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【捨て犬・イエス】  作者: シュリンケル
13/20

13.夢の続き

 ふと気がつくと、僕は真っ黒な闇の中で佇んでいた。


辺りを見渡して鼻をひくひくと動かし、匂いを確認するけれど

この場所を示す情報が僕には確認できなかった。


僕の鼻、どうかしちゃったのかな。


不安になってふらふらと辺りを歩いてみる。

歩くたびに足元の地面がふわふわと揺れる。


 ここはどこ?エリーはどこにいるの?


僕の不安は大きくなり、周囲の闇は深みを増して行く。

僕は闇の一番暗い部分へ向けてやみくもに歩いてみる・・・そこで僕は分厚い”壁”に突き当たった。

その”壁”は僕の侵入を拒んでいるように感じた。



しばらくすると壁の向こう側から何かが近づいてくる音がした。

僕は気配を伺う。



 『ようイエス』 闇の壁がぶわわっと震え、壁から何かが滲み出してきた。


「・・・ボス?」 僕は小さな声で聞いてみる。


『あぁそうだよ』 ボスはとても低い声で僕に答える。


でも僕にはボスの姿がうまく見えなかった。


「ねえボス、よく見えないよ。あんたが見えないよ」 と僕は言ってみる。


ボスは首を振った。

それでいいんだよ、と首をふるのだ。


『いいかい、イエス。俺はもう死んだんだ』 とボスは話を始めた。


- お前は生き延びた、とボスが言う。

俺の言った通りだっただろ、と嬉しそうに言う。


 俺は死んでこれからあっちの世界に行くんだ。

なんだか随分楽しい事になるらしいが、それは死んだ奴の特権さ。

お前はこっちの世界を楽しむんだ、その義務があるんだよ。


 何のために生きるのかって?

そんなの分からんよ。 -


『その答えはお前が自分で見つけるのさ』

そういうとボスの形をした影はすぅっと壁から消えていった。


 ボスが消えると壁は闇と共に消え始めた。


 そうして僕は夢から覚めたのだ。


---


 目を開けた僕を心配そうに覗き込むのは・・・エリー!


僕のご主人様だ!


 僕は身体を起こし、全身で表現する。

ありがとう!うれしい!大好き!って。


 エリーは僕のキスを顔中で受け止めて抱きしめてくれる。

「おはよう!イエス!」


 夢の続きは、ステキな現実だったんだ。


挿絵(By みてみん)


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