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赤いツツジの花言葉  作者: 森崎優嘉
1年生 4月
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1話

新しい物語、始まります!

朝、ベットから降りてカーテンを開けると庭にある桜が綺麗に咲いていた。朝日を浴びた桜はキラキラと輝いて見える…妹が見たらはしゃぎそうだと思いながら制服に着替えようとハンガーに掛けてある真新しい制服を見た。今日から新学期、学校へはここから徒歩10分かけて駅まで行き電車で10分、そこから専用バスで20分の所にある。そんな片道40分をこれから3年間通う私の名前は古澤瑞紀(ふるさわみずき)、中学の時に色々あって地元の高校ではなく隣町にある一貫校に通う新一年生。四宮学園という名のこの学校は一貫校で超が付くほどの進学校、それも通っている人は皆お嬢様やご子息様達…正直仲良くなりたくない人種である。


「…そうも言ってられないか」


早く着替えてしまおう…ちなみに四宮学園高等部の制服はえんじ色のブレザーで胸ポケットには校章、しゅあん色のプリーツスカートの裾には白いボルドーのラインが1本あって丈は膝丈くらい、リボンはくちなし色という珍しい色合い。黒いソックスを履いて姿見を見る…そのまま髪を梳かして完成、髪は腰まである黒髪なのだけどいつ切ろうか悩み中。


「…よし」


部屋を出て階段を降りるとちょうど一つ下の弟、拓都(たくと)が部屋を出てきた。


「おはよう姉さん、制服似合ってるな」

「おはよう拓都、入学式の次の日から朝練なんて相変わらずハードね」

「もうこれで3年目だから慣れたよ」


地元中学から近い我が家だけど弟は朝練の為6時起き、私は電車の時間もあるため7時には家を出る予定だからこの時間に起きた。この下にもう2人いるのだけど、小学6年の弟と3年の妹はまだ夢の中だと思う。


「2人ともおはよう、ご飯できてるわよ」

「おはよう母さん」

「おはよう」

「拓斗はいつも通りだとして、瑞紀は今日午前中だけなのよね?」

「うん」


今日は入学式のみだから午前で下校となる。


「おはよう」

「おはよう(こう)。はいこれ、出来たてのコーヒー」

「お、ありがとう陽香(はるか)


いつ見ても新婚のノリな父、煌星(こうせい)と母の陽香(はるか)


「瑞紀と拓都もおはよう」

「おはよう」

「おはよう父さん」

「拓都は3年生、瑞紀は高校一年生か…時が経つのは早いなぁ」


そう言う父さんは41歳とは思えない若い外見をしている、もちろん母さんも。


「まさか、瑞紀が四宮に通うなんて…これも血がなせる技かしら」

「父さんと母さんも四宮だったね」

「そうだぞー、僕たちは高校と大学が四宮で母さんともそこで出会ったんだよ」


へぇ、その話は初めて聞いた。父さんと母さんが四宮生だったという話は中学の時聞いて、高校に悩んだ時はその事を思い出し、ある約束の為に決めた。幸い、勉強は出来る方だから超難関の四宮高校への入試を無事に合格することが出来たけど外部生は未履修分野の課題が出るからそっちが大変。


「あら、2人ともそろそろ行かないとじゃない?」

「あ、ほんとだ。よし、朝練頑張ってくるかな」

「私も行かないと」


リビングを出て部屋に戻りカバンを持って玄関に向かうとちょうど下の弟妹が起きてきた。


「瑞姉と拓兄、もう行っちゃうの?」

「あ、瑞姉は今日入学式だったんだね」


上から妹、弟だ。妹の吹風(ふうか)は小学3年生、重度の喘息持ちで稀に冷やりとさせられる…弟の碧海あおいは小学6年生で、吹風が大好きなシスコンだ。ちなみに拓都も吹風が大好きなシスコンである…私だってもちろん好きだけど、しっかりと平等に弟妹を愛している。


「碧海、吹風のこと頼んだよ」

「任せて!」

「瑞姉、拓兄、行ってらっしゃい!」

「「行ってきます」」


拓都とは途中まで一緒だが5分くらいしたら私は右へ、拓都は左へ道を進む。


「姉さん、帰ったら四宮の感想聞かせてね」

「分かったわ、拓都も頑張って」


父親似の私によく似た弟はニッコリと笑うと道を歩いていった。私も駅へと足を進めると次第に地元高校の制服を着た人達が多く見えるが知り合いに合うこともなく改札を抜ける。直ぐに電車が来て適当な座席に座って数分後電車は発車…家の最寄駅が千歳(ちとせ)駅で、四宮学園がある椿沢(つばきさわ)駅は4駅目。椿沢駅で降りると四宮学園高等部の制服を着ている人が見えるしおそらく中等部の制服であろう生徒も歩いているのが分かる。

椿沢駅から四宮学園専用のバスが通っていてそれに乗れば20分で高等部入口前のバス停に着く…殆どの人は皆幼稚部からだったり初等部からずっと四宮生だろうから仲がいい人同士で登下校をしているのだと思う…と、バス停に着いた。最初は校舎前にクラスが発表されているからそれを見ないと。


「またお前とかよ!」

「あーあ、クラス離れちゃったね」

「やったぁ!」


皆思い思いの感想を言って校舎に入ってゆく、私は…Aクラスね。ご親切に教室への行き方も描いてあるのはありがたい、下駄箱で下履きに履き替えて階段を登り教室に入る…黒板を見ると出席番号順になっているようだ。私は19…教室の真ん中くらいね、主人公席と言われる席に行きたい気分ではあるけれどさ行だから無理なのは分かってる。

席についてぼんやりしていると今まで騒がしかった生徒が席に着き始める、何事かと思ってけど担任の先生らしき人が入ってきたからたぶんそれ。

簡単なホームルームが終わると先生の誘導で体育館へと移動したのだけど…さすが私立、広すぎる。それから学園長などの挨拶があり新入生代表の言葉があった。


「答辞、1年A組四宮颯(しのみやはやて)くん」

「はい」


返事をして壇上に上がった彼は落ち着く声で読み上げた。優しげな表情は穏やかで美形な分類に入ると思う…そういうのには一切興味は無いのだけど。

そんな事を思っていたら答辞は終わり、1時間も経たないうちに入学式が終わった。




誤字・脱字がありましたらお知らせください。

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