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問おう! 貴方ならこの状況、歓喜しますか? 絶望しますか?  作者: Teko
2章 王都までの旅路 〜残念美少女から普通の美少女になります〜
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73 マスク依存症というものもあるらしいです

 

「わかった! 私買うよ!」


 いつにも増してやる気を出すリュッカ。何かしらの心境の変化があったらしい、買う気が出たようだ。


 店主もその反応を見てニコニコと嬉しそうだ。早速おススメをしていく。


「そうだね……こういうのはどうだい?」


 先ずは形からとそう言って手にしたのは、楕円形の――俗に言うオーバルというフレーム。


「これなら顔に馴染みやすく、真面目過ぎずに優しいイメージを持てるんじゃないかな?」


「いいと思う。リュッカは近接戦もするし、大きな形より顔に寄せた小さなこの眼鏡の方がいい気がする」


 店主と俺がこの眼鏡を勧められて、リュッカは受け取りかけてみる。リュッカは鏡で自分を確認する。


 やはり女の子だ。ちょっと角度を変えつつ確認している。見え方って大切だからね。見た目九割って言うし。


「うん! リュッカいいよ! 可愛い!」


「そうかな……」


 少し照れながら言うリュッカの印象が大分が変わった。真面目過ぎる眼鏡が浮いたイメージから、顔にしっくりきているのか、明るいイメージが持てる。


 それを見てサニラは、ほーっと口を開けて感心する。


「眼鏡一つでやっぱりここまで変わるもんなのね」


「まあそうだね。人によって顔の形が違うから、それに合わせれば似合う眼鏡くらい見繕えるよ」


 伊達にこの商売やってないときた。自信に溢れる発言だ。なのでリュッカが元々付けてた眼鏡について訊く。


「リュッカのこの眼鏡は悪いの?」


「そうだね、悪くはないよ。どんな眼鏡にも需要はあるから作られる訳だしね。真面目な印象を与えたいのなら、それでもいいけど……」


 リュッカの手に持つ眼鏡を視線で指す。


「その眼鏡はちょっと個性を出したい人向けかな?」


 ラウンドという形らしい。見た目通り、おおらかな印象を与えるものとのこと。若い人よりはもう少し大人の人の方が似合う傾向があるようだ。度量があるように見せる印象だろうか。


「へえ〜……じゃあこれは?」


 再びアイシアは星型眼鏡を手にする。


「好きだねそれ! 絶対にリュッカにつけさせちゃダメだからね!」


「わかってるよ……」


 愛想よく舌をぺろっと出して、あどけて見せる。


「ははははっ! そりゃトイメガネってやつだよ。雰囲気をガラッと変えるだろ? そんなのをかければさ!」


「……確かに!」


 アイシアは悪ふざけにかけて決め顔をする。


「そんな眼鏡かけない!」


 サニラが乱暴に横殴りにぶん取った。


「そんな形のはせめてサングラスにしなよ……」


 俺のこのポツリと言った発言にぴくっと店主の地獄耳が冴える。


「サングラスって何?」


「え? あー、えっと……」


 この世界では眼鏡自体かける習慣が少ないんだから、サングラスなんてある訳がない。


 だから俺がわかりうる情報を軽く説明する。


「簡単に言えば、太陽の光を遮断するメガネ……かな?」


「太陽の光を遮断?」


「そう。度がつかない太陽の光だけを遮断するメガネだよ。レンズの部分が黒いのが特徴かな?」


 その説明に一同きょとんとする。もっとわかりやすい使い方を説明した方が良いと思い、状況を加えてみる。


「海とかで日光浴とかしないかな?」


「あー……そうだね。する人もいるね」


「そうしたら眩しいよね? 太陽」


「まあそうね。まさかそれを遮断するだけのメガネ?」


「そう」


 さらっと答えるとサニラは呆れた物言いで受けた印象を話す。


「そんなの意味ないじゃない。目を瞑ればいいでしょ?」


「まあ、そうだけどさ。せっかくなら景色も見たいじゃない? その為のメガネだよ」


「あれ? でもさっき黒いレンズって言ったよね?」


「黒いって言っても外の景色はわかるように薄くなっている仕様だよ。周りが見えないと危ないでしょ?」


 ふむふむと真剣に聞き入る店主。商売の匂いを嗅ぎつけた商人の目だ。だが、それにも気付かず俺は話を続ける。


「それに敢えて黒くして目を隠すことでその人の印象もガラリと変えられるよ」


「へ?」


「人の表情は顔のパーツによって判断できるでしょ? 目とか口とか。だからその一部を隠すことによって、その人に強い別の印象を与えることが出来るんだよ」


 そういうと店主に紙とペンを用意してもらい、実演することにする。メガネを一つ借りてかけて、そのレンズに合うように紙を切り、黒く塗り潰した紙をレンズの上に重ねる。


「ほら、こうして目が隠れることで表情が読み取り辛くなり、ちょっとクールなイメージが湧かない?」


「確かに……」


「そうか! 口を布で隠しているのもそうだな!」


「そういう事だよ。つまりこのサングラスは太陽の光から目を守るだけじゃなく、ちょっと違う印象を与える。いわばオシャレに使えるメガネってところかな?」


 ある程度の説明を終えると店主が輝いた目で詰め寄ってくる。


「で!? その製法は?」


「そ、そこまでは……」


 ごく一般的な元男子高校生がそんな事まで知る訳もなくたじろぐ。


「そっか。なら自分で作るしかないな!! そのサングラスとやらなら、こんなふざけた形でも売れそうだ!!」


「頑張って下さいね」


 すると、先程からこちらの話に圧倒されて立ち尽くしていたバークが尋ねる。


「あの〜……そろそろ買い物終わる?」


「あ……」


 俺を含めた女の子達が声を揃えて、気がついた。まさか自分が男を待たせる立場になるとは。


 俺も女の子に染まってきたってことかな、なんか複雑。


 ――その後、リュッカは店主に勧められた眼鏡を購入した。ついでに自分も買っておくことにした。

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