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問おう! 貴方ならこの状況、歓喜しますか? 絶望しますか?  作者: Teko
8章 ヴァルハイツ王国 〜仕組まれたパーティーと禁じられた手札〜
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01 錯綜とする状況

 

 ――俺はこの世界に転移してきて、最悪の光景を目の当たりにしている。


 ゴンドゥバからもかなり距離があるせいか、小さくだが見えていた。


 空から隕石のように降ってきた天空の城が。


 火属性のメテオ系の魔法でもあれだけの物が落ちることはない。


 砦の上から見ていたせいもあってか、ズズーンと重くのしかかった重厚感のある音がこちらまで響いていた。


 獣神王のことも心配だが、アレがなんの事態を招いているかの方が何百倍と心配になった。


「――ハイネ! すぐに調べて来なさい!」


「私達も行く?」


「うん! ホワイト達出すよ!」


 するとノートとキリアがお邪魔するよと、入って来た。


「レイチェル様とお客様方はここでしばらく待機を。どんな危険があるかわからないぞ」


「そ。多分、僕の能力があれば大丈夫だから、大人しくしててね」


「しかし、あれほどの物が落ちたのだ。被害のほども――」


「ハーメルト殿下。お気持ちだけ頂きまーす」


 そう言うと天空城が落ちたところを見る。


「あそこはグリーンフィール平原。おそらくは人的被害はないと思うから、そんなに心配しなくてもいいさ」


 だが俺達にはあの天空城の落下がとてもじゃないが、自然的なことや事故とは考えにくい。


 何せクルシアは最高の催し物を用意すると言っていたのだ。


 あれだけ派手にやられているところを見ると、どうしてもクルシアが関与していると思い込んでしまう。


 極力、協力という名目で何とか情報の取得をしたいところだが、ここはヴァルハイツの管轄であり、自分達は客人だ。


 ハーメルト殿下に何かあるでは、さすがのヴァルハイツも立場が悪くなる。


 そしてこちらもこれだけの非常時に言うことを聞かないでも、おかしい話だ。


「わかった。ここはお前達の国だからな。ただ我らの安全を確立するためにも情報は欲しい」


 さすがにそれは仕方ないと二人は了承しだが、


「二人とも、ハイネを連れて行きなさい」


「あのですね、殿下の護衛が……」


「わたくしの心配なら無用です。黒炎の魔術師様を含めた彼らがいます。それよりも早急な情報収集と事態の終息を望むところ。連れて行きなさい」


 そう言われてしまうと、断りづらいと頭をかく。


 ジャッジメントはディーガルサイドではあるが、王女殿下を蔑ろにしていいわけでもない。


「……わかりました。できる限り早めに帰るようにさせますぞ」


「レイチェル様。行って参ります」


 そう言って足早に三人はこの場を去り、外を覗くと最小限の護衛を残し、天空城落下地へと向かった。


「ねえ、殿下? あれを事故と考えてる?」


「いや、私はそう考えていない。ほぼ間違いなく、クルシアの仕業だ。先日の言動といい、これまでの傾向といいな」


 魔人マンドラゴラ、テテュラの召喚テロ王族暗殺事件、この二つの事件ほどの大規模なものから、そう推察する。


「だから何か狙いがあるように思えてならない。レイチェル、本当にグリーンフィール平原のあの辺りには人や町がないのか?」


「……正直、わかりません。方向的に一つか二つはあったように思いますが……」


「あるのか!?」


「あ、あくまであの方角にはというだけで……距離感的に確信が持てず……」


「いや、その方角にあるだけで十分だ。おそらく……」


「死者が出ている可能性もあるね」


「!?」


 俺のその発言に耳を疑わざるを得なかったレイチェル。


「待って下さい。その町にはわたくしと繋がりがある穏健派の者がいるはずです! 彼らに被害などがあっては……」


「それ、当たっとるかもしれんのぉ」


「「「「「!?」」」」」


 窓辺からの声に振り向くと、そこには息を荒し、身体中に痛々しい殴られた痣を無数につけた銀髪の獣人がいた。


「――獣神王!? 貴女、無事でしたのね?」


 俺達が一斉に驚く中、その獣神王は呆れた様子で、


「たわけ! これのどこを見たら無事に見える? その目ん玉ひん剥いて洗うことを勧めよう」


 ちょっと過激なツッコミを入れると、相当のダメージを負っていたのか、壁に寄りかかる。


「ウィルク! すぐに治療を!」


「はっ! 殿下」


「しかし、貴女が獣神王……?」


「む? 此奴らは?」


 治療を受けながら獣神王は、レイチェルしか知っているものがいないと尋ねる。


「こちらはハーメルト王国の王子殿下、ハイドラス・ハーメルト様――」


 ハイドラスから俺達全員の紹介を丁寧に済ませると、獣神王はピンと閃く。


「そうか、主が勇者の言っておった殿下か」


「勇者? アルビオにあったのか?」


「うむ。フェルサとかいう獣人とエルフが二人とのぉ。その獣人の娘がこの町に主らの匂いがすると、この近くに潜んでおるが……」


 伝えねばならないことを朧げにしか聞こえていなかった獣神王は、彼女らなら詳しく話せるぞと接触するよう促す。


「ハーディス。すぐに探してきてくれ」


 そう言うとハーディスは一目散にいなくなった。


 だがアルビオと接触したのなら、どうして獣神王は一人で来たのか、フェルサと分かれて行動しているのか、気にかかる。


「アルビオはどうしたかわかる?」


 すると獣神王は、天空城の方へ視線を向ける。


「彼奴の気配、というよりは精霊じゃな。あの天空城から感じ取れる。妖精王もな……」


「は……?」


 思わずレイチェル以外の俺達は、時間が静止したように、その言葉を噛み締める。


 そしてリュッカが駆け出そうとしたのがわかったので、


「は、離して下さい!」


「い、行かせないって……!」


「ダメだよ! ダメ!」


 俺とアイシアで取り押さえる。肉体型のリュッカ相手なら、こうでもしないと止まらない。


「殿下も落ち着いて……」


「わかっている……わかっているさ」


 ハイドラスも今にも駆けつけたいとばかりに、苦悶の表情を浮かべながらも、気持ちを落ち着けるためにも事情を尋ねる。


「何故そのようなことに?」


「わしは狐目小僧とやり合おうとした時、その勇者の前にとあるエルフの死体を見せてな。血相を変えてエルフの里へと急ぎ向かったようじゃ。わしも狐目小僧の知り合いが良からぬことを企んでいるならばと、勇者を行かせるため足止めしたからのぉ」


「狐目……? まさかバザガジール!?」


 そう名乗っておったのぉと語ると、再び天空城の方向を見る。


「あの天空城は妖精王がエルフ達と共に大昔に作ったものじゃ。エルフ達を見守るためだのなんだの……随分と神様を気取っておったのぉ」


 自分の力と信念を示す指標として作り上げたというが、獣神王には愚かな虚像にしか見えなかったと、当時から思っていたという。


「堕ちるとこまで堕ちたのぉ」


 妖精王が愚かであり、勇者が間に合わなかった結果なのじゃろうと、虚しいと語る。


「そ、それじゃあ妖精王も殺されたんですか?」


「それはない。ただ堕ちると言ったろ? 奴の魔力が酷く穢れておる気配がする。だがしかし狐目の仲間も相当の手練れか? いくら妖精王が馬鹿でもそう簡単にやられる奴とは思えなんだが……」


 妖精王がどんな人物像なのかわからなかった俺達は、クルシアの性格を資本に答えるしかなかった。


「クルシアはかなり狡猾な人間です。人を騙し、操ることに長けた人間で……」


「そのようじゃのぉ。あの狐目に一報が入った時も、何やら作戦が上手く言っただの、機嫌が良かったのが聞こえたが……」


「一報って……?」


 そう尋ねると、少し不本意そうに自分があった話をする――。


 ***


「――があっ!? ぐうう……」


「ここまでですか……ふむ」


 獣神王は満身創痍の中、戦意を無くすことなくバザガジールに対し、闘争心を燃やす。


「ぬかせ! 小僧っ! まだじゃ、まだ負けておらぬ!」


 一気に距離を詰めると、渾身の拳を打ち込むが、それを敢えて正々堂々とバザガジールも拳をぶつける。


「ぬぐうっ!?」


 バザガジールの拳を当てられたことで、右腕がメシっと砕けるような音がした。


 腕からは血も吹き出し、痛々しい細腕が何とか負けじと押し込むが、


「――がああっ!?」


 打ち込んだ右腕は悲鳴を上げる一方で、バザガジールの拳に勝ってくれない。


「フフ、貴女は素早さはピカイチですが、やはりパワーが足りませんね。魔物であっても性別によって腕力も違ってくるのですかね?」


「ほざけ……化け物」


「ふん」


 バザガジールは強く力を込めて殴り、獣神王を吹き飛ばすと、木に衝突した。


「――があっはっ!?」


「いや、それでも楽しめましたよ。素晴らしい! しかし、楽しい時間というのはあっという間ですね」


 バザガジールが少しずつ近付いてくると共に、獣神王には今までに感じたことのない感覚に襲われる。


 圧倒的強者の貫禄、そこから放たれる死の予兆。


 生まれてからほとんど感じたことのない死の感覚は、確かな恐怖心が手に握らされた。


「まあ楽しめましたよ。では――」


 バザガジールが大きく拳を振りかぶった時、


『バザガジール、待って』


 獣神王の前でピタリと拳が止まった。


「おや? クルシアじゃないですか。どうしました?」


『計画は上手くいったというか、想像以上のものになりそうだ。一度戻ってきてくれる?』


 バザガジールは連絡用の人工魔石を片手に、獣神王の側で会話を続ける。


「何故、私が? 戻らずとも良いでしょう? せっかく――」


『まあいいじゃない。君のお楽しみの予備をとっておくものも……』


「予備?」


『今、天空城が落ちるとこなんだけどね。あの中に勇者君がいるんだ。万が一があると、ショックだろ?』


 妖精王は暴走されて、時期にヴァルハイツかこのことを聞きつけたハイドラス達が倒しちゃうだろうしと補足をつけた。


「彼、死ぬんですか?」


『どうだろ。わかんないから、様子を観にくればってお誘いの連絡と、後はちょっと派手にやり過ぎだよ』


 クルシアにそう指摘されるのも当然の光景だった。


 何か大きな魔物でも暴れ散らしたような光景が広がり、森の木々はめちゃくちゃにされている。


「別に構わないのでは?」


『あのね。この天空城でエルフが宣戦布告したっていう過激な演出の中、アメリスの森で同時進行で獣人サイドにも手を出していたとなると、勘ぐる奴も現れるかもよ』


 考え過ぎだろとため息をつくが、要心はした方がいいと了承して通信を切った。


「……さて、命拾いしましたね」


「命拾いじゃと? はっ! 舐めたことを――」


 戦意を喪失していないような攻撃的な態度を取るが、バザガジールが指を差す。


「では、その手は何ですか?」


「なに?」


 ふとその差す方を見ると、逃げ場を求めるような手仕草を取っていたことに気付く。


「――!?」


 虚勢を無意識に張っていたことに、自分自身も驚いた。


 自分はまだやれる、確かにこの男は異様な強さを持つ手練れだが、獣神王という名を持つ者として引くわけにはいかないと意識下にはあった。


 だが身体の方は怯えきっていたことに、今気付いた。


 目の前で虚勢を張る中で、バザガジールに悟られぬよう、背後に逃げ場がないか、手探りしていたことに。


 それを満足げな笑みを浮かべて、


「少しは理解できましたか? 人間の強さの根源を……」


「強さの根源……」


「ええ。貴女達、魔物も恐怖心を抱かないわけではありませんが、感情がとても単純です。ですが魔人となり、人のあらゆる感情を持つことに成功した貴女なら、わかるはずです。その敗北感から悔しいと情念を燃やすか、恐怖心に呑まれ、畏怖するかは貴女次第ですが……」


 そう言うと獣神王に背中を見せて立ち去る。


 だが獣神王は今が好機とは考えられなかった。自分が本気で戦ったにも関わらず、バザガジールは大した怪我を負わず、差を見せつけた。


 改めて認識する。


 表情は舐められてはいけないと強く警戒するが、手足は全く動かなかった。


 本能では負けていると自覚していたことを思い知らされる。


 そして――バザガジールの姿が見えなくなり、気配も消えた途端、身体が動いた。


「くそぉっ!!」


 ダンっと両手を地面に叩きつけて、この悔しさと不甲斐無さと憤りをぶつける。


「くそおおおおっ!!」


 ***


「……」


「そんなことが……」


 獣神王は恥ずかしいから、自分が動かなかったことなどは話さなかったが、敗北したことははっきり口にした。


「そのバザガジールという男、噂には聞いていましたが、そこまでとは……」


「龍神王を殺したというのにも納得じゃよ。あれが人間じゃというから、末恐ろしい……」


「それで貴女はバザガジールを足止めしている間に、アルビオはエルフの里へ向かったと……?」


「じゃろうな」


 あの血相の変え方とバザガジールの連絡相手の口ぶりからそうではないかと話す。


「ただいま戻りました」


 するとハーディスが帰って来たが、


「よっ!」


「バーク!?」


 なんとジード達とも合流した。


「何故貴方達がここに? もう依頼を終えたのですか?」


「すみません、殿下。実は……」


「ん?」


 申し訳なさそうに腰を低くして話すジードの後ろにいるサニラ達を盾にするように、ひょこっとエルフと獣人の子供がいた。


 するとその愛くるしい姿にアイシアは目を輝かせて近付く。


「――可愛いっ!!」


「あ、あわわっ!?」


 抱き抱えられたエミリをオウラはどうすればいいか戸惑っている。


 バークと親しげな雰囲気があったためか、下手に突っぱねるわけにもいかない。


「どうしたの? この子達……」


 ジード達はヴァルハイツでの出来事を話した――。


「――なるほど。だからここにいるのか」


「はい。申し訳ありません」


「いや、子供達を救ったのだ。とやかく言わんよ」


 そして目的であるこの子達の奴隷の刻印は俺が解除する。


「――ディスペル・コード」


「「!!」」


 少し怖かったのか二人は目を瞑ったが、首の辺りの暖かさが消え、ふと目を開けると刻印が消えていた。


「あ、ありがと! 銀髪の姉ちゃん!」


「あ、ありがとう、ございます」


「どういたしまして」


 キラキラした純粋な眼差しでお礼を言われると、女の身体のせいなのか、母性本能みたいなのに目覚めそうである。


 アイシアじゃないが、思わずギュッと抱き締めたくなる。


 これが愛おしいというヤツだろうか。


 そんなうずうずした気持ちを抑えていると、フェルサが新書を手渡していた。


「……獣人達の保護か」


「うん。そう思ってたけど、そんな事態でも無さそうだね」


「いや、こんな事態だからしばらく身を固めるという作戦でいいと思う。保護については前向きに検討する」


 天空城の情報が入らないとどうにも行動しづらいと考えるが、一人考えていたことがあるようで、


「これは好機とも捉えられますね」


「レイチェル?」


 皆様には不謹慎かと思いますがと前置きをして、レイチェルは元々考えていたことを話す。


「わたくしはここに居られる獣神王様のお力を使い、先ずはこの国をヴァルハイツより奪還しようと考えておりまして……」


「えっと、つまりはクーデター?」


「はい」


 ゴンドゥバの代表もレイチェルも厳しい監視下に置かれており、穏健派としての行動が取りづらくあったのだが、さすがのこの事態に手薄になったところを狙いたいと言い出したのだ。


「天空城のゴタゴタにヴァルハイツの出鼻を挫いてやるってわけ?」


「そ、そんにゃことしたら……」


「……噛んだよ、シド」


 シドニエの焦る気持ちも良くわかるが、ヴァルハイツ中心のこの大陸を変えるなら、この好機は逃せない。


 幸い、ジャッジメントの二人は出払っている。


「勇者様のことを心配なのはご理解できます。ですがどうか協力してほしい」


「協力……か」


 ハイドラスもアルビオの件がなければ、すぐにでも返事をしただろうが、どうにも事態が読めないと返事を渋る。


「ええい、めんどくさい。要するには今、この国におるヴァルハイツ派の連中を締め上げれば良いのじゃろう?」


「し、締め上げるって……」


「その後に戻ってきた連中をわしが倒せば良いのじゃろ? 簡単ではないか」


 拠点地の確立としては上等な作戦だと思うが、やはり天空城でのことが気にかかる。


 クルシアのことだから意味なく落としたとは考えにくく、大事(おおごと)に発展させることが得意な奴のことを考えれば、安易な行動は取りづらい。


 だがそれを踏まえた上でも、


「わかった。この国の実権をレイチェルかゴンドゥバの代表のものにしよう。ただし、我々は知らなかったという(てい)で通したい」


 ハイドラスは作戦に乗っかる条件を提示してきた。


「何故です?」


「俺達自身、ヴァルハイツ本国に用があるからだ」


 俺達はまだアミダエルを引きづり出していないため、ディーガルに敵意があるとは思わせたくない。


 それにファミアもいるのだ、ハイドラスが敵意を見せるのはさすがに忍びない。


「わかりました。それでは今から行う作戦はわたくしの独断とし、皆様はヴァルハイツへ向かって下さい――」


 急遽、ゴンドゥバ奪還作戦を行なうこととなった。


 その作戦概要はほぼ獣神王の言った通りなのだが、ここでハイドラスや俺達がアミダエルを引きづり出し、ヴァルハイツを内側から崩すには、関与していないことを証明する必要がある。


 そのため、強引にディーガル側の護衛騎士に無理強いすることで、俺達はヴァルハイツへ向かうという作戦。


 これならばクーデターを起こしてもハイドラスの関与は薄いと考えられる。


 勿論、ディーガル達が疑うことも考えているが、天空城の対策の件を考えれば、普段よりも余裕がないように考えられる。


「如何でしょう?」


「急遽決めた作戦としてはいいと思うが……」


 やはりアルビオのことが気にかかる。


 するとナタルは、


「――召喚(サモン)。エアロバード」


 自分の召喚魔を喚び出した。


「殿下。精霊達が消えていないなら、きっと無事ですわ。この子にも様子を観に行ってもらいますから……」


「よし! だったら私も……」


「貴女はダメ」

「アイシアはダメ」

「シアはダメだよ」


「――ガーン!!」


「えっと、マルキスさんの場合はドラゴンですから、目立ちますよ」


 シドニエの指摘通りである。


 エアロバードくらいの鳥なら違和感ないが、ドラゴンはあるでしょ。ましてやホワイト達みたいに擬人化だったら尚目立つ。


「すまないな、ナタル」


「いえ。ここにいる皆さんが心配していることです。私だってすぐにでも安否を知りたいものですわ」


 そんな落ち込んだ空気の中、振り払うように、


「ええい! こんな辛気臭いのは嫌いじゃ! ヴァルハイツに行けば、どちらにしても情報が入ろう? 急ぎ向かうが良いわ!」


 怒鳴り散らされ、行動を開始する。

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