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(10)二人、前へ




ここは本当に暗い。



ぼんやりとした灯りが遙か遠くで揺らいでいる。


横道が無数にあって、その先は真っ暗だ。


音も光もその存在をかき消されてしまったように微塵も揺らめかない。



ミヒロは僕の手をずっと握ってる。


曖昧な記憶のトンネル。

冷たい現実へと続くトンネル。


眠らない夜は長く、重たかった。


朝、と言えるのかどうかわからないけれど、目が覚めたら僕は灯台の前にいて、ミヒロは僕の手を繋いでいた。


僕はミヒロの言うままに灯台の足元にぽっかり空いた穴からこの真っ暗な世界に入った。



まるで夢の中で夢を見ているようだ。


ミヒロは一言も口をきかず、目だけで僕を案じている。どうやら僕のために言葉を失ってしまったらしい。


僕の手を引き、真っ直ぐに、灯台の足元から灯りを目指す。


あの微かな灯りは、途切れずにいてくれるだろうか。


どれくらいの時間、夢の世界で生きていたんだろう。


僕は本当の居場所に帰ろうとしているんだろう。曖昧な記憶を抜けて、冷たい現実の世界に。


そこに灯りはあるのだろうか。家族は変わらず側にいるのだろうか。僕は何歳なんだろう。ミヒロは。



そんな不安をよそに、僕らの足音は少しずつ音域を取り戻していくように、一歩、一歩と揺るぎないものになっていく。



確かな足取りで前へ。


二人、前へ。




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