入学式
異能ってさ、最初から持っているものは決まっている事なんだよ。
だから、頑張っても変わらない。変化しない。
理想と現実は、違うんだ。それを今日、学んだよ
◇
俺は異能って言うものに憧れていた。特に雷と氷。
だから、異能研究開発第三支部第一高等学校の入学だって中学の頃から決めていた。
その日、俺は早めに起きて入学式に行った。
学校に着いたのは入学式30分前だったが体育館に入り指定された席に座る。
自らの異能の事が気になり過ぎて、いつの間にか入学式が終わっていた。
「何時の間に!?」である。
ゾロゾロと隣に座っていた人たちが、体育館から出て行く。
それの後を追って付いて行く。教室に行くのだろうが、この学校の大きさが可笑しいので教室まで10分近く掛かった。
教室に着くと、「番号順に並べ! お前ら!」と熱血教師風の女性教員が叫ぶ。少し怖かったのでこの教員の事は頭の中でタマちゃんとでも呼んでおこう。完璧に獣耳あるし。多分異能なんだろうな~。
そんな異能の観察しつつ、タマちゃんの言うとおりに席に座る。
「今から配る紙に、少しだけ血を垂らせ! そうすれば自らの異能が分かる」
あら不思議。名前をタマちゃんにすると全く怖くなくなった。獣耳は叫んでいる時もパタパタしている。正直言ってカワイイ。
異能判別紙。異能の解析が掛けられた紙で、之で異能を調べていく。普通には売っていない紙だ。
前から回されて来た紙を一枚受け取り後ろへ渡す。それから紙の側面に付いている小さな刃で、少し指先を切って血を垂らす。
すると紙には異能の名前と詳細が浮かび上がってきた。
芋製造機
自由自在に自ら想像した芋達を創造し操作する。
俺はその異能を見たとき目からは少し涙が溢れた。