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第4章:愛の告白と新たな未来

 アルトハイム領での生活が始まって三ヶ月が経った頃、領地は劇的に変化していた。


 特産品の売上は前年比300%を記録し、新たな雇用も生まれた。領民たちは皆、生き生きと働いていた。


「エリザベート様のおかげです」


 レオンが嬉しそうに報告した。


「領民たちも『エリザベート様が来てくださって本当に良かった』と口々に言っています」


「それは皆さんが頑張ってくださったからです」


 私は心から嬉しかった。前世では企業の再生ばかりやっていたが、一つの共同体を発展させる喜びは格別だった。


 その夜、レオンが私を領地を見渡せる丘に案内してくれた。


「綺麗ですね」


 夜景に灯る明かりを見て、私は感嘆した。三ヶ月前より確実に灯りが増えている。


「エリザベート様」


 レオンが振り返った。


「僕には告白があります」


「告白?」


「はい。実は僕は……前世からエリザベート様を愛していました」


 彼の真剣な表情に、私の心臓が跳ねた。


「ゲームの中のあなたに恋をして、現実の恋愛に興味を失うほどでした」


「レオン様……」


「この世界に転生できたのは、きっと神様が僕にチャンスをくれたんだと思います」


 彼が私の手を取った。


「エリザベート様、僕と結婚してください」


 月光の下で、彼の瞳が真摯に私を見つめていた。


「僕は前世も今世も、あなただけを愛しています」


 私は胸がいっぱいになった。こんなに私を理解し、愛してくれる人がいるなんて。


「はい、レオン様」


 私は彼の手を握り返した。


「喜んで」


 彼が私を抱きしめた瞬間、私は確信した。これこそが私の求めていた愛なのだと。


---


 それから半年後、私たちは結婚式を挙げた。


 アルトハイム領の教会で行われた式典には、近隣の領主たちや王都の商人たちが祝福に駆けつけてくれた。意外にも、アレクサンダー王子からも祝いの品が届いた。


「彼も反省しているのでしょうね」


 レオンが苦笑いしながら言った。


「リリアとの結婚生活、うまくいっていないそうですから」


「そうなのですか?」


「はい。ゲーム通りなら、リリアは王子と結婚後、実は腹黒だったという設定が明かされるんです」


 私は驚いた。


「ヒロインが腹黒?」


「隠しルートでしか分からない真実ですが、リリアは計算高く、自分の地位向上のためなら何でもする女性だったんです」


 なるほど、それでアレクサンダーも後悔しているのだろう。


「でも僕たちには関係ありませんね」


 レオンが私を見つめた。


「僕たちは僕たちの幸せを築いていきましょう」


「ええ、そうですね」


 私たちの結婚から一年後、アルトハイム領は王国で最も繁栄する領地の一つになった。私たちの経営手法は『アルトハイム・メソッド』と呼ばれ、他の領主たちが学びに来るようになった。


 私は毎日が幸せだった。レオンは私の能力を理解し、尊重してくれる理想の夫だった。


「エリザベート、今日も一緒に頑張ろう」


「ええ、レオン。あなたと一緒なら何でもできます」


 私は時々思う。もしあの日、レオンが助けてくれなかったら、私はどうなっていただろうか、と。


 きっと一人で領地再生に挑み、それなりの成果は上げただろう。でも、こんなに深い愛と理解に満ちた人生は歩めなかったに違いない。


 運命とは不思議なものだ。前世でゲームをプレイしていた青年が、ゲームの世界で私を救ってくれるなんて。


 私の書斎で、レオンが新しい事業計画を練っているのを見て、私は微笑んだ。


「今度は何を企んでいるのですか?」


「隣国との貿易協定です。エリザベートのアイデアを参考にさせてもらいました」


「私一人では思いつかなかった案ですね」


 私たちは顔を見合わせて笑った。


 前世での出会いが、今世での運命的な愛を生んだ。そして私は確信していた。


 レオンと一緒なら、これからどんな困難が待ち受けていても、必ず乗り越えられると。


 私たちの愛の物語は、ゲームの枠を超えて、今、まさに始まったばかりなのだから。


【完】


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