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薬草狩り1

 物音で目が覚めた。


 天井が見えた。

 木造・・・。

 あれ・・・どこにいるんだっけ・・・。

 体を起こした。


 ログハウスだ。

 窓は開けられ、明るい日差しと涼しい風が部屋の中に入ってきている。


 昨日のことは夢ではなかった。


 暖炉に向かうハヌルの背中が見えた。

 

 「おはよ・・・」

 「おはよ、いい天気だよ」

 ハヌルが振り向いて答えた。

 ケトルで湯を沸かしているようだった。

 「朝ごはん、昨日のパンしかないよ」

 湯の沸いたケトルを運んできてテーブルの上に置いた。

 私はあわてて、テーブルから降りた。

 ハヌルは昨日とは違う小箱から葉を取り出してケトルに入れた。

 昨日のお茶とは違う香りがただよってきた。

 「さ、食べちゃって。

 すぐ出かける準備しちゃうから」

 ハヌルはパンの乗った皿を私の目の前に置いた。

 「あ・・・ありがとう」

 「今、お茶入れるからね」

 ハヌルは昨日のカップをテーブルの上に置くと、今作ったお茶を注いだ。

 昨日とは違う少し赤みを帯びた色をしたお茶だった。

 「これはね、元気になるお茶」

 ハヌルにすすめられて一口すする。

 昨日の青いお茶とは違い、少し甘かった。


 ハヌルはカップに注いだ残りのお茶を水筒に入れた。

 私がお茶を飲みながら、パンをほおばってる間に、ハヌルは家を出たり入ったり、なにやら忙しげだった。

 私は、食べ終わると、皿とカップを外の井戸のところへ持って行って洗い、家の中に戻った。


 戻った私にハヌルが暖炉の火かき棒を差し出した。

 とっさに受け取った。

 「一応、持ってて」

 「これを?」

 「武器らしいものこのナイフ以外ないんだよねぇ」

 ハヌルが自分の腰に下げたナイフを指差しながら言った。

 「武器?!」

 「一応だよ、一応。

 私が守る!

 ・・・つもりだけど、いざとなったら自分で何とかして」

 ハヌルは舌を出して笑うと、窓を閉めた。

 玄関からの光だけで、部屋の中は真っ暗になった。


 「さ、行こう」

 ハヌルが私の手を引いて外へ出た。


 「あ、あの・・・どこへ・・・何しに?」

 「ナムの娘のために薬になる草を探しに行くって言わなかったっけ?」

 「聞いたと思う・・・」

 「どこへ行くかは、言ってなかったね」


 昨日、私が流れ着いていた海岸に打ち上げられた海草の中に、薬になる薬草が混ざっているらしい。


 「打ち上げられた海草相手に武器?」

 私が火かき棒を見ながらたずねた。

 「その火かき棒が役に立つかどうかは分からないけど・・・。

 リンは格闘技の経験、ある?」

 「まさか!」

 「じゃあ、やっぱりそれ、持ってて」


 ハヌルは私の前をどんどん歩いていく。

 腰にはナイフと水筒。

 私は火かき棒を片手にぶら下げて、ハヌルの後をついていった。


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