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【捨て犬・イエス】  作者: シュリンケル
18/20

18.みんなの知りたいこと2

 恋はマジック(Could It Be Magic) -バリー・マニロウ-


近くの商店街から流れてくるその曲を、相談者”バウ”(柴犬)が知りたがった。

僕はドッグランにいる人間達の会話から、偶然聞き取ったその曲名を彼に教えた。


 『人間はこの不思議な音の事を”音楽”と呼んでいます』 僕はそう言って説明する。

『音を奏で、感情まで表現するんです。それが音楽。音楽はそれぞれを”曲”として分けているんだ』


 ふーむ。と唸ってバウは納得したようだ。


 『音楽ってステキね』 とメルがうっとりして耳を傾ける。



 次の相談者は”ポチ”(チワワ)である。


ポチは言う。

『僕たちはお散歩で色んな匂いからニュース(情報)を教えてもらうじゃない?それをとてもご主人様は嫌がるんだ。なぜなの?』


良く聞く話である。

僕は説明する。

人間たちはペットである僕達(犬)の健康を心配している事を。変な物を食べたりして病気にならないように気をつけている事を。

『それであんなに嫌がって怒っちゃうんだね。ありがとうイエス!良く分かったよ』



 最後の相談者・メルが言う。

『わたしたちが人間ともっとうまく暮らすには、どうしたらいいかしら?』


 そうだねえ。と僕が口を開くと、たくさんの犬たちがお座りをする。みんなが一番知りたかった事なのだ。


そうして僕は、かつてのドンが教えてくれた教訓を彼らに語った。


-むやみに吠えない。

-むやみに鳴かない。

-うまくいかない時には辛抱強く待つこと。

-危ないと感じたらしっぽを丸めて静かに逃げること。

-今日を生きていることに感謝すること。

-そして・・・生きる希望を最後まで捨てないこと。



 聞き覚えのある曲が商店街から流れた。


Get Lost -Eric Clapton-


 空の向こうでドンが微笑んだような気がした。


挿絵(By みてみん)


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