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赤いツツジの花言葉  作者: 森崎優嘉
1年生 4月
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3話

やはりあれはお試しではなく本番だったみたい…2人の笑顔が怖かった。その後、私は2人の恐ろしい笑みに見送られながら下校、家に着くと父さんが階段を降りている所だった。


「おかえり瑞紀」

「ただいま」

「おかえりなさい、お昼出来ているからね」

「うん」


リビングに入ると母さんがちょうど昼食をテーブルに並べている最中だった。私は洗面台で手洗いうがいをして階段を登って部屋に入り、ルームウェアに着替えてからリビングへと戻った。


「入学式はどうだった?」

「どうって、普通だったよ?1時間もしないうちに終わったけど」

「友達はできたか?」

「まだ1日目だし、クラスで自己紹介した程度だよ」


ボケっとしていて大体の人の自己紹介を聞いていなかったけど。


「外部生は注目の的だっただろ?」

「うん」

「持ち上がりの多い四宮は外部生が本当に珍しいみたいよね」

「定員10名で、それでも定員を下回る人数しか入れないんだもんな」


結構ハードよね、四宮高校の入試って。


「あと、生徒会とパソコン部っていう部活に勧誘された」

「さすが俺達の娘だな」

「血は争えないわね」

「…ってことは父さんと母さんも生徒会に入っていたの?」

「そうだぞー。陽香が副会長で俺は会計だったんだ」

「煌の計算スピードは化物の類に入るからね」


父さんの計算スピードが早いのは知っていたけど…化物って。


「にしても、瑞紀が生徒会だけでなくパソコン部に勧誘されるなんてな…試験は受けたのか?」

「…お試しって言われて受けたけど、内容が高校生レベルではないし勧誘した2人の笑顔が怖かったからあれは本番だった気がする」

「点数は?」

「…満点だった」

「おう…」

「瑞紀は本当に煌に似たわね」


父さんは引きつった笑みで、母さんは苦笑いをしている。


「…どういうこと?」

「いや、ちょっとな…」

「煌もあの試験を満点で合格してパソコン部に入部していたのよ?」

「うそ…父さんも…母さんは?」

「私は違う部活に入部したから関係ないの」


父さんもあの試験を満点合格にて入部していたなんて…私、父さんと同じ道に進んでいるようなものね。


「あの部はな、学校のサイトにもパンフレットにも乗っていない部活なんだ」

「…部活一覧にも載ってなかった」

「あの部は本当に特殊でなぁ…四宮が運営している警備会社の開発部管轄で学校の心臓でもあるサーバーの管理とか実際に使用するソフト開発もしたりするんだ。顧問には必ず四宮警備の人が付くしな」

「今は四宮警備社長の息子が開発部に所属していて顧問をしているらしいわよ?」


それは一体誰の情報なのだろう。それにしても、パソコン部がそんな重要なところだったとは…そんな部に所属しているあの2人は四宮の者だからなのか。


「今2人いるんだろう?」

「うん、生徒会長の四宮朝陽先輩と同じクラスの四宮颯くん」

「見事に四宮家の人ね」


ほんとにね。


「まあ、四宮高校はイベントも多いし楽しいぞ」

「たくさん思い出作りさなさいね」

「…うん」


食べ終わった皿を洗ってから自室へと戻り未履修分野の課題に手を付ける、どの教科も3分の1は終わっているから…4月の終わりには球技大会が開催されて5月の最初はGWがある。24日から3日間中間考査だから、テストをやるなら10日あたりが妥当か。

それから課題を進めているうちに廊下から元気な声が聞こえて時計を見ると15時45分だった。今日は月曜日だから碧海も吹風も6限だったのか…少し休憩しようかな。


「おかえりなさい2人とも」

「瑞姉ただいま!」

「ただいま!」


目の前に吹風という名の天使な笑顔を見ると疲れが吹き飛ぶという拓都の言葉は本当だと思う。


「そうだ瑞姉、今日数学で分からない所あったから教えてほしいんだ」

「私もー」

「じゃあリビングで教えてあげるから道具持ってきてね」

「「はーい」」


可愛い弟妹である。とりあえず私を含め3人分のお茶を用意しよう、私と碧海は冷たいままでも良いけれど吹風は少し温くしなければならない。


「持ってきた」

「持ってきたよー」


2人が来たのはちょうど良い温度になった時だった。


「はいお茶、吹風のはぬるくしてあるから」

「ありがとう瑞姉」

「さすが瑞姉」


2人が教科書とノートを広げる、さり気なく吹風を優先させる碧海のシスコンぶりに脱帽である。


「これはこうやって…」

「あ、そうか!これをこうすればいいんだね」

「そうそう…うん、これで正解」

「やったぁ!」

「碧海のはこの公式を使うと簡単に解けるよ」

「おぉ…ほんとだ、簡単になった!」


算数ドリルなんて懐かしいわね、分からないところがあったら教科書見たりして時々父さんに教えてもらっていた。


「終わったぁ!」

「僕も!」

「お疲れ様」


ついでに宿題も終わらせたのだけど、2人とも頭の良い子達だから私が教えることは何もなかった。その間私は母さんの作る夕食の料理音を聞きながら時々頼まれる父さんの仕事を手伝っていた。


「ただいまー」

「あ、拓兄が帰ってきた」

「拓兄おかえり!」

「おかえりなさい、夕食が出来たわよ」


拓都も帰ってきて6人で夕食を食べた後、テスト期間以外はリビングでのんびりするのが我が家の日課。その間吹風立ちはお風呂に入ったり、私と拓都は今日の学校の話をしていた。


「へぇ、さすが四宮学園だな。ここら辺のトップ高はやることが違う…ってか、父さんもやっぱ超人だよな」

「いつもはヘラヘラしてるけど、本気を出せばって感じよね」

「お2人さんや、本人目の前にしてそんなに言うなよ…」

「父さん化物なの?」

「いやいや碧海さんや、父さんはちゃんと人間ですよ」


化物呼ばわりされる父さんと同じ感じな私も化物の分類に入るってこと?え、それだけは勘弁してほしいのだけど。


「碧海、お風呂良いわよ」

「ほかほか」


先にお風呂に入っていた母さんと吹風がリビングに入ってくると同時に碧海がお風呂に向かった。こんな感じで我が家の一日が終わるのだ。



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