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赤いツツジの花言葉  作者: 森崎優嘉
1年生 4月
8/136

8話

土曜日、今日は4限まで授業で午後は球技大会の練習…だけど今日は拓都が合同練習で四宮学園を訪れる日でもある。

いつも通りに家を出るけど今日は椿沢駅が集合になっている拓都と2人で電車に乗っている。


「なんか、少し緊張する」

「ふふ、大丈夫よ。拓都の記録は良いのだから」


拓都は100メートルのスプリンターで大会では常に5位以上にいる選手、四宮学園の陸上部だってそんな選手と合同練習できるなんて喜ばしいことじゃないかしら。


「姉さんは午後球技大会の練習なんだよね?」

「ええ、一応拓都の合同練習と同時に終わる予定よ。帰りは椿沢駅で集合ね」

「了解」


駅に到着すると見慣れた制服の団体がいた、陸上部の顧問は私が在学中に体育の担当をしていた人だったと思うけど。


「じゃあまた後で、頑張ってね」

「姉さんもね」


拓都と分かれてバスに乗り込む。

学校に到着し教室に入りクラスの人達に挨拶をしながら席に座った。


「隼人、今日俺部活で合同練習があって午後の球技大会練習出れないわ」

「江畑って陸上部だったよな?」

「今日は外部の中学校が来るんだったね」

「そーそー」


江畑くんは陸上部だったのね。江畑くんは確かバスケに出る予定だからバスケ部で球技大会バスケのリーダーをしている隼人に報告しているわけか…大変ね。


「外部の中学かぁ…イケメンいるかな」

「真央、貴方面食いすぎよ…それに年下じゃない」

「イケメンなら3つ下まで行けるよ!」

「今日来る中学の陸部に去年の全国大会で男子100メートル2位になった奴が来るって先輩が言っていたな」

「全国大会で2位って凄いわね」


入学して数週間、華、真央、颯、隼人、江畑くん、私を入れた6人がいつものメンバーになっている。

ちなみに、全国大会男子100メートル2位は拓都のことね…やはり注目されていたか。


「江畑は何の競技なんだ?」

「俺も100メートルなんだ」

「じゃあライバルだな」


そんな会話をし授業を受けた。時間というのはあっという間なものでもう午後になっていた。私たちは小体育館に向かいバスケの練習を始める、ドリブルなどの音は聞いていて楽しい。


「瑞紀パス!」


真央からパスされたボールをゴール近くまで持っていく、相手は遮るようにやってくる。その姿を見ながら斜めにいた同じチームの小川翠(おがわみどり)さんにパスをする、小川さんはボールを綺麗に投げてシュートした。


「翠ナイス!」

「古澤さんが良いパスしてくれたおかげだよ!」

「この調子だったら上位に行けそうね」


男子バスケチームとも練習をし、切りがいいところで今日の練習は終わることになった。


「ねぇねぇ、陸上部の合同練習見に行ってみようよ」

「いいわね」

「江畑の走り見たこと無いもんな」

「そうだね」


私達4人で陸上トラックのあるグラウンドに向かった。そこには陸上部の練習を見ている生徒が多くいた…なぜだか黄色い歓声も湧き上がっているけど。


「賑やかだな」

「今日って中学生が来るんでしょう?そんなにイケメンがいるのかな…これは確実に行かないと」

「練習の迷惑にならないのかしら」


華の言うとおりだけど、応援の声だと思えば雑音なんて気にならないって拓都が言っていたわね。私達が空いていた席に座るとちょうど江畑くんと拓都が並んでスタート位置についた…これはどっちを応援すればいいのかしらね。


「江畑じゃん」

「ちょうど良かったね」


ピストルの音が鳴った瞬間に走りだし、きれいな走りで拓都が一位…1秒差で江畑くんがゴールした。


「一位の人、中学生だよね?すごく速かった!」

「江畑が言ってた奴って彼のことだろうな」


江畑くんと拓都は話しながら戻っていく途中に私たちに気付いた。


「えーばたー!がんばれー!」

「がんばれよー!」


手を振りながら叫ぶ真央と隼人の声に江畑くんは手を振ってくれていた。隣にいた拓都と目があった、頑張れと口パクで言うと頷いてくれた…さすが私の弟、読唇術はお手の物。

何本も走って2人は仲良くなったみたい、仲の良いライバルね。合同練習が終わって私達も校門に向かった時、ちょうど見送りをしていた江畑くんがいた。


「江畑、おつかれ」

「ああ、見に来てくれてありがとう」

「そのお隣さんは今日来た中学生かな?」

「ああ、彼が100メートル上位の古澤拓都くんだよ」

「古澤拓都です」

「イケメンというか美形!」

「言っていいることが同じよ真央」


私は彼らの会話を少し離れて聞いているのだけど…拓都は集合とかいいのかしら。


「そういえば拓都、集合とかいいのか?」

「はい、俺は身内と一緒に帰る予定なので特別に許可されました」

「身内?」


それって私の事でしょうね、いいのかしら?…ん?着信ね、海さんからだわ。


「瑞紀です」

『お疲れ様、拓都くんのことだけど瑞紀ちゃんと帰るのならって特別に許可出したよ』

「いいのですか?」

『千歳中学陸上部の顧問からもちゃんと聞いているからね』

「…分かりました、ありがとうございます」


…特別ってあまり好きじゃないのだけどね。


「警備の方からの特別許可って聞きましたけど」

「颯、何か聞いてるか?」

「いや」

「今、海さんから連絡が来たわ。千歳中学の顧問からもちゃんと聞いている上での許可だそうよ」


この学校で私の家族を知っているのは海さんだけだものね、あの人は本当によく分からない人…さすが四宮警備って感じかしらね。


「…拓都って何者?」

「ただの一般人です」

「思えば、誰かに似ているわね」

「姉に似ているとはよく言われます」


2人して父親似だものね、それにしても…ふふふ!皆して身内のことを探ろうとしているのが面白い。

笑いをこらえていたら拓都に呆れられた顔された…ふふ。


「俺、そろっと失礼しますね」

「身内待たなくていいのか?」

「はい、笑いをこらえている人には遅れて帰ってもらって末の妹に嫌われてしまえばいいんです」


ちょっ!


「ひどい事言うわね拓都、吹風に嫌われるのだったら貴方も道連れするわよ」

「変に笑っているのが悪い」

「…身内って瑞紀のこと?」

「はい、姉の瑞紀です」

「瑞紀の弟だったの!?」

「確かに似ているね」


ちょっとしたネタバレをして皆と別れ拓都と2人で家に帰った。



誤字・脱字がありましたらお知らせください。

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