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赤いツツジの花言葉  作者: 森崎優嘉
2年生 1月
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2話

夜、吹風と樹里は仲良く2人で眠り、残る私達は他愛のない会話をしていた。


「四宮会長も相変わらずのようだな」

「ええ、お父様に負けないくらい元気よ」


そういえばおじいちゃんと会長は知り合いだったか。


「私はもういい年だ、瑞紀と拓都が高校生で樹里と碧海が中学生、吹風も次期に中学生になる。孫達も立派に育っているからな」

「樹里の場合はまだまだですよお義父様」

「まあ、瑞紀ちゃん達が立派なのは確かだね」

「褒めても何も出ませんよ伯父さん」

「飴ならあるけど」

「姉さん、なんで飴持ってるの」

「さっき吹風から貰ったの」


飴を貰う時は吹風があまりにも可愛くて写真を撮ってしまった。


「シスコンに磨きがかかりすぎるな…颯くんに引かれるぞ?」

「残念だけど父さん、颯さんはこれを含めて瑞姉を好きなんだよ」

「あらまあ」

「瑞紀ちゃん、彼氏ができたの?」


恥ずかしい…。


「四宮会長のお孫さんなのよね」

「ほう?それはまた」

「まあまあ!」


皆の視線が恥ずかしすぎる、特におばあちゃんの輝いた目がなんとも…穴があったら入ってそのまま埋まってもいい。


「吹風の方も最近はなんとも無いか?」

「去年みたいに入院するほどの発作は起きてないわ」

「そうだな…今のところは安定していると思います」


確かに、去年みたいに入院するような発作は起きていない…安心していいのかどうなのかは分からないけど、このまま症状が良くなって欲しい。


「ふぁー…寝ようかなぁ」

「寝るか、明日も寝坊できないし」

「だね」

「私も寝ようかしら」


おじいちゃんたちに挨拶をして寝る部屋へと向かった。拓都と碧海は同じ部屋、私も本来吹風と同じ部屋なのだけど樹里と一緒に寝ているため1人で寝た。

次の日、朝食を食べてからのんびりと出発することにした。


「気を付けてな」

「ありがとうございました」

「樹里、勉強頑張ってね」

「はい、ノートお借りしますね!」


こうして新年は過ぎていった。

4日は生徒会と部活でそれぞれ新年のあいさつを行った。


「今年は撫子祭の年だから去年よりも大変だけど、今年も会計のプロがいるから頑張ろうね」


会計のプロ。


「ついでに昨日、とある人から柊祭で使える得点計算ソフトが届いてね。今はその撫子祭バージョンを作ってもらっている最中だから少しは会計が楽になると思うよ」

「「は?」」


ちなみに声が揃ったのは私と拓都。あのソフトを作ったのは碧海で…撫子祭で使うやつも作ってるなんて聞いていないのだけど。


「今頃楽しそうに作ってるだろうね」

「…ちなみに颯、それを頼んだのはいつ?」

「昨日」


…じゃあ揃っと電話が来るわね。

そう思っていたら颯の携帯に着信が…ほらきた。


「もしもし、もう出来たのかい?流石だね。…うん、同じ感じで送ってもらうと助かるよ…うん、じゃあまた何かあったら」

「…姉さん、今日って部活無かったよね」

「ええ、家にいるわ」


あの子…いつの間に。


「さすがだね、よく出来てる」

「正月も眠そうだった原因が分かったわ」

「そのおかげでいい出来だよ。これで今年の撫子祭も色んな意味で盛り上がりそうだ」


颯の顔が悪どいのだけど全員が見ないふりしているから私もそうしよう。


「ねえ瑞紀、そのソフト作ったのって碧海くん?」

「大当たり」


やはり分かる人には分かってしまうものね。

生徒会が終わると部室に行くと海さんがいていつも通りの作業を行った。そろそろこっちの作業も落ち着いてきて四宮学園のデータが全て移動した。


「朝陽、全て移動終わったから確認よろしく……問題ないなら大丈夫だね、社長には俺から連絡するよ。うん、お疲れ様」


どうやら終わったようだ。


「移動作業はこれで終わり、あとは細かい作業だけどこれは俺の仕事かな」

「だろうね」

「お疲れ様です」


お茶を飲んでほっとしているとメールが来た、スマホを見ると椿からで画像が添付されいる。添付されている画像を見ると公園の写真で、私と菜穂、椿ともう1人女子が写っていた。


『画像を漁ってたらこんな写真を見つけたよ。懐かしいね、もう一人の子覚えてる?』


メール文を呼んで改めて写真を見る、椿の隣にいる子は…私と仲の良い数少ない人間の1人、椿と中の良かった…えーっと…倉木彼方(くらきかなた)さんだったかしら。


『倉木彼方さん?』

『正解!彼方、別の高校に通ってるから最近会ってないんだよね』

『そうなの?』

『うん、でもメールでやりとりしてるから近況報告はしてるんだけどね。たまに電話もするし、でも前に電話した時ちょっと元気が無かったんだよね。そこは少し心配』

『最後に電話したのはいつなの?』

『12月中旬くらい』

『心配なら今メールして電話でもかけてみれば?』

『そうする!』


倉木さんか…椿と似た性格をしていたような気がする、と言っても椿とも本当にたまにしか話すことも無かったから分からないのだけどね。


「瑞紀ちゃん、楽しそうにメールしてたね」

「そうですか?」

「うん」

「中学の時、話すことがあった数少ない人なんです。去年久しぶりに会ってから連絡先も交換していたのですけど中々連絡が取れなくて…でも2日に母の実家近くの公園でばったりと会いましてそこからは頻繁に連絡を取っているんです。名前で呼びあうようになって…嬉しい」

「良かったね瑞紀」

「うん!」

「っ!」


颯に顔を背けられたけどよく見たら顔が赤い。


「さっきその友人からこの写真が送られてきて」

「瑞紀と菜穂さんも写ってるね」

「私の左にいるのがその友人です」


倉木さん、大丈夫だろうか…まあどこの高校に行ったのかも分からないし、ここは椿に任せよう。


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