくなるということ。


 しかしデメリットとしては場所の特定が向こうにも容易であることや戦力が集中されてしまい、準備の時間を与えたり、奇襲等に弱くなる点などが挙げられる。


「……その(つら)だとその辺も理解してかい? だとしても愚策だと思うがね。バザガジールってのは勿論だが、ザーディアスがいるってのがいけねえ……」


「えっ? ママ、おっさんのこと知ってるの?」


「おい。母さんの元職知ってんだろ? 一緒に仕事をしたことはないが、かなりやり手の冒険者だってことは知ってる。どこの大陸のギルドマスターからも勧誘も断ってるっつー変わり(もん)だってな」


 何でも熟練した冒険者、ザーディアスのようなSランク冒険者にまでなると、ギルドマスターや場合によっては国から特別待遇を受けたりすることがある。


 実際、ギルドマスターはその待遇の一つだったりするわけで、代替わりの話もあったとかなかったとか。


「そう言われるとそのような情報がありました。ハセン様も一度、勧誘したことがあるそうですが断られたと……」


「まああの御仁は随分と自由を求めているように見受けられるからな。そのあたりが理由か……?」


 ハイドラスの言うことにも納得ではあるが、クルシアに尽くしているところを見ると、どうもその辺も理由な気がする。


「で、そのザーディアスは珍しくも次元魔法を使い熟す。しかも肉体型でだ。その隠密性や奇襲性もあって断ったんじゃねえかとも私は踏んでる」


 確かにザーディアスは、高ランクの冒険者の割にはあまり顔が知られていないように感じた。


 冒険者同士、同じパーティを組むならまだしも、詮索しないのが暗黙のルール。


 それはザーディアスの戦闘スタイルにも関係することを考えれば説明もつく。


「それを考えれば籠城(ろうじょう)作戦は裏目に出るか……」


「まあな。急に後ろに現れて攫われるのがオチだろ? 勇者様のご両親は戦闘経験は?」


「い、一般人並みかと……」


 拍子抜けしたようにリンナはずるっと小さくこけた。


 俺も始め聞いた時もその反応だった。


 アルビオがずば抜けているだけで、多少なりともと考えていたのだが、どうもそうでもないらしい。


「だったら尚更守る人間を増やすのはマズイだろ。私は自分でも戦えるが、一般人並みとなると誰が来られても対応がキツイだろ?」


「そ、そうですね」


 リンナに護衛を頼むわけにもいかない。


「それにどちらにしてもバザガジールが出てこれば、それまでだろ。そこの勇者様が互角にやり合ったって話だが、かなーり加減されてたんだろ?」


「は、はい……」


「だったら狙われてる人間を分散すればどちらかは助かるってわけだろ? ま、どっちも来られたら元も子もないが……」


 確かにバザガジールが分散した両方に順番ずつ来られたら、どっちでも意味がない。


 ちなみにバザガジールの話はラバの件を冒険者知り合いから知ったとのことだ。


「ですが我々はできる限り、被害は最小で有りたいと考えております。娘さんやアルビオは勿論ですが、貴女達も例外ではありません」


「青いなぁ。結構世間を知ってるのかと思ったが、そうでもないのか?」


「……知っているからこそ、理想を口にするのです。相手には舐めて頂かないと……」


「!」


「先程の言葉は本心でもありますが、その言葉を聞いた受け手側は今の貴女のように安く見るでしょう。それでいいのです。私のような弱者には姑息な知略しかありませんので……」


 するとリンナは楽しそうに笑う。


「はっ! 王子様。アンタ、中々腹が黒いね」


「いや、これでも婚約者(フィアンセ)の百倍以上はマシですし、甘々ですよ」


「それは残念だな」


 私の旦那みたいに尻に敷かれるのが目に見えると笑った。


「だったら尚のことだ、私はここに残ろう。ただし、アンタの要求もある程度は受けるさ。護衛を寄越すなり何なりは任せるよ」


 ハイドラスは少し考えたが、


「……わかりました、そうしましょう。こちらの村に迷惑が掛からない程度の精鋭を送りましょう」


「その精鋭なら一応のあてもあるぞ」


 ここはアルミリア山脈の(ふもと)村。


 そこの迷宮区に向けて冒険者が多数押しかけてくる。いざとなれば増員も頼れるが、一応をつけるあたりは信用はしてないようだ。


 それはハイドラスも理解しているようで、人選すると語ったり、話し合いを終える。


「一応言っておきますが、異世界のことは……」


「他言無用だろ? わあってますよ。しかし異世界ねぇ……」


 頬杖をついて意味深にこちらを見る。


「なに?」


「いや。娘が仮にアンタの身体にいる場合、そこで上手くやれてんのかなぁって……」


 そのあたりの不安は俺の中でも(わだかま)っている。


 次元に彷徨(さまよ)っているのは勿論だが、俺の身体にいることも不安要素でしかない。


 女のリリアが男の俺の身体に憑依し、遺書から性格を考えると大パニックを起こしている可能性が高い。


 しかも夏休み前の下校途中。


 車の往来もあったはずだから、仮に魔法陣が発動できたとしても、俺の身体が無ければ戻ることもままならない。


「大丈夫、リリィ? 顔が青いよ」


「面白い顔してんな」


「は、はは……」


「……あの中身は別人とはいえ、娘さんを煽るのはやめた方が良いかと……」


 そのあたりの不安要素は、頭の良いハイドラスは想像ができるところ。


「なあ。向こうについて教えてくれよ。娘がやっていける世界なのか知りたい」


「……そ、そうですね」


 するとハイドラスはすくっと立ち上がる。


「私としても興味深い話ではあるが、対策に忙しくなるが故、お暇させて頂きます」


「えっ? 一晩くらい泊まってけばいいだろ?」


「心遣い感謝しますが、なにぶん忙しい身で……。オルヴェール、君らは泊まっても構わないよ」


「はーい」


 色んな思惑があるだろうが、とりあえずはリンナを安心させてあげるためにも、今日は元々泊まっていけと言われている。


「お前達はどうする?」


 ハーディスとウィルクは帰るつもりだが、アイシア、リュッカ達以外はどうするか尋ねた。


 リンナは賑やかになるからオッケーとのこと。


「私はお父様とお母様に報告しないと……」


「私はどっちでも」


「僕は殿下と帰ります。両親が心配ですし……」


「ぼ、僕は……その、か、帰ります……」


 シドニエは気まずそうにそう返事をすると、そそくさと外へと出ていった。


「……」


「なんだ? お前、あのガキが好きなのか?」


「――はあっ!? ち、違っ……」


「中身は違うから男の趣味も違うかと思ったが、どうもそうでもないらしいな」


「ちょっと! 違うって言ってるでしょ!?」


 ガルヴァもオドオドした弱気な男性であっただけに同情する。


「じゃあなんだよ?」


 心配そうに見つめていた理由を問われる。


「シドが私に好意を寄せているのはなんとなくわかってはいるんだけど、私、元は男で異世界人だから、気持ちの答え方がわかんなくて……」


「告られたのか?」


「う、ううん」


「だったら待て」


「は?」


「お前、気付いたからってお前から行くのは違うだろ」


 俺はパチクリと目を丸くした。


「お前、恋愛経験ゼロだろ?」


「うぐっ!?」


「ましてやまだ男心で動いてる節もあるだろ?」


「うがっ!?」


「お前だってアイツのことが好きかどうかも、そのあたりの事情のせいで曖昧になってんだろ?」


「うう……」


 どれもこれも図星を突かれ、反論できない。


 これは聞くのは野暮だろと、男性陣はアイシアを連れて先に外へと出た。


「男心がわかるなら、アイツの気持ちを考えてみろ。複雑な心境なのが手に取るようにわかるだろうが……」


 確かにかなり複雑な心境だ。


 好きだった女の子が別人で性別も違い、異世界人とまでくれば頭がパンクしそうだ。


「お前のことだ。おそらく男友達として前世みたいに話してたんだろ?」


 人生経験が豊富な方にはお見通しのようだ。全くその通りである。


 最初こそ男友達みたいに過ごしていたが、アイツの一生懸命さにどこか友人のような尊敬の念とは違う、もやもやしたものが芽生えてきたのがわかっていた。


 でも元男、異世界人であるという立場がブレーキをかけていた。


「あのガキ、アイツなりに考える時間と答えが欲しいのさ。あんなガキでも男だ。女に対する答えくらいちゃんと出す。それはわかるだろ?」


 男としてそのあたりの答えはまとめたい。カッコ悪いところは見せたくないってのは納得だ。


「だがお前は女だ。女心初心者のお前にアドバイスだ。待つのは女の仕事だ。状況によりけりだが、行き遅れる心配のないお前の年齢なら待ってやれ」


「……はい」


「それでアイツの答えを聞いた時に、お前の気持ちがわかるはずだ。その答えのまま伝えればいい……」


 どうにも答えが遅いなら、ケツでも蹴っ飛ばしてやれと追記して語った。


 それでも俺は不安である。素直に答えを口にできるのかと。


「……皆さん、行かれたみたいですよ」


 リュッカは窓の外を飛び去るドラゴン達を見て報告。


「そっか。ならとりあえず腹ごしらえだな。リュッカちゃん、私の腕前が上がったところ、見せてやろうじゃねえか」


「はい。期待してます!」


 リンナは戦闘と人生の先輩だが、料理に関してはリュッカの方がお師匠様だからね。


 変な師弟関係が出来上がってるよ。


「大丈夫だよ、リリアちゃん」


「リュッカ……」


「今はリリアちゃんも難しい状態だし、今は自分のことに集中しよ。シドニエさんも迷惑をかけたくないから、ちょっと距離を取ってるだけかもしれないし……」


「……わかった。ありがと、リュッカ」


 そして台所で晩御飯の準備を進めるリンナにポツリと、


「ありがとう、ママ……」


 この世界での心の拠り所になってくれたことにも感謝を込めて呟いた。


 ***


「アイシア、すまないな。ドラゴンを使ってしまって……」


「ううん、別にいいよ。飛ぶの好きだし……」


 一方でその帰り道。


 アイシアの先導の下、ハイドラス一行は王都へと帰る。


 アイシアがドラゴンを使役するようになってから、行き来が楽になったと感謝しつつもこれからの行動を話し合う。


「彼らの対策にテテュラさんにもう一度、話をお伺いした方が良いでしょうか?」


「ああ。ついでにヴァートも一度呼び戻そう」


「戦力の増強ですか?」


「それもあるが……」


 ピラッと例の魔法陣のメモを風に(なび)かせる。


「これについてもな」


「やはりそれの解明は彼らへの切り札にもなり得ますか?」


「まあ交渉の材料は多いに越したことはない。少しでも解明に近付けられるようにな」


「だったら北大陸の研究者に頼んだらどうです?」


「馬鹿かお前? 殿下は不用意に情報の漏洩を避けてるんだぞ。そんなことできるか」


 空の上でもこの側近達は火花を散らす。


「テテュラちゃんも戻ってくるの!?」


「いや、それは向こう次第だろう。今現在も動けない状態が続いている可能性の方が高いからな」


「そっかぁ……」


 テテュラの状態を考えると仕方がないとわかりつつも、会えていない友人に会えないのはやはり残念。


「迎えに行く時にでも同行しますか?」


「ホントっ!? やったあーっ!!」


 いつもはお堅いハーディスも見兼ねてか、ハイドラスの許可さえ下りれば前向きに検討するようだ。


「……そうだな。彼女も友人の顔も見たいだろうし、頼むとしよう」


「ありがとう、殿下!」


 ルンルン気分のアイシアに、日程を調整した後にと話すと元気に了解と答えた。


「それで奴らはどう動きますかね?」


「そうだな……とりあえずザーディアス殿の動きはギルドを通せばある程度は見えてくるだろうか……」


 その時ふと浮かんだのは、ザーディアスと同行していた冒険者達。


「ハーディス。帰ってすぐで悪いが、ザーディアス殿と行動を共にしていたであろう冒険者を調べておいてくれ」


 ハーディスもその人物達の顔を覚えていた。


 以前、ザーディアスを見つけた酒場で同席していた冒険者グループ。


「了解しました」


 それを横聞きしていたアイシアは、


「あの冒険者さん達がどうかしたの?」


「……そういえば面識があったんだったな」


「うん。あんまり強くない人達だったけど……」


 ハッキリ言うなと苦笑い。


「でもザーディアスさんが熱心に教えてた気はするよ」


「ほう。そうか……」


 それだけを聞くと、彼らが情報を持っていることは少なそうだが、行動を共にしていた可能性を考慮するとザーディアスの動きの推測情報は得られそうだ。


「忙しくなりそうですわね」


「ああ……」


 どんな強行手段に出るかわからない以上、全力で対策に乗り出すこととなる。


 色んな情報が錯綜とし混乱渦巻く中でも、確かな悪意は息を潜めている。

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