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赤いツツジの花言葉  作者: 森崎優嘉
2年生 3月
112/136

2話

卒業式当日、天気も快晴で穏やかに式が始まった。

送辞はもちろん裕也先輩が、在校生の答辞は新生徒会長の颯が行う。あっという間に式が終わり卒業生が退場、去年と同じく玄関まで行くと卒業生も在校生も泣いている人が多かった。


「みーずーきー!」

「茜先輩、卒業おめでとうございます」

「ありがとう瑞紀ぃぃ!本当にありがとう!」


茜先輩の顔は涙で溢れていた。


「茜、瑞紀から離れてやれ」

「司先輩、裕也先輩、卒業おめでとうございます」

「ありがとう」

「ありがとう瑞紀」


3人は四宮大学に行かず、別の大学に行くため今日が過ぎると当分会えない。だから茜先輩が泣くのも分かるのだけどね。


「生徒会で写真撮りましょう!」

「そうだね!」

「江畑、カメラまかせた」

「おう」


撮影を江畑くんに任せ1枚。


「写真は後で送りますね」

「ああ、頼んだ」

「ありがとう!」


茜先輩と光ちゃんは大泣きだ。


「颯、辰巳、生徒会のこと任せたぞ」

「はい」

「はい!」

「瑞紀も、無理するなよ?」

「…はい、色々とご心配をおかけしてすいませんでした」

「まあ、今年度は頑張ったほうだな」

「だな、頑張れよ」

「はい、ありがとうございました」


こうして卒業式が終わり、片付けを始めた。


「うぅ…」

「そろそろ泣き止めよ」

「だってぇ」

「また会えるしいつでも連絡できるだろ?」

「うん…」


片付けが終わり、生徒会室では明日からの予定を確認して解散した。私と颯は部室に行き海さんの手伝いをしなければいけない。


「そういえば瑞紀、外部生入試も含めた合格者の点数が見れるよ」

「それを見て毎年生徒会のメンバーを決めるのよね?」

「うん」


颯のパソコンで入試結果を見ていると樹里の名前が2位に書いてあった。


「2位なんて凄いじゃない、頑張ったのね樹里」

「彼女も生徒会の打診を受けることが決定、あとは主席と3位の人だね」


主席の男子生徒は知らないけど3位に大沢栞と書いてあると言うことは大沢さんも生徒会入りね…凄いわね。


「3人生徒会入りかな?」

「だと思うよ」

「颯も瑞紀ちゃんも3年生か、早いな」

「そうですね」


入学したのがつい最近のように思えるのだから不思議だ。卒業式が終わればすぐに終業式があって春休みが始まる、春休みが終わればのう新学期…3年生だ。

次の日の授業では進路の話になった。


「高等部まではずっと四宮の奴が多いが大学は違うというのはお前らも知ってるだろ?もちろん四宮大学に行くのも多いが他の大学に行くのも多い、自分でしっかりと見極めて進路を考えろよ?」


2年生の授業でよく聞くのは進路のことだ。2年生の時点で進路を決めて3年生でその目標に向けて動く…大変な次期だ。


「仕方ないとは言ってもさ、進路、進路、進路!ってうるさいよね」

「まあ、しゃーないな」

「3年になればあっという間だからな」


母さんが作った美味しいお弁当を食べながら真央達の話を聞いていた。


「3年生かぁー、早いね」

「そうね」

「今年は撫子祭だよ?そこは楽しみ!」

「真央はそればかりだな」

「だってそうじゃん!江畑も楽しみでしょ?」

「まあね」

「また瑞紀の歌声が聞けると思うと楽しみなんだぁ~」

「私?」


私、今年も歌うの?そう思いながら颯を見るとニッコリと頷いた…マジですか。


「反響良かったものね、特に花が舞い上がるのは幻想的で良かったらしいわよ?」

「あれは…願いを叶えたかっただけだし、その感想だと歌なんて関係ないじゃないの」

「女王と女帝、陛下の歌声とあの花!あれが良いんだよ!」

「へぇ」


あの奇跡は今でも忘れられない。本当に不思議だった…今年もライブをやるのなら菜穂に伝わるようなものにしたい。


「楽しみだな~」

「今年は真央も歌ってみる?」

「え?歌ってみたいけど…緊張して上手く歌えないかも」


颯の目がキラリと光ったような気がする…こういう目をする颯は何か企んでいるのだ…真央、頑張って。

弁当を食べ終え、鞄へと戻すと椿からメールが来た。どうやら倉木さんと再開したと、元気がなかったのは学校で色々失敗したからだとかで今は元気に過ごしているそうだ。写真が添付されていて2人で仲良くピースをしている、倉木さんも私に会いたいと…私も会いたいわね。


「午後の授業は寝そう…」

「叩き起こしてあげようか?」

「颯の叩くは殴るだからな!?」

「目が覚めていいじゃない」

「ひでぇ!」


『そっちは学校楽しんでる?』この分に皆を見る。華に真央、隼人に江畑くん、そして颯…この学校で出会った仲間達だけど、不思議と昔から知り合っていたような感覚になる。


『とても楽しい!』


メールを送信すると颯が私を見ていた。


「ん?」

「今の瑞紀、とても幸せそうな表情をしていたよ」

「そう?…ふふ、だって本当に幸せだから」

「それは良かった」


この仲間たちに出会えたこと、本当に感謝している。

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