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37話 宇宙戦艦ヤマト

 44日目



「ヒャッハー汚物は爆殺だァ!」


 俺達は鳥人族の群れに、状況を確かめに来た野盗達を黒色火薬爆弾で爆殺していた。


 事前にハウトゥーファンタジーで野盗がいつ群れに来るかを調べて、前日に通るだろう道に黒色火薬爆弾を設置しておいた。


 そして、野盗の部隊が完全に黒色火薬爆弾の爆発範囲に入ったら、カンナが起爆する。すると、後はピタゴラスイッチのように先頭から順に野盗を爆殺していくという仕組みだ。


ここまで綺麗に、かつ期待通りに吹っ飛んでくれると、黒色火薬を頑張って作った甲斐があるというものだ。最高だね。


「しっかし、いつ見ても爆弾の汎用性は凄まじいな。こんなもんよく作ったもんだよ、お前は。尊敬するよ」


 騎士長が言葉とは裏腹に頭を抱えながら言った。常々思うが、この人はふとした行動がどこかズレている気がする。今回のように言動と行動が微妙にマッチしてないのなんてザラだ。まあ、どうでもいいけどさ。


「俺様は天才だからな。もっと褒めてくれてもいいんだよ?」


「ぬかせ。で、だ。可哀想な野盗達はドミノ倒しよろしくバタバタと死んでいった訳だが、この後はどうするですか? 公平様?」


 くそったれ。騎士長が公平様とか言うと虫唾が走る。アンジェが言うとうふふな気持ちになれるのに、騎士長の場合はイラ立ちが半端ない。


 てか、気が付けば罠にハマった可哀想な野盗達は全滅していた。ちらほらとギリギリ生きてるやつもいるみたいだけど、幸いここは通る道だし、通る時に槍でも突き刺してとどめを刺すか。


「残党狩りをしながら鳥人族の群れに戻りましょう」


「流石ですわ。公平様。それじゃ、鳥人族の群れに戻ると致しましょう」


 この後めちゃくちゃボコボコにした。




 てな訳で俺達は鳥人族の群れに戻った。当然というか、適当な野盗の首をもいで証拠として、野盗を倒してきたと報告したら、彼らは泣いて喜んだ。


 この光景も何度見た事か。スフィーダ、モントーネ、ウォーム、色々なところに行って色々な事をして仲間を増やしてきたけど、助けた人が喜ぶ姿を見ると、小学生並の感想だけど、俺も嬉しい。


「で、だ。感動してるところ悪いんだけど、約束は守ってもらおう。君達は俺の国の住人になるんだ」


「その……約束は守りますが……娘の件だけはなんとかなりませんかね?」

「無理。というか、俺が一番欲しいのは鳥男の娘だし。ぶっちゃけ、男とかいらん」


「あああ…そんな」


「わかったら馬車の荷台に女を乗せなさい。男は別の事をしてもらうから今の内に飯でも喰っとけ」


 そうして俺達は必要なものを持たせたハーピーちゃん達を全員馬車の荷台に乗せた。そして男はというと――


「ああああイヤだあ。やめてくれええ」


 なんか鳥人族達がすごい勢いで悲鳴をあげてるけど、別に拷問とかしてないからね? ただ鳥人族の足に縄括りつけてるだけだ。縄は馬車と鳥人族を繋いでいる。つまり――


「イヤだあああ! 馬車つけて飛びたくないよおお! 足がもげる!」


「もげねえよ! 気合入れれば大丈夫だ。そもそもこんだけ人数いればちょろいだろ!」


「あああ…なんで私まで」


「やかましい! 鳥男も黙ってお縄につけ。俺達とハーピーちゃん達をフェンリルの群れまで運ぶのだ!」


「あああ…」


 初の空の旅は非常に快適だった。寒い地方なので、下を歩くよりも更に寒かったが、アンジェとカンナが両手に花状態で俺を温めてくれたから、さほど寒いとは思わなかった。


 言うまでもないが、騎士長にはそんな事をしてくれる相手はいないので、かなり寒そうにしていた。


 あまりに可哀想なのでメアリーをけしかけ、頭を撫でさせたら、騎士長の目から一筋の涙が流れた。あれが男泣きというやつだな。実に勉強になった。


 そうした幸せな時間を10分程過ごした頃だろうか、ゆっくりと高度が下がっていっているのが感じられた。


 窓の外を見ると、どんどんと地面が近づいていた。初めて飛行機に乗った時はこのまま地面に激突するんじゃないかと思ったけど、今にしてみればどれだけあっちの方が安全が確保されていた事か。


 考えてみよう。今我々を浮かせているのは鳥人族達だ。彼らが何かのミスで羽ばたきを忘れたら? 我々は地面へ真っ逆さまだ。そう考えると途端にこの乗り物が恐ろしく感じた。が、馬車は普通どころか音もなく地面に着地した。


 決めた。彼らはこれから空の移動手段として使おう。トリの有効活用の方法を見出してしまった。流石俺だな。空を行き来出来るようになれば、貿易も取引も今までよりもずっと早く進められる。全く、トリは最高だぜ!


「あああ…疲れた」


「うむ。よく頑張ってくれた。馬車に入っている肉とか食べていいぞ。後でまた働いてもらうから今の内に休んでなさい」


「えええ……また飛ぶんですか?」


 俺はまだうだうだと文句を言い続ける鳥男を無視して、いつものメンツを引き連れてフェンリスの待つ洞窟へと足を踏み入れた。


新しく仲間に加わりそうなフェンリスちゃん

マグロ ご期待ください。

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