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問おう! 貴方ならこの状況、歓喜しますか? 絶望しますか?  作者: Teko
3章 ザラメキアの森 〜王都と嫉妬と蛆蟲の巣窟〜
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04 学校の種類

 

 ここは学園区。先程の商業区とは違い、どこか小綺麗である。まだ、学校が始まっていないのか人通りは少ないが、リリア達くらいの人が幾人かすれ違う。


「さっきの場所とは雰囲気が違うね」


「そりゃそうよ。ここは貴族校が近くにあるからね」


「貴族校?」


 サニラは淡々と説明を始める――。


 この学園区には四つの学園が存在する。


 まずは貴族校。名の通り、お貴族様が通う学校である。この国を将来支える人材の育成が特に盛んな学校と言えよう。ここを卒業する多くの貴族達は立派にこの国を支える人間となり活躍、武勲や利益といった功績を称え、それを糧に次の世代へとループするとのこと。


 次は平民校。これも名の通り、平民が通うところ。いわゆる普通科とプラスで自己防衛程度の戦闘訓練をなされる。最近では、魔物の活発化や冒険者志願者なども続出し、戦闘訓練も本格化しようと言う動きもある。


 次は技術校。これは向こうで言うと専門学校がわかりやすい。魔石の加工や魔法術式の開発のようなこの世界特有のものから、建築、音楽、美術などのものまで様々。それ専門の貴族や興味のある平民が通う学校。興味対象が一緒なのもあってか、貴族と平民といった差別が殆ど見受けられない平和な学校である。


 そして、リリア達が通う学校が俗に勇者校と呼ばれる。将来勇者になるとかではなく、勇者が平民だったことから、身分なんて関係ない。学ぶべき者達は等しく人であると当時の王様が勇者の志から設立した学校。この学校では貴族校とほぼ同じ目的の学習が行われる。


 どんな勇者だったんだ? 聖人君子かお前と思ったのは内緒だ。考え自体は素晴らしい事だと思う。


 この学校は故に技術校同様、貴族と平民が通う。ちなみに学校の設立は勇者校の方が早い。


 だが、しきたりや決まりの弊害化はどこの世界でも一緒なようで。今ではこの学校で貴族風を吹かせているなんて噂もあるらしい。


「――てな感じよ」


 と学校を横切りながら、説明してくれた。何とも親切である。リュッカ達もあまり詳しくはないようで、感心する。


「何でそこまで詳しいの?」


「それは俺達二人は王都出身だからな」


「あっ、だからか。あれ? でもバークは勇者校に入ったりなんて考えなかったの?」


 バークは勇者に対してミーハーな反応を示していた。通いたいと思うものではないだろうか?


「この学校はあくまで勇者をリスペクトした王様が作った学校。俺は勇者と同じ生き様をしてみたいんだよ」


 この勇者校を指差し、高い志を胸に抱き酔いしれる。


「はいはい……」


 サニラは呆れているが。だが、さすが勇者校と言うだけはある。石造りの古風な感じでありながらも立派な校舎だ。年季の入り方がいい方向に出ている感じがする。


「で、サニラはお金がないから通えない? 平民校も?」


 アイシアが人様の家の事情に平気で踏み込む。訊かなくてもわかるだろう。


「借金があるからね! そんな余裕はない!」


「フェルサはお金は?」


 訊いておきながら、今度はフェルサに話を振る。むっとした顔でアイシアを睨む。


 アイシアは中々自由奔放である。


「ジード……」


 フェルサは推薦したジードに視線で尋ねると、にこりと優しい笑顔で答えた。


「大丈夫だよ。心配いらないから」


「――よし、じゃあここで降りてくれ」


 学校の門に到着。馬車を止め、俺達は降りる。


「じゃあリリアちゃん達は入寮手続きをするんだろ?」


「はい」


 ここでの生活に少しでも早く慣れる為、入寮許可が出始める時期に来たのだ。田舎出身の彼女達には王都の地理確認、学習道具の確保や武器、防具、道具の調達などやる事は多い。


 学校に入ってからより、入る前に王都のどこに何があるのか把握しておく生徒が多いとのこと。


「行っといで。リュッカちゃん達の荷物はすぐに運べるように降ろしておくから……」


「自分達でやるので大丈夫です」


「そうですよ……」


 ちなみに俺の荷物は買ったマジックボックスの中である。その方が負担は少ない。


「いいんだよ、慣れてるから。それに身体を動かした方がいいからね……」


 運び屋をやってるんだと落ち着いた物腰で話す。


「ありがとうございます! では、行ってきます」


「グラビイスさん達は?」


「とりあえずお前さん達と一緒に行っていいか?」


「はい! 勿論です!」


 俺達は新たな新生活を始める為、校門を通る。どんな始まりも期待と不安が募るもの。異世界でも変わらないが期待の方が強い。


 何せ魔法学校なのだから!

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