23 出会いは突然に
「これはこれは殿下様! お会いできて嬉しいぞ!」
「私も嬉しいよ、元気そうで何よりだ」
「お世辞なんて結構ですぞぉ! それともお世辞じゃないなら、側室に……どう?」
「断る」
カチューシャで髪を上げたデコ娘がきゃるんとご挨拶。
ゴンドゥバで俺達を迎えたのは、ジャッジメントの一人、キリアという女。
「あっ、キリア」
「ノート!? 貴方、王国のお守りはどうしたんだぞ?」
「んーと、ディーガルさんがこっちを頼むってさ」
「ふーん」
そんな同僚の挨拶は程々にと、ハイドラスは手を叩く。
「私達の目的は知っているはずだ。レイチェルに合わせてくれないか?」
どういうこととキリアは隣のノートに視線を送ると、頭で両手を組んで興味が無さそうに語る。
「挨拶だって、挨拶」
「それ、信用してる?」
「してたら僕がここにいるかい?」
「違いないぞ」
「なら好きにすればいい」
言われずともと案内はしようとする二人だが、ハイドラスの質問に青ざめることとなる。
「だがな、ディーガルにしっかりと報告できるか? 私達は今からレイチェルと互いに政治的話を進めるつもりだ。あの無能王やディーガルでは私の要求は通りづらいからな。将来を見越して色々企むつもりだが、そうだな……先ずは互いの国での貿易交渉やそこからの財政案。この国は諍いが多いからな、お金や物資の話はさぞ盛り上がるだろう。後は――」
「ストップ!! ストーップ!! それって意味なくない? ディーガルさんが政権を握っている限り……」
「だから言っている。しっかり報告できるのかと。私はいずれの話をレイチェルとするつもりだ。いつ来るかもわからない将来の話を。ディーガルはこちらには耳を傾けてくれないので、こちらで話をして計画だけでも立ててくれれば、いつかディーガルの政権が崩れた時、この国を支えることができるだろ? それともあの王子か陛下にでもやらせるか? 無理だろ?」
「た、確かにそうだけど、ディーガルさんがそんな簡単に崩れるもんか!」
「だからさっきから言っている。その無意味な話を報告して、意味があるのか? 信じているんだろ? ディーガルのことを……」
なんというゴリ押し。
確かに政権がディーガルに握られ続けている以上、レイチェルという王女殿下に話をしても、契約書が紙切れになる話みたいなものだ。
それでも企んでいるという事実から処罰できるということにも繋がり兼ねないが、この国に利益ある話でもあるし、そもそも一兵士でもあるジャッジメントには、理解が難しい問題だ。
だから聞く意味がないと同伴を断ろうとしている。
まあ二人は頭が働くタイプとは思えないので、難しい言葉を使えば、
「た、確かに!」
考えるのが面倒になり、結論が前に出る。
「まあそれでもあの豚共には死ぬなんて考えられないけど……」
「家畜のくせに生命力はあるからね」
自分達が仕えているはずの王族達をクスクスと笑う二人に、目を細めて呆れて尋ねる。
「仮にもあの王様の部下なんでしょ? 道中も思ったけど、豚と家畜とか……他の部下に示しが付かないんじゃない?」
まあ俺も思ったけどさ。
すると二人とも大笑いする。
「あっははははっ! あのさ、あれらを国王や王子だと思ってる奴なんて、あの国には一人もいないよ!」
「可哀想よ、ノート。住民の中には二、三人くらいはいると思うぞ」
その爆笑する二人を見てハイドラスは、
「ま、この通りだ。だからレイチェルに会いに来た。将来の話をするなら、彼女とした方が利口だ。ディーガルは私とは話が合わず、交渉の余地がない」
話を聞く限りはレイチェルという王女殿下はまともらしい。
多分、レイチェル自身も取り組んでいることがあり、それに対する交渉でもしようと言うのが、本音だろう。
「さて? そろそろ王女殿下にお会いしたいのだが?」
「あーはいはい。わかりましたぞ」
腹を抱えて爆笑していた二人を制止し、レイチェル王女殿下の元へと案内された――。
ゴンドゥバは隣にはアメリスの森とエルドー山を眺める自然が特徴的な国。
その森の中や山の麓を獣人達は根城にしているわけで、昔から領土の取り合いなどの小競り合いがあった。
だがヴァルハイツの侵攻により、この国自体が懐柔するかたちとなり、支配権に置かれている。
その森を一望し、監視できるほどの巨大な砦の中を案内されている。
「失礼致しますぞ、レイチェル様」
そのこじんまりとした一室に、ちょこんと座るドレス姿をした女性と、側近の騎士だろうか、王女殿下と思われる人物の傍らに立っていた。
「久しいな、レイチェル」
「はい。ハイドラス様もお変わりないようで……」
こちらは肖像画通りの……いや、肖像画以上にお綺麗でいらっしゃる。
写真詐欺ならぬ、肖像画詐欺でなくてホント良かった。
あの王様と王子は、そのギャップの差があまりにもかけ離れていたからね。
「じゃあテキトーに世間話でもするんでしょ? 僕らは下にでもいるからさ」
「難しい話きらーい」
するとナタルはニコッと笑い、
「なら私とお話しませんこと?」
その提案に二人は、何故と疑問の表情を向ける。
「いえ、社会勉強をさせて頂こうかと……」
するとノートは、ははーんと何かを閃く。
「僕達の監視ってわけ? 残念だけど、僕にはこの義眼があるよ。説明したよね?」
「ええ。ですから、社会勉強ですわ」
「えっ? あー……なるほど?」
おおよそノートの言っていることは当たっている。
委員長の狙いはノートとキリアの監視。下へ行くよう、殿下が誘導したとはいえ、必要な監視だろう。
それに敢えて懐にいることで、殿下の人質にわざとなることで、安心感を与えられると考えたのではないだろうか。
殿下と一緒について来た者ならば、ノート達から見れば交渉材料にもなり得る。
そしてナタルは二人とともにこの場を後にした。
「ナッちゃん、どうしたんだろ?」
「まあ放っておこ」
「えっ!? も、もしかしてファミア様みたいなぁっ!!」
「それは違うから安心して……」
前回のハイドラスとファミアの火花散るピリついた空気に怯えるシドニエは、ガタガタと震えている。
「ハイドラス様? こちらの方々は……?」
「ああ、紹介しよう――」
俺達は殿下の紹介に預かり、俺が黒炎の魔術師だと知ると、握手を求められた。
「――貴女様のお噂はかねがね。お会いできて光栄です」
「い、いえ。こちらこそ……」
あの豚王子のような嫌悪感もなく、好印象に捉えられるレイチェルに、思わず照れてしまう。
「皆さま、わたくしはレイチェル・ヴァルハイツと申します。こちらの彼女は専属騎士のハイネです」
「よろしくお願いします」
頭の上から下までフルプレート装備の騎士から、女の声が聞こえた。
見た目や身長を考えれば男性に見えるフルプレート。
そのギャップの差に驚いていると、レイチェルはクスクスと笑っている。
「驚いたでしょ? ごめんなさいね。彼女は素顔を晒せないでいるから……」
「そ、そうですか……」
素顔を見せられない理由としては、この大陸で真っ先に浮かんだのは、亜人種であること。
これは触れるのはちょっとと考え、これ以上踏み込むのはやめた。
「それで? ハイドラス様はまた懲りずにディーガルとの交渉に?」
「それもあるが、今回の一番の目的はそれではない」
ハイドラス達が話を進めると、自然にハーディスとウィルクは入り口を固め、ハイネも窓側を監視するように固めた。
会話を盗み聞きされないためだろう。
「私達はある組織の連中の尻尾がここにあるのでな。奴を出し抜くためにも、先ずは奴の狙いである原初の魔人の安全を確保したい」
「原初の魔人……ですか」
その言い方に違和感を感じた。
「心当たりでもあるのか?」
「ど、どうして原初の魔人のお話が?」
「……実はな、原初の魔人の一体が殺されている」
「「!?」」
レイチェルとハイネは驚く素振りを見せる。
「ああ。だから尋ねたい。お前はここに半ば監禁されているようなものだろう? 獣神王について、何か噂みたいなものでも聞いたことはないか?」
レイチェルはやはり覚えがあるようで、語ろうか悩んでいる様子。
「レイチェル、何か知っているのだな!? 頼む! 教えてくれ。もし手遅れになってしまえば、西大陸の二の舞になる」
「どういうことです?」
「殺された魔人は龍神王。西大陸に生息していたようでな。殺された影響により、魔力バランスが崩れたようなのだ。それにより起きた魔力障害は様々に存在する」
魔物の暴走、魔石の枯渇、魔力減少による生活基盤の崩れなど、着々と影響が出始めている。
「この南大陸には二体の原初の魔人が存在すると訊く。一体でも大問題なのだ……二体の消失はどうあっても避けねばならない」
その真剣な表情から嘘は言っていないことは勿論、かなり危機的な状況であることも理解できた。
「何か知っているのだろう!? どうか頼む」
「……わかりました。お教えしましょう」
その想いが伝わったようで、レイチェルもその口を開いた。
「数ヶ月程前のことなのですが、この砦の窓から侵入してきたのです」
今レイチェルがいるのは最上階手前の四階。
まあ魔法等を使えば、割とすんなり登れそうだが、勿論、外敵対策はされている。
王女殿下を守ることも兼ねての外敵対策。そんな簡単には侵入は難しい。
「侵入したのって、まさか……」
「はい。わたくし達の前に現れたのは、自分を獣神王だと名乗る者と出会ったの……」
***
レイチェルはいつも通り、この部屋から獣人達の居住区がある森の方を眺めていると、
「主がヴァルハイツの姫か?」
急に目の前にトンと姿を見せた。
「――はわあっ!?」
「――レイチェル様!」
ハイネはレイチェルを側に引き寄せると、剣を素早く抜き取り構える。
「何者だ!?」
「そう殺気立つでない。わしは話をしに来ただけじゃ」
年寄りのような言葉遣いをする獣人の娘が窓の端で胡座をかき、頬杖をつく。
「何者だと訊いている!」
「やれやれ。血の気が多いのぉ……」
銀髪からぴょこっと出ている狐耳をピクピクと動かし、深く頬杖をついて不敵に笑みを浮かべた。
「原初の魔人というのは知っておるな?」
「原初の……魔人?」
「そうじゃ。わしはそれの一角、確か……獣神王と呼ばれておったか」
唇に人差し指を当てて、思い出したように話す獣人に、ハイネは信じられないと否定する。
「馬鹿な! 原初の魔人だと!? あれは伝説的存在。存在しているかすら怪しい……」
「馬鹿抜かせ! こうして目の前におろうが。ヴァルハイツのぉ……話が通じぬ娘じゃのぉ」
「も、申し訳ありませんが、わたくしもとてもじゃありませんが、信じられません」
原初の魔人の逸話は数多くあれど、その存在の確認はされていない。
確かにこの南大陸の亜人種はその原初の魔人に対し、神と崇める習性はあると聞くが、どうにも胡散臭いというのが本音だ。
すると獣人の娘はどうすれば信じてもらえるか、腕を組み悩んだ結果、
「そうじゃ! これなら信用できよう!」
「「!!?」」
ズンっと何かが重くのしかかる感覚に襲われる。
「こ、これは……?」
「ほれ、娘。わしの魔力を見てみぃ」
レイチェルは言われた通りに魔力感知をすると、
「――っ!? おっ! おごおぉおっ!?」
「レ、レイチェル様ぁ!?」
あまりの魔力量に吐き気を催し、その場で崩れ落ちた。
しばらく咳き込んでいると、すまんすまんと魔力を調整した。
「どうじゃ? 信用する材料にはなったろう?」
「え、ええ……」
すると階段を駆け上がってくる複数の足音が聴こえる。
「ちょっとレイチェル様!? 大丈夫!?」
駆けつけたのは、監視兼護衛のキリアと騎士達。
あの魔力量を全身で浴びたのが、自分達だけではないことが証明された。
「だ、大丈夫です」
そう言いながら、窓の方を見ると彼女の姿がない。
「原因の調査をお願いしても?」
「はい、わかりましたぞ」
そう言うと足早にこの場を去る。
「おお、おお。すまんすまん。やり過ぎたのぉ」
ひょっこりと銀髪の獣人娘が戻ってきた。
「貴女、本当に獣神王?」
「そう言っておろうが。まだ信じられぬか?」
先程の魔力量といい、長生きしている余裕のある貫禄を見せる喋り方といい、まだ信じきれないところはあるが、少なくとも今の自分達が対処できる存在ではないことはわかる。
「わかったわ。とりあえずは信じましょう……」
「まあよい」
「それで何用でしょうか?」
「――何用でしょうかではないわい! お前達が放っておる、あの不気味な魔物のせいで、わしは気持ち良く寝られんじゃろうが!?」
何を他人事みたいな尋ね方をしていると、レイチェルに素早く詰め寄り、文句を垂れる。
不気味な魔物というものにも、覚えはあった。
ディーガルが導入を始めた生物兵器のことだろうと。
「主らの争いごとに首を突っ込むつもりはないが、わしが寝床にしておるところで、あんな魔物共が枕元へ来てみろ……寒気が止まらん! まったく、人間という奴はけったいなものを作るもんじゃ……」
レイチェルはその生物兵器の詳しい事情を知らないため、できる限りの情報を獣神王から知るために尋ねる。
「あの詳しくお伺いしても?」
「む? お主らの使役する魔物じゃろ? あれは……」
「確かにそうですが、わたくしは一切知らないのです。貴女の望みを叶えたくとも、情報がないでは……」
その落ち込んだ様子とここはヴァルハイツではないのに、側近が一人にポツンとした部屋。
それらを総合して獣神王は結論を出す。
「主、監禁されておるのか?」
「……間違っているようで、合ってますよ」
「?」
レイチェルは亜人種達と関係を持つべきだと、意を唱える穏健派。
だが国王もディーガルもそれを認めることはなく、だからと言って殺すわけにもいかず、キリアや他の騎士達の監視の元、ゴンドゥバにいる状態である。
というよりは国王自体が娘であるレイチェルを可愛がっているところから、この状態が続いている。
レイチェルもディーガルの腹の内には、殺しておきたいと考えているだろうと睨んでいる。
そのため下手な行動もできず、ハイネと共に山と森を眺める毎日である。
「そっか。ならば教えてやろう。ちょっと待っておれ」
そう言うと、シュタッと姿を消した。
「……ハイネ。貴女はアレを獣神王と信じる?」
「獣神王の逸話を考えれば、照らし合わせて合致するような印象が所々にはあるように思えます」
獣神王は世界中の森や山などの森林地帯での逸話が多い。
伝説の幻獣との激突、泉の大怪魚の討伐、オークやウルフの大量発生を一回の遠吠えで打倒するなど、中々喧嘩っ早い印象を受ける。
「そうだけど――」
「待たせたのぉ」
そう言って獣神王は人の死体をレイチェルの前に転がした。
「ひっ!? こ、これは……?」
「き、貴様! いきなり何を持ってくるのだ!」
「ほれ。これが生物兵器の正体じゃ」
「「!?」」
レイチェルも生物兵器を見たことはある。特性が多少違うだけの魔物だと考えていた。
二つの頭を持つワーウルフ、頭が砕けても蘇生するグール、出目金のように飛び出た大目玉を持つゴブリン、中には人間の腕が複数生えた蜘蛛みたいな種族もわからない魔物など、多様な生物兵器が存在していた。
しかし、目の前に転がっている死体は、成人エルフの姿だった。
「これが……我々の放っている魔物だと言うの?」
「? そうじゃと言っておろう。魔物を殺したら此奴が姿を見せてな。本来あるはずの魔石を所持しておらん。おそらくは此奴が心の臓の代わりをしておったのだろうなぁ」
他にも死体はあるが持ってこようかと、平然とした態度で尋ねてくる獣神王の言葉など、耳に入るはずもなく、レイチェルは震える。
それは恐怖してではない、腹の奥からふつふつと沸き立つ感情であった。
「こんなっ! こんな非情なことがあって良いわけがありません!」
「レイチェル様……」
「何を言い出すかと思えば……。人間はこういうのが好きじゃろ? 他者の命や誇りを弄ぶことを好むじゃろうが」
「それは偏見です! わたくしはこんな……こんなことを……獣神王様」
「むっ……」
真剣な眼差しを向けられた獣神王は、少々身構える。
「知らなかったこととはいえ、このような不快なものを振り撒いた者の関係者として、謝罪致します。これらの関係者を引きずり出し、法の元、裁くことを約束しましょう」
「その辺は主らの好きにすればよい。わしは静寂が戻ればそれでよいのじゃ」
「そ、そうですか。それで、不躾ではありますが、お願いがあるのですが……」
「何じゃ? 言うてみぃ」
窓際に座り、頬杖をつき尋ねてくる獣神王に、胸に手を当て提案する。
「わたくしの協力者となって頂きたいのです」
「ほう」
「獣神王様は今まで通り、我が国が放ちし生物兵器を狩って頂き、その被害者となった方を引き渡して頂きたいのです」
「見返りは?」
「貴女が住まう森の安寧と静寂は勿論、わたくしが王位を獲得した際、可能な限りの望みを叶えましょう」
「殿下!? それは……」
王子がいる以上、王位を継ぐのは無理なのだが、何かを企てるような笑みを零すと、
「――あっははははっ! 半ば監禁されておると言うておった娘がほざきよる。良かろう! 面白そうじゃし、乗った!」
「本当ですか!?」
「この獣神王に二言はない。せいぜいこの老骨を使って成り上がれば良い。その代わり、わしも楽しませてもらうぞ、娘」
「ありがとうございます。それでは早速ですが、具体的な話を――」
***
「――このような具合にわたくしの協力者となって頂いております」
レイチェルはその死体を回収し、王国にいる穏健派な王国魔術師に引き渡し、調査を行なっている。
勿論、ジャッジメントであるキリアにバレないルートを用意し、向こうの穏健派のことを気付かれないよう、配慮して調査を行なっている。
あの生物兵器は王国の技術部が作っていないことも明白。
この生物兵器を作っている人間も探しているそうだが、ディーガルのことだから、用意周到に隠しているのだろうと残念がる。
「そうか。その死体は後で私達にも見せてくれ」
「構いませんが、お気を悪くなされるかもと思いますが……」
獣神王が気さくな性格なことに安堵を浮かべていると、ふと思い立つ。
協力者になってるのはいいが、生物兵器を狩っているという話だ。中々目立つのではないかと不安になる。
するととんでもないことに気付いた。
「王女殿下! すぐに獣神王を呼び出せますか?」
「いえ、気まぐれな方なので、連絡がつきません」
血相を変えた俺に尋ねてくる。
「何か思い付いたのか? 答えてみろ」
「今、獣神王はヴァルハイツの生物兵器を倒し回ってるってことたよね? だとすると、それって……奴らに気付かれるんじゃ……」
「――なっ!? レイチェル! すぐに彼女を呼び戻せ!」
「や、やるだけやってみます」
いくら奴らが原初の魔人を見つけるために、龍神王の首を使っているとはいえ、情報はあった方がいいに決まってる!
こんなの宣伝して回ってるだけじゃないか。
俺達が今できることは――、
「間に合ってくれ、アルビオ」
先に亜人種の里へ赴き、調査を先行していたアルビオ達が先に見つけてくれることを祈るだけだった。




