1 やっと手に入れた天職
~剣技・知能・精神~
この3つを鍛え上げた者こそが"聖騎士"にふさわしいと言われている。
しかし、国王の直属の部下として仕えることができ、収入も文句が無いレベル。
つまり、子供なら1度は夢見る職業だ。
だが、その試験は当然のように超がつくほどの難関ばかり。1つ取るだけでも人生の半分を使ってしまう人もいるらしい。
そんな中、俺は若干20歳という若さで全てを手に入れた。奇跡と呼ぶべきか、精神と剣技は生まれたときから十分に備わっていた為、勉強をするだけでここまで来ることができた。
いや、ほんとに奇跡としか言えないくらいだった。
迎えの馬車に乗り、城まで案内される。そして王からなんともありがたいお言葉を受けとると、聖騎士だけに渡される専用の鎧に身を包む。
テンションは上がりっぱなしだ。同期の叔父さんなんか凄く泣きそうになっている。
気持ちは凄く分かるぞ、おっさん。
そして、これからのことについての心得や、仕事内容の説明を受けた後、王より直々に仕事を受けとる。
見るからに高そうな便箋を開き、中の紙を開く。そこにはとても丁寧な字で「南方の森に現れた悪魔の討伐」と書かれていた。
膝まずいたまま深く礼をして、下がる。ちなみに、同期のメンバーの中では1番の大仕事だった。
同期のメンバーに少しの別れを告げ、馬車に乗り込み南の悪魔の討伐へと向かう。
兵士250名とかなりの大がかりな作戦の指揮を任されたこともあり、緊張しながらも南に向かい悪魔との戦いを始めた。
森ごと大きく包囲し、徐々に逃げ場を無くしながら追い詰める。
これで最初の仕事は終わりだ。
そう思った時、自分は地面に這いつくばっていた。兵士は全滅、聖騎士になったばかりの俺でも歯が立たないレベルの魔物だったのだ。
軽々と持ち上げられ、大きく開いた口に飲み込まれる。身体中で感じる、自分が溶けていく感触はとても心地いいものでは無かった。
一瞬意識が途絶え、再び意識が戻った時、自分に森の中で寝転がっていた。