表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【捨て犬・イエス】  作者: シュリンケル
16/20

16.コミュニケーション~お友達~

 エリーと、エリーのお父さん。

彼らは僕を理解してくれたようだ。

(少なくとも、「もしかして」のレベルで)


 どうやら僕は他の犬に比べて、彼ら人間の言葉が解るらしい。

それに気がついたのは”お散歩”に行くようになってからである。


 外の世界。


それは僕にとって奇跡の連続だったんだ。


---


 散歩の途中で出会う僕の友達。

彼らと僕は常にお互いの情報を交換しあうのだ。


 『いよ!大統領!今日もステキな匂いがするね』 彼はポチ。お調子者のビーグルだ。


 『昨日さぁ。道に落ちてた黒い物を食べちゃって・・・お腹痛いんだよなあ。お前も気をつけろよな』 彼はポメラニアンのニン。食いしん坊だ。


 『あら~ん。イエスちゃん。あたしんち、すぐそこなのよ。遊びに来ない?』 彼女はメル。最近色気を覚えたウェルシュ・コーギーだ。(僕には荷が重いよ)



ある日のこと。


メル(色っぽいウェルシュ・コーギー)が僕に言った。

 『ねえイエス。うちのご主人様ってあたしを見るたびに悲しそうに何かを訴えるのよ。何故かしらね?』


 僕はエリー(ご主人様)と楽しそうにお話しているメルのご主人様の言葉に耳を向ける。

(僕が耳を傾けると、光の”妖精”が頭上に現れた)

そして、人間達の言葉が僕の耳にすんなりと入ってくる。


『君は食べすぎてしまうからダイエットさせないといけないって。心臓に負担がかかるんだってさ』

僕は人間同士で話している内容をメルに教えた。

(当然、彼女にも理解できてると思っていたのだ)


僕の言葉を聞いて、メルが真剣な顔になる。

『あんた、なんで分かるの?あたしの身体の秘密を』 彼女はそう言って深呼吸をした。


そうして僕は説明したのだ。

僕が理解できる人間の言葉を。

みんなにも聞き取れると思っていた事を。


”言葉を全て理解できる”


その噂はあっという間に近所へと広まっていった。(交友の広いメルが情報源となったらしい)



 その日から、僕は犬達の相談役に任命されることになった。



お散歩の帰り道、暖かさの混ざった強い風が辺りに吹き付けていた。


 季節は春を迎えようとしていた。


挿絵(By みてみん)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ