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薔薇のオルゴール 〜次はあなたが傷つけばいい〜  作者: Ryo-No-Suke


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1/13

プロローグ


 夕方から降り出した雨は雷を伴い、激しさを増している。厚い雲に隠されていた太陽は、誰にも気付かれることなく西の地平線へと沈み、暗闇が街を包み込む。

 電気がついていない部屋。テレビがついており、画面が変わる度に部屋の色も変わる。

 夏に開催を控えた、パリオリンピックの代表選手を紹介するナレーションが響く。

 そしてリビングテーブルの上のオルゴールの優しい音色が、テレビの声と共存する。

 オルゴールは小さな光をまとい、ゆっくりと回転している。

 豪雨が地面を叩き、雷鳴が夜空に轟く。稲妻が放つ強烈な光が窓から飛び込んできて、ソファに座る美冬の横顔を照らした。

 生気を失くした美冬の瞳はオルゴールに向けられ、美冬は人形のように動かない。音も、光も、美冬には届いていなかった。

 切り裂くような雷鳴の一瞬後、テレビが消えた。リチウムバッテリーを動力源としているオルゴールは、尚も回り続けている。


 薔薇のオルゴール。


 ガラスドームの中で気高く咲く一輪の薔薇。深紅の花びらの下から金色の茎が伸び、黄金の葉を付けている。

 LEDランプが薔薇を妖艶に浮かび上がらせ、ガラスドームがランプシェードとなって暗い部屋に光を拡散させる。

 

 停電をもたらした稲妻の後、雷は次第に遠のき、雨足も弱まっていった。

 薔薇のオルゴールの光が、美冬の顔を妖しく照らす。表情がなくなっていた美冬の瞳に、光が戻っていた。口元に薄い笑みを浮かべた美冬の、唇が小さく動く。

「次は、あなたが傷つくのよ……」

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― 新着の感想 ―
なんの気なしにこちらのサイトに辿りつきました。 薔薇好きな私が薔薇のオルゴールというタイトルに導かれるように読んでみたら めちゃくちゃ楽しかったです。 一話楽しかったです。 通勤時間に最後まで読んでみ…
2025/11/16 21:51 ピンクちゃん
何かこれから起こる事が期待される内容で 読者をワクワクさせる感じがして今後が楽しみです。 最初から引き込まれますね。
どんな物語が始まるのかワクワクする プロローグでした。
感想一覧
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