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満つ神々  作者: Innocent
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せかいの創造

 セカイが命を産むことができないと彼らは、殻の中で知った。

 目覚めを迎えることなく彼らはセカイと共に無に還る。

 何し知らぬままに穏やかなまま、彼らは眠ったまま無に還る。

 彼らはそう思っていた。


 一筋の光がセカイと殻の中の彼らにも注がれた。


 ――親が子を見捨てるわけない


 逆行で顔立ちははっきりしてとらえる事ができないがその声には、知っていた。

 創造主の声。


 セカイに力が満ち溢れ彼らは殻を破り目覚めを迎えた。

 彼らは、兄弟であり同族の顔を初めて見た。


 七色の翼を背に持ち、炎を人にしたような深紅の髪と双眸を持つ者。

 女性にも男性にも見てとれる細身だが、神々しさを感じてとれる。

 翼をはためかし、殻の外へと降り立つ。

 爪先から導火線のように赤い皹が身体のすみずみまで広がっていく。

 旋毛で皹が一つになり、背にある翼が赤の色を濃くし燃え上がるように揺らめく。


 そして、表と後でわかれひ人型は二つに割れる。

 深紅の色はそのままに、鳳へと変貌した。


 その深紅の視線が見つめるのは、真っ白な珊瑚を頭上に生やし。海を溶かしたような深い緑色の髪と双眸を持つ者。


 同じように人型に皹が広がり、同じように割れる。

 珊瑚と磯巾着を甲羅に生やした亀。

 大地を思わせる太い四肢が触れているカ所は、高温の蒸気と熱気でゆらゆらと揺れる。


 深紅と緑の視線が交わり最後の者へと向けられる。


 ぱきん、と殻が割れる音が響く。


 艶のある藍色の長髪と金に近い橙色の双眸を持つ者。

 足下から綿菓子のような雲の欠片が全身を包み込むと、霧となり霧散する。


 真っ青な鱗に混じり。斑に白い鱗が見える。

 鋭い爪の四肢には、竜巻きが腕輪となっている龍。


 彼らは互いにつめ合う。

 それだけで彼らには十分だった。

 意思疎通のための言葉や仕草などは、不純物で最初から持っていない。


 彼らはセカイと同等の存在。


 セカイと呼ばれるものに海、空、日輪、を産む。

 そして、命が生まれた。

 彼らは命と共に寄り添い過ごした。


 命はそれを拒んだ。

 一つの命は彼らを受け入れて、共に生きること選んだ。


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