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赤いツツジの花言葉  作者: 森崎優嘉
2年生 2月
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2話

テストは無事に終えることができた。


「終わったぁ!」

「自由だー!」

「「いえーい!」」

「うるさいわよ」

「おつかれさん」


2年生最後のテストが終わってクラスの皆も一安心といったところか。

今日から生徒会も部活も再開し、放課後も各部活動の声や音が聞える。


「生徒会も卒業式に向けての作業ね」

「と言っても年度末の整理ってだけなんだけどね」


部活の方も今は落ち着いているため私と颯も生徒会の仕事をすることができる。と言っても時々海さんからのヘルプ要請で颯か私、大変な時は2人で部活に行かなければならない事もある。


「まあ今日は部活優先だし生徒会室に来ている人は少ないと思うよ」

「でしょうね」


弓道部の加藤くん、陸上部の拓都、サッカー部の東條くんは特に来れないと思う。


「華道部は今日の部活が無いから光ちゃんは来るはずよ」

「直登くんは写真部だけど…彼に関しては常に部活動をしているものね」

「確かに」


写真部は必ずカメラを持っている。部活動の最中は一眼レフを持っているのだけど授業の移動などは小型のカメラを持っているためいい景色などが目につくと直ぐに写真を撮るのだ。そのおかげなのか写真部の部員全員が何かしらの賞を撮っている。

そんな事を話しながら3人で生徒会室に向かうと直登くんと光ちゃんがいた、直登くんは一眼レフで外の景色を撮影しているようだ。


「お疲れ様です」

「お疲れ様、やっぱり2人だね」

「拓都と駆は部活ですから」

「とりあえず今日からの生徒会は今年度の書類整理、一応これは新学期までに終わらせることを目標にやっていく。本音を言うと卒業式過ぎには終わらせておきたいけど、まあそれは毎年無理だから頑張ろう」

「「はい」」

「分かったわ」

「運動部はこれから大会も控えているから、あまり来れないだろうし私達も部活があるから少人数で頑張るしかないわね」


今年度は柊祭だったから少しは楽なのだけど、とりあえずクラスや部活の予算などをまとめた紙を専用のファイルに…こういった地味な作業だけどこれからのためにもしっかりとやらなければならない。拓都がこういう作業得意なのだけど…はあ。


「…今までの書類とかもデータを読み取って勝手に引き出してくれる検索機が欲しい。春休み中にでも作ってようかしら」

「春休み中に秋さんが煌星さんに大きい仕事降るそうだよ」

「…碧海にやらせようかしら、いやでも碧海も手伝うわね。とりあえず暇を見つけて作ろう」

「碧海くん、凄いわね」

「だよね」

「そうね…碧海だもの」


碧海は家族の中で一番父さんに似たのだ。


「…文字ばかり見ていると疲れますね」

「確かに」

「少し休憩しようか」


全員椅子に座り、華が入れたお茶を飲んでいた。


「流石にこの人数でやるような量じゃないわね…」


私は無言で碧海に電話をかける、期末考査の日である碧海は午前でテストを終えて今は自室で勉強をしている最中だ。


『瑞姉、どうしたの?』

「勉強中にごめんなさい」

『大丈夫だよ、今休憩でゲーム作ってるから』


でしょうね…碧海がまともに勉強する訳がない。


「休憩中にゲームを作る碧海にお願いがあるのだけど」

『なに?』


碧海に先程のことを伝える、碧海も碧海で興味を示してる。


『別にいいけどそろっと中々大変だなぁ』

「…そうねぇ」

『ん?』


パソコンを操作して画像ファイルに入っている吹風の写真を見る。


「実は碧海がいない時、棒付きの飴玉を舐めながらカメラに向かってとても素敵な笑顔で写る吹風の写真があるの」

『なんですと』

「この写真に加えて吹風に抱きついてもらうチケット1枚でどう?」

『任せて!俺は何でも屋さんだからね!テスト終わり次第作っちゃうよ!』

「ありがとう、よろしくね」


通話を切り、次は父さんに電話をかける。


『どうした?』

「父さんに用事は無いの、どうせリビングにいるのだから吹風に変わってもらえない?」

『ひどっ!確かにリビングにいるけどな!?吹風も隣で宿題やってるけどよぉ…瑞紀さんや、最近父さんの扱い酷くないですか?』

「えぇっ?いつも私は父さんに優しいのだけど…嫌だわぁ」

『白白しいっ!父さん泣いちゃう!』

「いいから早く吹風に変わりなさい」

『はい……瑞姉?』

「吹風、ごめんなさいね宿題中に」

『ううん、ちょうど終わったから大丈夫だよ』

「碧海に先程ちょっとした頼み事をしたのだけど、その頼みごとが終わったら碧海に抱きついてほしいの」

『いいよー、その頼みごとはいつ終わるの?』

「碧海のテストが終わってからだから少し日が空いてしまうのだけど大丈夫かしら」

『うん!終わったら教えてね!』

「頼むわね、じゃあ」


これで大丈夫、そう思いながらパソコンを操作していると何とも言えないような表情をして皆が見ていた。颯はにっこり笑顔だったけど…なに?


「どうしたの?」

「いや、瑞紀…すごく悪そうな表情してたわよ?」

「そう?」

「碧海くん、また忙しくなりそうですね」

「でも、あの報酬だったら碧海くんのやる気も出るだろうね」


いい報酬だと思うの。


「さてと、作業に戻ろうか」

「がんばりますか」

「ですね」


こうして忙しい2月は過ぎていくのだ。

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