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戦闘4

 ハヌルのログハウスまで戻ると、裏の井戸の近くに犬を2匹ともおろした。


 ハヌルが腰のナイフを抜くのが見えたので、私は慌てて顔をそむけた。


 「そんなに恐がらなくても」

 ハヌルが笑った。


 5分も経たないうちに、ハヌルが私に何か投げて寄越した。

 「きゃっ!」

 思わず私は悲鳴をあげた。


 毛皮だった。

 犬の形そのままの。

 しかも2枚。

 5分とかからないうちに、皮を2枚剥いでしまうなんて・・・。


 いやでも皮を剥かれた犬が見えた。

 思ったほども気持ち悪くなかった。

 血がないせいか、まるででかいビーフジャーキーの塊りだった。


 ハヌルは手際よく肉をはがしていく。

 面白いほどポロポロと肉がはがれる。

 標本のような骨が残り、肉がきれいにそげた、


 「へぇ、上手やね」

 私は思わず感嘆の声を上げた。


 「おいしくないけど、ばらすのはすごく楽なんだ、この子らは」

 ハヌルは鍋に肉を全部入れ、井戸の水を鍋の中に入れた。

 つるしてあった野菜類を、犬をばらすとき以上に手際よく切ると、全部鍋の中に入れた。

 大きな鍋を私とハヌル、二人がかりで家の中に運んだ。


 「一人でいるときは、こんなにたくさん一度に作ることなかった。

 たくさん作って、家族で食べるとおいしいよね」

 ハヌルは暖炉に鍋を置き、火をつけながら言った。


 「家族?」

 私が聞き返した。


 「会ったときから、私はそのつもりだよ。

 気づいたと思うけど、私とあなたは同じ種族。

 でも、このあたりには同じ種族の人たちはいない。

 遠くに私たちに似た種族が住んでるらしいけど、コマを傷つけるようなやつらだ。

 わざわざ会いに行きたいとも思わないしね。

 浜辺でリンを見つけたとき、どれだけうれしかったか」

 ハヌルは、ケトルを持っていったん外へ行くと、戻ってきた。

 暖炉の五徳には鍋が乗っているため、直接ケトルを火のそばに置いた。


 ハヌルの言葉を聞き、ハヌルの一連の動きを見ているうちに、私は激しい睡魔に襲われた。


 「魔法使うと、かなり疲れるらしいから、少し横になったら?」

 睡魔と戦ってる私を見かねて、ハヌルが言ってくれた。


 「お言葉に甘えて・・・」

 言い終わらないうちに、私はテーブルに突っ伏して眠ってしまった。

 

 

 

 

 どのくらい眠っただろう。


 眼が覚めたらすべて夢でした。

 そんな童話を思い出した。


 でも、残念ながら夢じゃない。

 眠って目覚めても、目の前にはハヌルがいる。

 私の腰にはロッドがささっている。


 眼が覚めたときはすっかり夜だった。

 暖炉の火の明りと、チェストの上に置かれたランタンの明りでぼんやりとしていた。

 部屋の中には、ハヌルが作ってくれた料理のいいにおいが漂っている。

 ハヌルは、私の向かいで、座ったまま、テーブルに肘をついたまま眠っている。


 私は椅子から立ち上がり、窓まで行き、外を見た。

 木々の隙間から月や星が見える。

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