表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/27

覚醒4

 「ちょっと休んでもええやろか。

 なんか・・・わけわからんから、頭痛くなってきた」

 私は両手で頭を押さえた。


 「お茶、持ってきてるから飲む?」

 ハヌルは私に水筒を差し出した。


 「いや・・・ちょっと横になりたいかも」

 私はこめかみを押さえながら言った。


 「家に戻ろうか」

 ハヌルが立ち上がって、私に手を差し伸べた。

 その手を握って、私は立ち上がった。


 「帰る前に、礼がしたい」

 ナムがバサバサと揺れた。

 

 ドサッ


 何かが落ちてきた。

 小さな、でも重そうな袋だった。

 ハヌルが袋の口をあけて中を覗き込んだ。


 「ナム!

 これ、どうしたの?

 金貨じゃないの?」

 ハヌルが驚いて言った。


 「いつだったか、何かの礼でもらったものだ」

 ナムが答えて、またバサバサと揺れると、また落ちてきた。

 同じような小さな、でも重そうな袋。

 「受け取ってくれ」


 「こんなにたくさんいいよ。

 この中から4枚も金貨をもらえば十分」

 ハヌルが袋の中から金貨を4枚抜いて、袋の口を閉めた。


 「コマの恩人だ。

 これだけでは足りない。

 気持ちだ。

 受け取ってもらえないと、気がすまない」


 「じゃあ・・・お言葉に甘えて、一袋もらう。

 それ以上は受け取れないからね。

 ありがとう、ナム!

 行こう、リン」

 ハヌルは袋をひとつだけ受け取ると、私の手を引いてその場を離れた。

 一袋は足元に残したまま。


 「ハヌル!リン!

 ありがとう!」

 ナムの声が後ろから聞こえた。


 「金貨って初めて見た」

 と、私が言うと、ハヌルは袋から金貨を数枚抜くと、金貨の残った袋を私に差し出した。


 「報酬は半分ずつね。

 これ、リンの分」


 「え?

 ええよ。私はなんもしてないし」


 「何言ってるの。

 薬見つけたし、助けてくれたし。

 私が半分もらうってほうが申し訳ないじゃない」

 ハヌルは抜き取った金貨をパンツのポケットに入れた。


 ハヌルから袋を受け取った。

 思ったより重い。

 ハヌルについていきながら、袋から一枚金貨を出してみた。

 木漏れ日にきらきらと輝いていた。


 まもなく、ハヌルのログハウスに着いた。

 部屋に入り、私が窓を開けてる間に、ハヌルはカップをテーブルに置いた。

 腰の水筒をはずすと

 「赤いお茶と青いお茶、どっちにする?」

 とたずねてきた。

 赤いお茶の方が甘くておいしいのだが、なぜかそのときは青いお茶が飲みたかった。


 「青いほうがほしいかな」


 ハヌルはカップのひとつに水筒から青いお茶を注いだ。

 水筒の向きを変えるてもう片方に注ぐと、今度は赤いお茶が出た。

 ひとつの水筒に2種類入っているらしい。

 青いお茶を私の前に差し出すと、ハヌルは赤いほうのお茶を飲んだ。


 ハヌルから受け取った青いお茶を飲んだ。

 冷めていたからか、あまり酸味を感じず、飲みやすかった。

 飲んだお茶が体中に広がる気がした。

 頭がすっきりとした。

 気持ちが落ち着くお茶というのは正解だ。

 

 「さ、出かけよう!」

 ハヌルが立ち上がった。


 「え?今から?

 ちょっと休まんの?」

 頭はすっきりしてきたが、体がだるい。


 ハヌルは自分のカップを私に差し出した。

 お茶はほとんど残っていなかったが、そこに水筒から赤いお茶を足した。

 「これ飲んだら元気になるよ」


 差し出されるまま、赤いお茶を飲んだ。

 冷めていても、やっぱりほんのりと甘い。

 青いのを飲んだときと同じように、お茶が全身に広がるのを感じた。

 確かに、だるさが少しましになった気がする。


 ふー


 ゆっくり息を吐くと、もうなんともないくらい体が楽になった。


 私がお茶を飲んでいる間に、ハヌルはゴソゴソとチェストの中から何かを出してきた。

 リュックだった。

 背中にリュックを背負うと

 「買い物に行こう!」

 と、私を誘った。 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ