01 自己紹介
皆様どうも初めまして。先ずは自己紹介をさせて下さい。
俺の名前は鬼塚 勝平と言います。
何か強そうな名前だなぁと思われたそこのあなたっ! 正直に言います……名前だけです。所謂名前負けってやつです、はい。
俺はどこにでもいるような平凡な高校生。取り分け特技もあまりありません。趣味はゲームってだけ。だから交友関係も図らずともオタク友達が多いわけで。
もちろん自慢ではないが非モテだし、彼女がいない歴=年齢である。背も小さく、母似のせいか童顔丸顔と男らしい要素など微塵もありません。
だから、初対面の人に自分の名前を言うとクスッと嘲笑されたりします。子供の頃なんか名前が鬼塚のせいもあって小鬼、小鬼などと虐められもしました。
苗字もそうですが、名前の方もどうなのって思ったりします。勝平ですよっ!
……まず、全国の勝平さん、すみません。
もうちょっと、何て言うかあったんじゃないかなぁ。ちょっと古臭い名前には聞こえませんか?
……全国の勝平さん、改めてすみません。
両親も両親だよ。自分達の容姿とか考えればどんな風に成長するとか容易に判断付かないかな? まあそれで名前を決めるのもおかしいが……。
もっとさ蓮とか悠人とか男らしくも落ち着いた名前ってあると思うんだよ。この容姿なら間違いなく挙げた名前がしっくりくると思うんだけどなぁ。
俺の両親共々趣味は渋く、時代劇好きという。特に江戸を舞台にしたやつ。人の趣味にとやかく言うつもりはないし、それは個性だから許容範囲内だと思うけど、古臭く渋いせいで子供の名前まで影響を及ぼすのはやめてほしい。
鬼塚 勝平……名前だけでパッと想像がつくのは、ガタイの良いパツキンの男ってイメージ。
……どう? 名前負けしてるでしょ?
さて、何か途中から自己紹介じゃなくて悪口になってしまいましたが、そろそろ本題にいきたいと思います。
何故、自己紹介をしたのか。
まあ自己紹介って大事な事ではあるんですが、そういう意味で言った訳ではありません。
聞いての通り、俺は男です。名前もそうですが、彼女がいないとか男らしい容姿じゃないとか男らしすぎる名前にコンプレックスを持っているとか。
――そう、俺は男だ。男の筈なのに……。
鏡の前で瞳孔が震え、口を半開きにし青ざめた顔をして立っている絶世の美少女が目の前にいる。
そう目の前にいるのだ! 鏡の前に! 今一度言う、鏡の前に――。
「な、なんだよ。……これ」
ぽつりと鏡の前の美少女は呟いた――。
今度は異世界ものです。よろしくお願いします。