ピンク色のシュシュ
放課後の体育館裏に呼び出された高校3年生の沙知。待っていたのは、少し生意気な1年生の坊主頭の彼でした。
夕暮れ時の淡い緊張感と、甘酸っぱい胸の高鳴りを描いたショートストーリーです。ぜひ気軽にお楽しみください!
沙知は、ピンク色のお気に入りのシュシュを使って長髪をポニーテールに結った。
今日は特別な日なのだ。とくにお洒落して学校にゆきたい。
沙知は高校3年生だ。 しかも、もう二学期も終盤に差し掛かっていた時期。受験勉強にも本腰を入れなければならないし、仮に就職するとしても、就活に専念しなけれぼならない。
それなのに、沙知は告白されてしまった。それも今年入学してきたばかりの一年生の後輩にだ。
告白してきた彼の名は、笹川 隆。坊主頭のまあまあのイケメンだ。顔立ちはまだまだ子供っぽさが滲み出てはいるが、決してモテないタイプではなさそうだった。
彼は放課後、体育館裏に来るように指定してきた。沙知にはカレシはいなかったし、片思いの相手もいなかったから、断る理由もないように思えたため、承諾してしまったのだ。
緊張しっぱなしの授業を終え、沙知は陽の傾く中、体育館裏に向かった。
彼の第一声は、
「よう」
というものだった。
「来てくれたんだ。有り難う」
━━先輩に対して敬語!失礼なヤツだ。それとも男尊女卑思想の持ち主?
それが沙知の抱いた第一印象。
隆は、彼らを踏んで粉砕する音を立てながら歩み寄ってきた。沙知との距離が足一歩分にまで近づいた時だ。
スポーツ部にでも入っているのか、色黒で筋肉質な彼と2人きりになっているのに少し恐怖を感じた。その時隆がまた声をだした。
「好きや……。好いちゅう」
四国訛りがあるのか、何弁というのか沙知は知らなかったが、とくに方言などに拘りもなかったので気にも留めずにいた。
ふたりともに、心臓が高鳴っていた。沙知が照れを隠すように空を目だけで見上げたその時。
空気がすう、と動き、ピンク色のシュシュで結った髪が大きく揺れた。
隆の大きめな掌が、冷たい沙知の掌を強くにぎった。お互いの掌は、どちらも細かく震えていた。
沙知の顔は赤味がかっていたが、それがお肌の色なのか、夕陽の色なのかは隆にはわからなかった。
【了】
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
先輩と後輩、夕暮れの体育館裏、そしてピンクのシュシュ――少し青くさくも甘酸っぱい、ふたりの特別な瞬間を感じていただけていたら嬉しいです。
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