11.お散歩♪(そしてドッグラン!)
玄関のドアを開ける。
お外の爽やかな空気が吹き付ける。
(さむーい!でも気持ちいい!)
身体をぶるぶるっと思い切り震わす。外の空気は僕に元気を分けてくれる。
エリーが「じゃあ、お出かけしよう!」と合図する。
ワン!! と僕は一声鳴き、走り出す。
なんて表現したらいいんだろう。
僕は道の真ん中で思わず立ち止まり、辺りの匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。
冬の寒さの中に、次の季節の匂いが感じられる。
たくさんの植物の匂いが満ちている。
空を見上げると、たくさんの鳥たちが横切っている。
猫の匂いもする。
仲間(犬)の匂いもする。
たくさんの情報が、漂っている。(犬である僕達は、匂いから情報を学ぶのだ)
僕は、飽きることなく周辺の匂いをチェックして歩いた。
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そしてエリーが連れて行ってくれたのは”ドッグラン”だ!
(ドッグランでは自由に走り回れるんだって!)
大き目の柵に囲まれたその場所は、土の地面がむき出しの広場だったんだ。
柵の中に入り、リードを外されて、僕は背中を押された。
わーい!
僕は広場を駆け回った。
(たぶん、尻尾とかまるくなっていたと思う)
そこには、いろんな犬が集まっていた。
彼らが言うには、ここは社交場らしい。
最近どうなの?危険な情報はなかった? と彼らは常に確認していた。
僕は正直に今までの経緯を話した。
死に掛けた事や、監獄から助け出された事などを。
彼らは口を揃えて教えてくれた。
君は非常に運がいいって。
そして、ここにいる僕らみんなが運がいいんだって。
”命を与えられた”んだって。
それが僕らの主な会話だった。
「ペットだからねえ」 その日、柵の端に近い木の根元で僕はおしっこをかけながらトイマンチェスター・テリアのオス犬と会話をした。
ビルと呼ばれたその犬は、寡黙に話を続けた。
「ペットは飼い主によって人生が決まるんだねえ」 と彼は言う。
「君は本当にいい飼い主に出会ったね」 彼はそう言うとしっぽを振って祝ってくれた。
僕は帰り道、”飼い主”エリーを改めて見上げた。
彼女は視線を感じて、僕をすぐに見つめてくれた。
-これが「家族」というものなんだろうか。
僕は首を傾げる。
何かが伝わったのだろうか。
エリーが僕を抱き上げる。
「あたしたちは、”家族”だよ!」
これは『奇跡』だよね♪