アイテムボックス
更新遅くなりました。
申し訳無い…
またすぐに更新出来るよう頑張ります。
部屋は20畳程あり、私1人で住むにはとても広い。
大きな窓は開いており、真っ白なレースのカーテンがユラユラ揺れている。
ベッドやソファ、テーブル等の家具は大体あり、良い感じのポジションに設置されている。
良い感じのポジションとは、いつ襲撃されても邪魔にならないという意味だが。
「皐月、さっきのは何なのかしら?靄の中にカードを入れてたのだけれど…」
さり気なく誘導されてソファに座ると、クロウが問い掛けてきた。
『さっきの』とはアイテムボックスの事である。
「何かって、スキルですよ。アイテムボックスってあったでしょう?」
そう言ってステータスを開き、開示する。
イヴァンとベガは一瞬躊躇ったが、ソロソロと視線をステータス画面に向ける。
「あぁ…あれがアイテムボックスなのね。属性とか他のスキルに吃驚してたから頭から飛んでたわ」
「飛ばさないでくださいよ。ちゃんと取り出せるから大丈夫ですよ!消えたりしません」
ふふんと胸を張って答える皐月。
クロウは眉尻を下げて苦笑した。
「これ本当に聖女のステータスなの…?僕より明らかに強いんだけど…」
「………」
初めて見た皐月のステータスを困惑した表情で眺めていたイヴァンとベガ。
戦闘系過ぎてちょっと引いている。
「そうなの?まあ強いならいいじゃない。自分の事は自分で守れるわけだし」
3人は聖女とはなんぞやと言いたげな表情で皐月を見る。
当の本人はキョロキョロと部屋を見回していた。
「まあ、そうなのだけれど…。ところで、それはどれ位の容量があるの?」
「どれくらいだろう?私も分からないの」
いち早く立て直したクロウが最もな疑問をぶつける。
どれくらい入るのかやった事が無いから聞かれても困ってしまう。
鑑定の力を使って、ステータスのアイテムボックスを視る。
アイテムボックス
↳容量無制限。時間経過無し。
但し生きているものは入れられない。
(注意:魔力量によって容量は変化します)
収納物▼
容量の制限も無ければ、時間経過まで無かった。
生き物はダメでも生物は入れられる。
アイテムボックスの有用性を理解した皐月はニヤニヤが止まらない。
「容量無制限に時間経過無し…すごいを通り越して最早怖いわね」
「今なら何でもできる気がする!……あれ?何これ?」
収納物と書かれた所を触ってみる。
すると、何が入っているのか書かれた画面に切り替わる。
入れた物はカード3枚しか無い筈なのだが、そこには皐月が日本で利用していた物が書かれていた。
「わぁっ、ジャージもあるし着物まで入ってる!…って、観葉植物まである!?」
皐月の両親は呉服屋を経営しており、洋装よりも和装の方が馴染み深かった。
ザ・西洋なこの世界ではもう着る事は無いと思っていたがこれならまた着られる。
見た所、皐月の部屋にあった物全てがアイテムボックスの中に収納されていた。
観葉植物の所を触ってみると目の前のテーブルに靄がかかってポトスが現れた。
思い浮かべるだけでなく触っても取り出す事が出来るようだ。
「……これなあに?」
突如テーブルに現れた植物を3人はジッと見つめる。
「ポトスって言う観葉植物で、元の世界で私が育ててたの」
「観葉植物って事は見るだけって事だよね?必要なの?」
「お花飾るのと同じ感覚じゃない?花だと枯れるけど、これならずっと綺麗でしょ?」
「確かに…」
「そういう考え方もあるのねぇ…」
3人は納得した様に頷く。
皐月はポトスを持って歩き、窓際の棚の上に置いた。
「皐月は規格外だからあまり人に近付けられないわね…しばらくはイヴァンとベガの側から離れちゃダメよ」
「はーい」
これからの事を少し話し、3人は訓練の為に部屋を出ていった。
部屋の中に1人になり、ベッドに座る。
寝転がり、ボーッと天井を見つめる。
(あぁ…眠いな…)
急に瞼が重くなり、目を閉じる。
直ぐに規則正しい寝息が聞こえた。
静かに扉が開き、さっき出て行った筈のクロードが顔を覗かせる。
静かに皐月に近付きブランケットを掛ける。
柔らかに微笑み頭を撫でる。
「おやすみなさい、良い夢を」
そう言い、また静かに部屋を出て行った。