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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

【現代モノ】魔力なんてなければいいのに

作者: 箱猫

もしも魔法があったなら。

そう考えたこと、一度ぐらいあるんじゃないか?


俺はよく夢見たね。

学校に遅刻しそうなときとかに時間よ止まれっー!とか、空を飛んで行きたいとか。

間に合わないと確信した時はいっそ、どこ◯もドアでショートカット!とかね。あ、これ魔法じゃないか?

あとは、そうだな・・・夏休み最後の日には過去に戻りたい!とかね。



起こりえないと思ってることだから、憧れる。

大体そんなもんだ。

でも、実際に起こっちゃうと、どう?

嬉しい?嬉しいよね。楽しいよね。だって魔法だもん。



でも夢が現実になるってどういうことか知ってる?

アイドルと付き合うもんだよ?

俺もアイドルと付き合った経験なんてないから、正しいことはわかんないけどさ。



まず、アイドルは忙しいだろうね。あんまり会えないだろうし、たまにあっても人の目を気にしないとね!

あ、あと、アイドルはう◯こもするし、人間的に汚い部分もあると思うよ?

汚い部分の無い人間なんていないからね。


アイドルとして見てたらまず見る必要のない人間的部分を見せつけられる。

たぶんアイドルとして見てた時のあこがれとかはなくなるよ。


それでも好きだって思えるならそれはアイドルへの憧れじゃなくて、その人を一人の人間として見たんだ。

狂信者の可能性もあるけどね。狂信者はどんな悪い部分も肯定するからね。あれは危険だよ。

どう危険かだって?夢と現実の区別がなくなって肯定だけするならまだいいけど、自分が肯定できないものを否定するからね。




まぁ夢は夢のままが一番って話さ。

まだピンときてないね?

夢はいい部分だけ見るからいいんだよ。

まっ、すぐわかるんじゃないかな?

魔法なんて夢のままが一番だよ。



==============================================


「うっ・・・気持ち悪い・・・」



今日は朝から吐き気がする・・・。

頭もクラクラするし、これが二日酔いというやつか?

酒のんだ覚えないから違うんだろうな。

きっと夏バテだな。こっちも経験ないから症状知らないけど。



「大丈夫かよ?朝のニュースで言ってたけど程度はあれど全世界で気分が悪いって人多いらしいぞ、ひどくても吐き気がする程度らしいけどな。」

なにそれ、もっと早く知ってたら学校休んだのに・・・。

てか、俺ひどい部類か、この平気そうな友人が憎い・・・。



「こういう時、魔法とか使えたらなぁ・・・こう、ヒール!!って言ったら治るとか」

「それって怪我とか治す魔法だろ?w 吐き気に効くのかよw どうせなら俺の肘にかけてくれよ、昨日擦りむいてヒリヒリすんだ。」

もうかさぶた張ってるだろうに、こいつのことだから引っ掻いてペリっとするんだろうな。


「おうっ、いいぜ。ほれ、この哀れな子羊を癒やせ、ヒール!!」

「おい!なんで俺の頭に手をおいてヒール使ってんだぁ!!頭が悪いってか!」


「なんだ、わかってんじゃねぇk・・・ぐふっ」

あれ、何かが俺の体を通って行くような感覚がする・・・やばい・・・力が抜ける・・・。

「え、おいどうしt・・・うぉぉぉなんか光ってぇぇぇ!!」

俺はそのまま気を失った。



夢の中で綺麗な女の人が泣いていた。

<ごめんなさい、ごめんなさい・・・私の力が足りないばかりに・・・

これが私の精一杯なの・・・生きて・・・最後まで諦めないで・・・絶望の中に希望はあるのだから・・・。>


この人はなんで、泣いてるのだろうか・・・

あったことのない、まったく知らない人・・・だけど、何故か懐かしい・・・

本能が言ってる。この人を泣かせてはいけないと・・・。



<あら、こんなところまで・・・来てしまったの?>

<あなたなら・・・きっと・・・希望になれる・・・私に会いに来る人がいるなんてね・・・>

涙を拭い笑顔を見せてくれた。

<ほら、もう泣いてないわよ?もう帰りなさい・・・あなたの友達を助けてあげて・・・>





「おい!!(セツ)折喜(セツキ)!!起きろ!!頼むから起きてくれっ」

何やら友人が耳元で叫んでいる。

「うるせぇぇぇ!」

ちっ、なんか大事な夢見てた気がするが思い出せないじゃねぇか。



「ん?なんで俺お前におぶられてんだ?」

「お前、大丈夫か?まだ、クラクラしてねぇか?」

なんだ?よく見るとこいつ目は真っ赤だし、さては泣いたな?



「てか、ここどこだ?山・・・学校の裏山か?」

こんな木々が生い茂ってるとこ他に思いつかない。

「そっか、そうだよな、お前あれから寝てたから知らねぇんだな」

幸助(コウスケ)が俺を背から下ろす。



「何を知らないって?そもそも高校はどうしたんだよ?学級閉鎖にでもなったか?」

世界中で体調不良の人間が増産されてりゃ学級閉鎖ぐらいありえるだろう。

「それどころじゃねぇよ。学校が襲撃されたんだ」

はっ?

「テロリストか!?ってなんでうちの学校にそんなの来んだよ」



「ふざけてんじゃねぇんだよ!!マジなんだよ!それに襲ってきたのは人じゃねぇ!!怪物だ!」

「怪物って・・・」

「像ぐらいでっかいクマのようなやつだった・・・ほら、こっから学校が見えんだろ・・・」


半信半疑の俺は学校のほうを見た。

学校を見ると言っても校庭と屋上ぐらいしか見えないが・・・

「なっ、あれって・・・」



校庭は真っ赤に染まり校舎もところところ大きな穴が開いていた。



「あの怪物は、人を見つけ次第食いだしたんだよ!!

イキナリやってきて前足を叩きつけて動かなくなった人間を食っていったんだよ!

でかすぎて入ってこれないようだから校舎の奥に引き篭もろうとしたら壁を叩き壊しやがった!!」

なかば信じられないが、嘘を言っているようには見えない。



「アッキーもちとせもせいじも先生もみんな殺された!!体育のオニヒラもみんなを守ろうとしてあっけなく殺された、委員長は逃げ遅れて動けない人たちを助けに行って一緒に殺された!校長が車で突っ込んでいったけどピンピンしてやがった!他にm「もういい!!もういいから・・・」」

「すまん・・・つらい思いしたんだよな・・・いいから少し休め・・・大丈夫だ・・・俺が見張ってるから怪物が来たらすぐに逃げれる」

精神的に限界だっただろう幸助を何とか休ませようと背中をなでてやった。



「お前に・・・そう言われると・・・なんだか・・・心が軽くなってきた・・・気がするぜ・・・ちょっと休ませて・・・もらうな・・・何があったかはネットをみ・・・ろ・・・」

ふらふらぁっとしたあと、すやぁ・・・っと眠りについた。

ほんとに疲れていたのだろう。

体以上に心が。



クマを警戒しつつもスマホでネットの情報を確認した。

どうやら俺達が住んでいる街以外にも、怪物は出現したらしい。

しかも、クマだけではなく、海からビルぐらいのダイオウイカが陸地に上がってきたとか、海外でゴ◯ラのような怪物が現れたとか。

この街はまだましだったように思えるような怪物が世界中で出ていたらしい。

怪物の行動パターンは基本的により多くの生き物がいる場所に向かっているようだ。



各国の軍隊が怪物を殺して回ってるようだが、同時に何匹も別々の場所に現れた怪物を倒してまわろうと思ったら時間はかかるだろう。

実際殺すのに成功はしているようだが、殺した怪物は黒い光となって消えたらしい。



今日本で確認されているのは4体だそうだ。

もっといるかもだが、一応俺のいる街のやつも討伐対象になっている。

逃げきれれば助かるはずだ。



もう一つ気になる情報があった。

世界中で怪物と戦っている超能力者がいるというものだ。

この街にも超能力者がいればいいのだが・・・。

もう怪物なんてものがが出てきたんなら、超能力者でもなんでも頼りたい。



居るかどうかも解らない超能力者を探す訳にはいかない。

幸助はそんな危険な状況で、気を失っていて明らかに足手まといの俺を連れて逃げてくれた。

絶対に幸助は死なせない。今度は俺が親友を守ってみせる。



また、体の中を何かが通り抜けるような感覚がする。

だが、今度は気を失うようなことはなかった。

何なんだろうか・・・。



4時間ほどして、幸助は目を覚ました。

外は暗くなっていた。

「もう起きて大丈夫なのか?」

「あぁ・・・なんでか、体も軽いし、だいぶ落ち着いた。わりぃなちょっと錯乱しちまってたみてぇだ」

いや、何が起きたか考えれば、あの程度で済んだら錯乱したとは言わんだろう。


「クマはどうなった?」

「わかんねぇ、あれから街なかに一度現れたけどその後見失っちまった」

大きいと言ってもマンションの影に入られるとここからでは見えなくなってしまう。



「もう街なかに残ってる人はいねぇだろうな・・・」

普通なら家族の心配をするんだろうが、俺も幸助も生憎と家族がいない。

その分、俺達は兄弟のように育ったが・・・。




<・・・こ・・・よ・・・>

何か・・・聞こえる?!



<・・・子よ・・・この世界に生まれ、住まう子よ・・・>

感傷に浸っていると、突然声が聞こえてくる。

何事かと周りを見回すと、幸助と目があった。

幸助も同じ状態らしい。



<この世界の危機ということで、魔力の影響を受ける稀有な種族に話しかけています>

<私はこの世界の神・・・この世界を作り、育むものです>

神様?ほんとかどうかなどこの際どうでもいい。

怪物をどうにかしてください神様。



<すぐ隣に存在する世界が崩壊しました>

<そして、崩壊した世界とこの世界をつなぐ穴があいてしまいました>

<宇宙にあいた穴を何とか塞ごうと力を尽くしましたが、流れ来る魔力の量が多すぎて止められません>

他の世界の崩壊に巻き込まれた?



<ついにはこの世界に魔力が満ちてしまいました。いえ、まだ満ちきってはいませんが・・・時間の問題でしょう>

<この世界では魔力とは生き物の魂のみに存在すべきもの・・・生き物の存在を証明するために存在する力であるはずでした・・・>

魔力?


<ですが、向こうの世界から世界一つの存在エネルギーとも言えるほどの魔力が流れ込んだのです・・・>

<この世界では魔力は存在の証明・・・。生き物がいるから魔力が存在する。ですが魔力が存在する事が生き物が存在すると証明することもできるのです。>

<彼らは魔物・・・この世界を侵食していく新たな種・・・>

クマとかの怪物が魔物なのだろう。



<本来なら種の誕生を喜ぶべきですが、彼らは存在が証明されているだけのまがい物の生き物です>

<不完全な証明故に、証明された結果しか存在しないために、この世界の生き物を食らい自らの存在を証明し続けるでしょう>

<彼らは魔力があるかぎり、永遠と生まれ続ける・・・魔力が満ちてしまった以上、この世界の法則となってしまった・・・>



<魔力の影響を受ける稀有な種よ。どうか、願ってください>

<魔力は存在を証明するでしょう。あなたの願いを・・・証明することでしょう>

<一度証明すれば、魂に刻まれます>

<あなたの存在が、事象の証明として魔力に刻まれることでしょう>

<どうか、存在を証明してください。そして、どうか、生きてください・・・>






その日、この世界に魔法が生まれた。

世界は魔力にあふれた。


そして・・・魔物が生まれた・・・。



さぁ、どう思う?魔力に満ちていて魔法がある世界?

ん?俺がどう思うかって?二度とゴメンだね。

うん、魔法ってやっぱすごいね。逃げることを願ったら世界すら飛び越えれるんだもんね。

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