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問おう! 貴方ならこの状況、歓喜しますか? 絶望しますか?  作者: Teko
3章 ザラメキアの森 〜王都と嫉妬と蛆蟲の巣窟〜
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10 頼もしい? 先輩

 

 フェルサ達を見送ると俺達は食堂へと移動する。そこには今日テルサをからかっていた二人を入れた数名が食事を取っている。


 この大きさの寮の割には人数が少ない。これから増えていくのだろうか?


 通りはしなかったが、居住区や貴族街などもある為、そこから通う者も少なくはないだろうから、もしかしたらもう少ししか増えないかも。


 向こうの寮知識によっては先輩のお世話を後輩がしなくてはいけないなんて暗黙的ルールなんてある話も聞いた事があるし、この寮はそうじゃない事を祈りたい。


 やっとでさえ、女の子になって魔法がある世界なんだ、厄介ごとは少ない方がいい。


 俺の心配も他所にアイシアは足早に料理が用意されているテーブルへと向かう。


「はあ……おいしそう」


 恍惚な重いため息をついた。それもそのはず、何処ぞのホテルのようにブッフェ形式に色とりどりの料理が並ぶ。


 青々とした緑色が生えるように赤、黄色、紫と色んな野菜をふんだんに使ったサラダ、美味しそうに湯気を上げ、香ばしい匂いで食欲をそそる小麦色の味飯、只々純粋な黄色に輝くオムレツ、白いどろっとした液体の中を形を疎らに切った色合いが派手な果実が泳ぐフルーツヨーグルトのようなデザートなどなど十種類ほどの料理が用意されている。


 寮の食事にしては、些か豪華に感じた。成長期に栄養を摂る意味では理にかなっている気もする。


「そちらの物を使って下さい」


 示された方には、皿、フォーク、ナイフ、スプーンが用意されている。やはりお箸はない。


 あちらにはスープもありますよと教えてくれた。


「好きな物を好きなだけ食べて下さいね。ただし、よそった分は残さず食べて下さいね」


 一同は早速と皿を手に持ち、料理をよそっていく。


 おかわりも自由ということでとりあえずの量を取ると席を探す。


 と言ってもこれだけ空いているのだ探すも何もないが。


 すると、こっちこっちとユーカが自己主張激しく手を振る。その真正面には黙々と食事を摂るタールニアナの姿もあった。


 あそこまでアピールされると無視する訳にもいかず、お邪魔させてもらうことに。


「ご一緒してもいいってことですよね?」


「そんな堅苦しいのはいいよ〜。後輩ちゃんと仲良くしようってだけなんだから〜」


 日本人として、どうしても上下関係を気にしてしまう。個人差もあるだろうが、俺みたいなチキン野郎は顔を(うかが)ってしまう。


 だが、この人はそんな様子を見せない姉御肌を見せる。リア充溢れるノリは俺みたいな陰キャラには気後れする。


「自己紹介はやってなかったね、そういえば……」


 確かに名前はテルサが言っていたから聞いたが、自己紹介はしてない。焦る様子でこちらから名乗る。


「えっと初めまして、リリア・オルヴェールです。これからお世話になります」


「リュッカ・ナチュタルです。よろしくお願いします」


「アイシア・マルキスです! よろしくです!」


 俺とリュッカは丁寧に。アイシアはユーカと同じようなノリで挨拶。俺からすれば、恐れ多くてできん。


「みんなよろしくね! 私はユーカで〜、こっちはターナ」


「ターナでーす。よろ〜」


 二人は砕けた感じで言ってくる。


 緊張させない為だと思うのは深読みだろうか。テルサに対する態度をみると素のような気がする。


「ほら、テルサちゃんの料理美味しいから食べな食べな」


 じゃあと俺達は食事を取ることに。


 やはりみんなと食事をするのはいい。和気あいあいと話が弾んでいく。


「へえ〜王都は初めてなんだ! 私達は王都出身だから案内してあげようか?」


「いいんですか? 是非!」


 きゃぴきゃぴと黄色い声がガランとした食堂に響く。にしてもさすがアイシア、すぐにユーカと打ち解けあっているようだ。


 俺なら趣味の話だとかとにかく話題がないと、いや話題があっても人を選ぶかも。


 リリアには負けるが小心者です。


 ユーカとタールニアナは一個上の先輩。このギャル風なユーカが騎士科、タレ目の気怠そうなタールニアナが魔法科。二人は幼馴染らしい。


 アイシアを通してだが、先輩とパイプが出来るのはいいことだ。俺に至っては中身、異世界人だ、頼りにできる人は多い方がいい。


「リリアちゃんとか何でも似合いそうだし……」


「着せ替え人形にしがいあるよね〜」


 楽しそうなしたり顔の二人。女性服(こういう)頼もしさは必要ないのだがと、顔を引きつらせながら愛想笑いを浮かべ、明日の買い物に嫌な予感を募らせるのだった。

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