町3
「これ、何?」
ハヌルが箱から木切れを出してたずねた。
「うわ・・・。
見た目よりずいぶん重い。
リンに扱える?」
「ハヌルには重いだろうが・・・ちょっと持ってごらん」
店主が私に言った。
ハヌルから木切れを受け取った。
ん?
これが重い?
「全然重くないけど・・・?
そこらの小枝と変わらんよ」
私が言うとハヌルが驚いた。
「えー。なんで?
見た目よりかなり重いよ?」
「やっぱり」
店主が私から木切れを受け取ると箱にしまい、別の箱を出した。
「さっきのが小枝程度なら、これならどうだ?」
次に出してきたのは、先ほどのより少しきれいに削られたものだった。
木製で長さは同じ50センチくらい。
片方が細く、片方が少し太く。
太くなった先に小さな青い石が入れてあった。
私が細いほうを持って箱から出した。
「あぁ、違う。
この太くなったほうを持つんだ」
言われて持ち直した。
重くはない。
軽すぎることもなく、手にあった。
「いい感じかも」
私がそういうと店主は満足げな顔をした。
「この子には魔法使いの素質がありそうだ」
「魔法使い?」
私とハヌルが同時に声を出した。
「この商売を親父から引き継いでからまだ一度もお目にかかったことがないんだが。
剣は扱えないが、ロッドで闘う種がいると聞いたことがある」
「これで殴る?
突く?」
ハヌルがロッドを指差しながら尋ねた。
「そんなことをしたら折れてしまう。
これは水系の魔法用のロッドだが・・・得意か?」
店主に聞かれた。
私は首を横に激しく振った。
「火の方が得意か?」
店主に聞かれて、また私は激しく首を横に振った。
「土系?」
聞かれてまた首を振った。
「後は・・・何があったっけか・・・。
得意なのはどの系統だ?」
店主に聞かれたが、私には店主の言う水系、火系、土系というのが何を意味してるのか分からない。
「ナムが言うには」
ハヌルが私の代わりに答えた。
「まだ目覚めたばかりで、力をコントロールできないんじゃないかって。
どのくらいの力があるかも分からないって」
首をかしげている私を見て店主は別のロッドを出した。
「守る力があることだけは確かなんだな。
じゃ、とりあえずこれを使ってみてくれ」
店主が箱から取り出したのはさっきと長さも形も同じだったが、青い石の変わりにきらきらか輝く透明の石がついていた。
「これは万能だけど、どれもそれなりに、ってやつ。
持ってみて」
店主に渡されたロッドは、青い石がついたのと同じくらい手に合った。
「持った感じは悪くないけど・・・」
「けど・・・?」
「どうやって使えばいいのか分からない・・・」
と、私は、ロッドを店主に返した。
「まだ力が思うように使えないか・・・。
どうやって力を出すのかってことは、私にはわからないからな。
とりあえず、手に持ってたらなんとなるんじゃないか」
店主はロッドを箱に戻すと、私に箱ごと差し出した。
とりあえずなんとかなる?
大丈夫なのか?そんなことで・・・