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赤いツツジの花言葉  作者: 森崎優嘉
1年生 4月
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7話

「瑞紀のお父さんも四宮だったのか」

「はい、両親とも高校から四宮学園で同級生だったと聞いています」

「親が四宮の場合、勧められて四宮に行く子が多いからね」


私の場合は勧められていた訳じゃないけど。


「俺も両親が四宮生だし、弟も今初等部に通ってるんだ」

「朝陽先輩、弟さんがいたんですね」

「そ、今9歳なんだ」


9歳というと吹風と同い年、つまり小学3年生というわけか。


「瑞紀は兄弟いるのか?」

「はい、私の1つ下と4つ下に弟がいて7つ下に妹がいます」

「瑞紀がお姉さんになるんだな」


拓都は頼りになる弟で碧海と吹風は可愛い弟妹だ、特に吹風の可愛さは世界一。拓都と碧海の重度のシスコン…私はそれほどでもないと思っている。


「年が離れていると可愛いんじゃないかな?」

「え、夕陽は可愛くないぞ?」

「面白いけどね」

「颯、お前あまり夕陽をいじめてやるなよ?」

「善処するよ…でも、反応が可愛くて」


ドSだ…ドSがいる…朝陽先輩の弟かぁ…元気が良さそうな子な気がする。我が家だと碧海みたいな感じかもしれないわね、あの子は本当に元気が良いから吹風にも元気を与えてくれるしね…まぁ、1位を争うシスコンだから多少あれだけども。


「そういえば瑞紀ちゃんは千歳から来ているんだったね」

「はい」

「来週の土曜日に千歳中学校の陸上部と四宮学園の陸上部が合同練習があるって聞いたな」

「上の弟が千歳中学の陸上部なので昨日聞きました」


四宮学園の陸上部は中等部と高等部がほぼ合同で練習をしているのだとか。つまり拓都は高等部の陸上部員とも練習できるわけね、滅多にない機会だわ。


「警備の仕事?」

「そう、さすがに郊外から来るし一応警備の方も色々ね」


土曜日は午前中に4限授業がある…未履修分野の授業も無いけどその日は球技大会の練習があると華から聞いている。


「割当だと僕達のクラスは球技大会の練習だね」

「そうね」

「その日は部活も無いから球技大会の練習が終わったら自由でいいからな」

「はい」


拓都も椿沢駅で解散になっているため待ち合わせをして一緒に帰る予定でいる。

そんな話をしている最中にも2人の手が止まることが無い、それを見ているとノックが聞こえ男の声が聞こえた。海さんが声を聞いてキーボードで何かを打ち込むと扉のロックが解除された音がした…ロック式の扉って本当にすごい。


「朝陽先輩、頼まれてた書類整理終わったんですけど…もう7時近いし終わってもいいっすか?」

「助かったよ裕也(ゆうや)、もうそんな時間かぁ…そろっと下校時刻になるし終わろうか」


…7時近い?…え!


「今何時…」


そう言いながら時計を見たら6時55分だった。


「まずい…」


これは帰ったら吹風に泣かれる…それだけは避けたい。


「すいません、私帰りますね」

「電車の時間とか大丈夫?」

「恐らく大丈夫かと…お先に失礼します」


鞄を持って急いでバス停へと向かう、その間に母さんに電話。


『もしもし瑞紀?帰りは何時になるかしら』

「遅くなってごめんなさい、今帰っているところなの。今バス停に向かっている最中」

『あらそう、吹風がまだかまだかと帰ってくるのを待ってるわ』

「やっぱり…」


本当に申し訳ない。


『吹風に変わるわね…………瑞姉!』

「ごめんね吹風、帰りが遅くなってしまって」

『拓兄に瑞姉は忙しいからって言ってたよ、だから大丈夫!瑞姉、急いでもいいけど事故に気をつけてね』

「そうね、ありがとう吹風…あ、バス来たから切るわね」

『うん!瑞姉、待ってるね』


…本当に吹風って天使ね。

急いで帰るとリビングから吹風が出てきた。


「瑞姉、おかえり!」

「ただいま吹風」


我が家では帰ってきたら必ず手洗いうがいをするのが決まりだから洗面所に行く、その後すぐに部屋に行って着替えてからリビングへと向かった。


「お帰りなさい瑞紀、お疲れ様」

「おかえり」


リビングに行くと皆が待っていた…先に食べて良かったのに。


「夕食は皆が揃って食べないと味気ないからな」

「そうね」

「そうだよ!」

「だな」

「うん!」


この日の夕食は疲れも忘れるほど嬉しい一時だった。

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