薬草狩り4
魚を食べ終わると、私とハヌルはまた海草つつきを始めた。
単純な作業だからか、思ったより疲れる。
目を凝らして透明の薬草を探すからか、目も疲れる。
しゃがんでいるので足や腰も、疲れる。
時々伸びをして海に目をやる。
青い海はどこまで続いてるんだろう。
私の家まで?
一緒にいたはずの兄はどこへ?
私はここにいるのに、兄はどこへ行ってしまったのだろう。
ボーっと海を見て休憩している私。
ハヌルは、ただ黙々と海草をつつきまわしていた。
もう一度大きく伸びをして、私も火かき棒で海草をつついてみる。
二人で、少しずつ移動しながら同じことを繰り返していた。
日が傾いてきたが、見つからない。
気づくと、探し始めた場所から、かなり移動していた。
日が沈む前に、またハヌルが海の中に入って魚を捕ってきた。
貝も。
昼と同じようにかまどを作ると、魚と貝を焼いて、二人で食べた。
食べ終わるころには日が沈んだ。
「今日はこのままここで寝るから」
ハヌルは調べ終わった海草を海に戻し、安全に眠れる場所を確保した。
「ハヌル、思ったんやけど・・・」
「ん?」
「ミョックって、海の中では襲ってこんのやろ?
それやったら、巻きついてきたら、海に飛び込んだら離れるんちゃうん?」
「リン!
あんた、頭いいね!
思いつかなかった!」
月が昇ってきた。
かなり目が疲れたらしい。
月が二つ見える。
海から離れた砂浜で私とハヌルは眠った。
次の日も同じことを繰り返した。
昼近くになって、目がしょぼついてきたころ、海草がよく見えなくなった。
海草がぼやけて見える。
火かき棒でつつこうとして気づいた。
ぼやけて見えるのは目のせいじゃない。
海草を透明な何かが覆っていた。
そのせいでよく見えなかったのだ。
「ハヌル!」
私が呼ぶとハヌルが立ち上がってこっちを見た。
「もしかしたら、これちゃうん?」
「おお!正解!
二日目で見つけられるなんて、すごい!」
ハヌルはナイフを使って透明な繊維のようなものを切り取った。
それをウエストバッグから取り出した小さな袋に詰め込んだ。
小さな袋はすぐにいっぱいになった。
「これだけあればいいと思う」
小さな袋に入るだけなので、それほど量はあるように思えなかったが、ハヌルが足りると言うなら足りるのだろう。
「帰ろうか」
ハヌルが小袋をウエストバッグにしまいながら笑顔で言った。
次の瞬間、私の両足に何かが巻きついた。
ミョックだ。
私が両足をとられて倒れこむのと同時に、ハヌルも倒れた。
ハヌルの足にも海草のようなミョックが巻きついていた。
海に入れれば離れるのだろうが、両足を縛られた状態で身動きが取れない。
ハヌルはナイフでミョックを切っていた。
私は・・・火かき棒で自分の足を殴ってみた。
不思議なことに痛みを感じない。
ミョックが衝撃を吸収してるのだろうか。
ミョックを離そうと、自分の足を殴り続けた。
時々間違って、自分のひざを殴ってしまい、涙がこぼれるほど痛い。
私の足に絡みついたミョックとハヌルに巻きついたミョックがお互いに惹かれあうように近づき、ひとかたまりになった。