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【捨て犬・イエス】  作者: シュリンケル
12/20

12.家族の始まり

 あの日から、”イエス”はわたしの家族となった。


動物愛護センターから坂東の車に乗って、わたしの住むマンションに連れ帰ったあの日。


帰り道に見かけたペット用品専門店で、”イエス”は坂東からささやかなプレゼントを贈られた。



犬用のトイレ。

寝床には暖かい毛布。

水飲み用の入れ物。

ごはんの入れ物。

散歩用のリードと胴輪。

食べ物には缶詰やカリカリのドッグフードを。

(食べ物は自炊でも可能だと教わったわ)


帰り際に渡された、イエスより大きな”ぬいぐるみ”。(これはイエスの一番お気に入りになったの)


 坂東はわたしに言った。


「ありがとう、エリー」 俺はエリーを誇りに思うよ、と彼は言ったのだ。


でも、と言いかけるわたしの事をイエスと一緒に抱きしめる坂東。


「たとえ一匹でも、エリーは救えた」


その言葉が分かったのか、わたしと坂東の顔をイエスがぺろぺろと舐めた。


 玄関先でイエスを抱いたまま坂東を見送り、わたしは空を見上げた。


空には三日月が浮かんでいた。(明るく密やかに輝いていた)


-ベルガマスク組曲 第3曲「月の光」 (ドビュッシー)-


わたしの中で、曲が流れ始めた。


 イエスはわたしの顔を見つめ、そして三日月に顔を向けた。



風が吹き、わたしとイエスは見つめ合う。


そうしてわたしたちは、我が家に戻ったのだ。


 三日月に見守られて。


挿絵(By みてみん)


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