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赤いツツジの花言葉  作者: 森崎優嘉
1年生 4月
6/136

6話

颯なのか楓なのか…正しくは颯です。

次の日の朝、朝食と自分の弁当を作るためいつもより早く起きルームウェアのまま階段を降りた。冷蔵庫を確認して朝食を作り始めると拓都が起きてきた。


「早いわね」

「手伝うために起きたんだ」

「あら、とても助かるわ」


拓都と2人で朝食の準備をし、6時過ぎに父さんも起きてきた。


「おはよう父さん」

「おはよう」

「おはよう2人とも…ああそうだ瑞紀、父さんも一緒に病院行くから」

「分かったけど…碧海はどうするの?」

「俺、今日朝練無いから碧海と一緒に出るよ」

「なら良かった、頼むわね?」


電車で片道40分でも車の場合は学校まで15分くらいで着く、病院もそんなに離れていないのが嬉しい。


「俺たちは7時半に出ようか」

「それなら時間も大丈夫そうね」


碧海も起きてきたわね。


「おはよう碧海、今日は俺と途中まで行こう」

「ん?拓兄朝練は?」

「今日は無いんだ」

「そうなの?分かった」


朝食を食べ着替えたり準備をして7時半、私は父さんの車に乗って病院へと向かった。


「そういえば普通面会の時間って午後よね…いいの?」

「今回は特別に朝にしてもらったんだ。今回もいつもの病室だしな」

「へぇ…」


詳しくは教えてもらっていないけど、父さんと母さんは四宮と何か深い関わりがあるようなのよね。


「特別だからいつもとは違うところから行くけど…大丈夫か?」

「?…何が?」

「いや、何でもない」


前に吹風が入院し、面会に行った際に使用した場所とは違う入口に入った。そこには警備の人がいて病院じゃない感覚がする。


「古澤です」

「確認いたしました、どうぞお入りください」


父さんに対応していた警備の人と目があったので目礼をしておいた。

父さんの後に続いてエレベーターに乗り9階で降りる…前に聞いたのだけど、10階まである病棟の9階は許可を得た人しか入院ができないのだそうだ。10階は四宮専用の病室になっているとも…本当に父さんと母さんは何者なのか疑問に思う。

ナースセンターに着くと吹風の主治医である四宮朗子(しのみやときこ)先生と母さんがいた。


「煌、瑞紀」

「おはよう陽香、先生もおはようございます」

「おはようございます、瑞紀ちゃんお久しぶりね」

「お久しぶりです朗子先生…母さんこれ、着替え」

「ありがとう瑞紀…ごめんなさいね。拓都と碧海は大丈夫?」

「家事も拓都が手伝ってくれたし碧海も少し元気が無いだけで大丈夫。今日は拓都が朝練無いから碧海の事頼んだ」


部活で疲れているだろうに…とっても頼りにある弟だわ。


「なら良かった…今ちょうど吹風が起きた所なの、2人に会いたいって言っているから中に入って?」


その言葉に父さんがすぐに動いて扉を開けた。相変わらず白い部屋に一瞬立ち止まってしまうけど吹風の嬉しそうな声に急いでベットの側に行った。


「お父さん、瑞姉、おはよう!」

「おはよう」

「おはよう吹風、もう大丈夫?」

「うん!」

「今、清子ちゃんが朝食を持ってきてくれている最中なの。瑞紀ちゃんは学校の時間大丈夫かしら」

「ここから学校へは近いのでまだゆっくり出来ます」

「瑞紀ちゃん四宮高校だものね。外部生となると優秀ね」

「瑞姉は凄いからよくお勉強教えてもらってるの」

「あら、それは良かったわね」


その後、朝食を運んできた看護師の二宮清子(にのみやきよこ)さんが部屋に入ってきた。


「おはようございます煌星さん、瑞紀ちゃん」

「おはようございます」

「おはようございます清子さん」


美味しそうに食べる吹風に癒やされる。

側には父さんと母さんが椅子に座っていて、私は少し離れた所にあるソファーに座っていた。私の横には朗子先生が座っている。


「瑞紀ちゃん、入学してまだ数日だと思うけど楽しい?」

「正直驚く事が多すぎて…」

「ふふ、でも四宮高校で良かったと思ってくれるのなら嬉しいわ」

「頭の良い瑞紀ちゃんですから生徒会に入るのでは?」

「…実は、打診が来ていて」

「あらまあ、今の生徒会長って朝陽よね?颯も入るだろうし」


そういえばこの人も四宮だ。


「朝陽と颯は私の従兄弟の子供なのよ」


四宮の会長には兄がいたはず、ということはこの人は兄の子になるわけね。


「さすが瑞紀ちゃんね、頭の中でもう正解にたどり着いてる」

「もう8時か…瑞紀ちゃん、そろっと行かないとじゃない?」

「そうですね」


時間というのはあっという間。


「瑞姉もう行っちゃうの?」

「学校行かないと…今日は早く帰るようにするから」

「午後には退院できるのだからお家で会えるわよ」

「そうだな、俺瑞紀を見送って来るよ」

「分かった」


父さんと2人で病室を出て1階まで降り先程と同じ場所まで行き、警備員がいる場所まで来ると後は一人。


「学校、楽しいか?」

「うん」

「そうか…瑞紀」

「ん?」

「病院、大丈夫だったか?」

「…大丈夫だよ、あれから数ヶ月は経つし。ぜひお墓参りは来てほしいって前に電話があったの」

「…辛い時はいつでも言ってほしい。お前は陽香に似て溜め込むからな」


別に溜め込んでいるつもりはないのだけど。


「くく…さぁ、行って来い」

「うん…行ってきます」


警備員に挨拶をして病院を出た。時間は8時15分、45分までには教室に入ればいいしここからなら15分もかからない。

歩いて10分、校舎が見えてきた。靴を履き替えて教室に入って席に着くと華と真央が側に来た。


「おはよう瑞紀!」

「おはよう、今日は遅かったのね」

「おはよう、少し用事があって遅くなったの」

「おはよう瑞紀」

「おはよう颯」

「おはようさん!」

「おはよう隼人」


昨日、隼人くんと呼んだら「呼び捨て!」と言われてしまった。

その後他愛のない会話をしていると時間になり授業が始まった。昨日と変わらず授業を受けて未履修分野の授業も終わり放課後、今日は顧問が来るとか行っていたわね。

部室に行くには一度生徒会室に入らなきゃいけないのが少し嫌なのだけど、生徒会の役員の人は皆私が打診されている事を知っていていつでもおいで状態になっている。そんな感じで部室に入るといつもの2人の他にもう一人、颯とよく似た顔の男性がいた。


「お、来たね」

「お疲れ様」

「お疲れ様です」

「君が古澤瑞紀ちゃんだね?初めまして、この部の特別顧問をしている四宮(かい)です」

「ちなみに颯の兄で俺の従兄」

「…初めまして、古澤瑞紀です」


颯の兄か…本当にそっくり。


「海兄は四宮警備の人でもあるんだ」

「四宮警備のシステム開発の方に席を置いるんだ」

「ちなみに兄さんは四宮警備の次期社長で四宮グループの次々期会長候補なんだよ」

「嫌だなぁ、次々期会長なんて朝陽で十分だよ。実際次々期会長は朝陽に決まっているようなものだしね…俺は部屋の隅でシステム開発に精を出していたいからね」


なんだかとんでもない人ね、というか朝陽先輩って四宮グループの次々期会長なのか。


「朝陽と颯からは聞いているよ、有能な人は大歓迎だ。特に女の子はね」

「はあ…」

「…兄さん、部活の顧問として来たんだよね?」

「おっと、そうだった…と言っても彼女とは面談したいから2人には作って欲しい物を用意してある。これをやっていてくれ」

「んあ?…これはまた、海兄鬼畜だねぇ」

「はぁ…」


面談?何を聞かれるのだろうか。


「さて、行こうか」

「え、どちらに?」

「ここには仮眠室みたいな小さい部屋があってね、変なことをしようとは思っていないよ。そんな事をやってたら弟に殴られてしまうからね」


そう言って海さんは颯に黒い笑顔で見られながら奥の部屋へと入って行く、私も続けて入るとベットと小さな椅子があるだけだった。

私が椅子に、海さんがベットに座るとお茶をもった朝陽先輩が来た。


「どうぞ」

「ありがとう」

「ありがとうございます」


朝陽先輩が部屋を出てからとりあえず一口飲んだ。


「じゃあ改めて…パソコン部の特別顧問をしている四宮海、歳は23歳で颯の兄です。四宮警備のシステム開発に席を置いていて次期社長って事になっている」


歳は言う必要が…まあいいか。


「瑞紀ちゃんの事は申し訳ないけど軽く調べさせて貰っているよ…と言っても瑞紀ちゃんのご家族については聞かされているから問題は無いんだけどね」

「え?」


聞かされている?誰に?


「あれ、ご両親から聞いてない?」

「知りません」

「そっか…じゃあそれについては俺よりご両親から聞いたほうがいいね」


…これは父さん達に聞かないといけないな。


「瑞紀ちゃんはとても良いお姉さんなんだね」

「…そうでしょうか」

「古澤家についてはある人から多少聞いていてね、今度会ってみたいと言っていたから会える日が来るんじゃないか?」


こんな感じで面談と言うか、雑談みたいなものが終わった。部屋を出ると2人は無言でパソコンのモニターと向き合っていた。


「海兄、これって今日じゃ絶対に終わらないやつだよね?」

「いいところまで行ったら後は本社の方でやる予定だよ。俺と同じなのはお前ら2人だけだからな、まあ次からは戦力が増えるわけだけど」


それって…。


「私の事でしょうか」

「そうだよ。あの試験を満点でクリアしているんだから主戦力決定、ちなみにあの試験で満点を取っているは瑞紀ちゃんを含めてこの場にいる4人と君のお父さんである煌星さんだけだよ」


満点だったとは言っていたが…そんな数少ない満点者の中に父さんと私がいるだなんて不思議というか父さん何者という疑問しか出てこない。

誤字・脱字がありましたらお知らせください。

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