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10.新たな生活
僕は夢を見ているのだろうか。
朝の木漏れ日が暖かく降り注ぐ。
僕の身体に。僕の眠るふかふかの毛布の上に。
僕は生きてるんだ。
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”ピッピッピッピピピ・・・・”
聞きなれない音が隣の部屋から響き渡る。
(僕は身体を固くして身構えた)
やがて、部屋の奥でばたばたと物音が続き、僕のところへ駆け寄って来る。
”エリー”だ!
僕は緊張を解いて、全身で喜びを表現する。
ありがとう!(助けてくれて)
大好き!
エリー大好き!
「おはよう!イエス!」
エリーが僕を抱きしめてくれる。
うれしい!!
そしてエリーが僕の身体にひものような物を巻きつける。
(これなあに?)
僕はエリーに尋ねる。
首を傾げた僕を見つめると、彼女は「かわいい!イエスってばかわいい!」と喜びの声を上げる。
「これはね、お散歩の時につけるものよ。リードを固定するためにね。そしてお外に遊びに行くの」
(お散歩?それって怖くない?)
再び首を傾げた僕を、エリーは笑って抱きしめた。
それはステキな一日の始まりだったんだ。