【三章】第3話:銀河系ヒーローエピソード2! 教官狩りと光の浄化
無敵の銀河戦隊を結成した俺たちだったが、一つの問題に直面していた。
それは「素材の供給源」である。
ならばどうするか? 答えは簡単だ。供給源ごと、新しく創造してしまえばいい。
「……あれから3度、例のヒーロークエストを周回してみたんだが、どうにも変身ベルトが出ないな」
俺はインベントリに並んだ戦利品を見ながら、コンソール越しにため息をついた。
『そうなんですよね、マスター。宇宙海賊の艦隊と戦うシナリオなので、敵を倒してもドロップするのが「海賊のカットラス」や「宇宙海賊の眼帯」といった海賊系装備ばかりで……せっかくのヒーロー戦隊なのに、手持ちのアイテムが少し寂しいことになっています』
ゼノンのホログラムも、申し訳なさそうに眉尻を下げている。
AIゲームマスターは、クエストの「フレーバー」に忠実だ。海賊と戦えば海賊のドロップが出る。至極真っ当なゲームバランスの仕様である。
「ということで、次の作戦だ」
俺はキーボードに指を走らせ、新たな設計図の草案を開いた。
「クエストを次の段階へ進める。『銀河系ヒーローエピソード2』だ。前回の防衛戦の活躍を認められて、物語の舞台はファンタジー世界から宇宙の『銀河ヒーロー本部』へと移行する」
『おおっ! ついに宇宙へ進出ですね!』
「ああ。そこで、ヒーローとしての厳しいトレーニングと、正式な認定試験を受けるクエストを作るんだ。……ゼノン、ここからが重要だぞ。このクエストで出てくる敵を、すべて『宇宙変身ヒーローの教官』に指定する」
『えっ? 敵を、教官に……?』
ゼノンが瞬きをし、そして数秒の演算ののち、ポンッと手を打った。
『ッ……なるほど!! 敵の排出アイテムが敵の属性に依存するなら、登場する敵をすべて「正義のヒーロー」にしてしまえばいいのですね! そうすれば、ドロップする素材はすべて最高の「ヒーロー系素材」で固定されます!』
「その通り。そして、これを見てみろ」
俺は手持ちのカードデッキの中から、数枚のカードをピックアップして表示させた。
それは、道中で手に入れた「血塗られた魔剣」や「怨念の呪符」といった、禍々しい闇属性の攻撃カードだった。威力は高いが、輝かしい銀河戦隊には致命的に似合わない。
「教官からドロップした『ヒーロー武器』を、この禍々しいカードたちに合成する。そうすれば、システム側は2つの相反する要素の辻褄を合わせるために、かっこいい戦隊物の武器に絵柄すら浄化して出力してくるはずだ」
『悪魔的……いえ、最高にヒーロー的な発想です!! 闇の力を光のテクノロジーで制御した「新兵器」の開発ですね! マスター、すぐにクエストプロンプトを組み上げましょう!』
ゼノンは興奮のあまりホログラムの輝度を上げ、猛烈な勢いで命令文を最適化していく。
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【ミッション:銀河ヒーロー本部・正式認定試験】
前回の活躍が認められ、勇者たちはついに宇宙の「銀河ヒーロー本部」へと招かれた!
ここで行われるのは、真のヒーローとなるための厳しい実戦トレーニング。
立ちはだかるのは、歴戦の勇士である「宇宙変身ヒーローの教官」たちだ!
※システムへの絶対条件:
・出現する敵はすべて「ヒーロー教官」または「防衛システムの訓練兵器」とすること。
・クリア報酬およびドロップアイテムは、今後の武器合成の触媒となる「正義」や「光」「SFテクノロジー」のタグを持ったヒーロー専用装備・素材のみを確定で排出すること。
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『完成しましたマスター! これでAIゲームマスターも、ノリノリで教官たちを送り込んでくるはずです!』
「よし、完璧だ。ファンタジー世界で培った闇の遺産を、俺たちの手で銀河の正義に染め上げてやろうぜ」
俺たちは悪い笑顔で頷き合い、新たな素材の宝庫(という名の教官たち)が待つ宇宙の訓練場へと、意気揚々と出撃するのだった。
【後書き】
「敵から欲しい素材が落ちない? ならば、敵を味方陣営の教官に変えてしまえ」
という、ドロップテーブルの強引なハッキング(笑)
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