第2章:驚愕の告白
王宮の庭園で、私はレオンと二人きりになった。
「改めて、助けていただき、ありがとうございます」
「いえ……実は、僕には話さなければならないことがあります」
レオンが真剣な表情になった。
「エリザベート様、あなたは……前世の記憶をお持ちですか?」
私は息を呑んだ。
「なぜ、そのようなことを?」
「僕も転生者だからです」
レオンが静かに答えた。
「前世の僕は、佐藤太郎。25歳の会社員でした。そして──」
彼は少し照れたように頬を染めた。
「『薔薇と剣の学園物語』の大ファンでした」
「え?」
「僕はこのゲームを147回クリアしました」
彼の言葉に、私は言葉を失った。
「全ルート、全エンディング制覇です。アレクサンダールート、第二王子ルート、騎士隊長ルート、隠しキャラルート……すべて攻略しました」
「ま、まさか……」
「はい。だから僕は知っているんです。マーガレットが真犯人だということも、メアリーが買収されていることも、すべて」
レオンが私を見つめた。
「そして……僕はどのルートでも、あなたに魅力を感じていました」
「私に?」
「悪役令嬢エリザベートは、確かに意地悪で高慢な設定でした。でも、その芯の強さ、信念を曲げない姿勢、そして誰よりも純粋な愛情……僕はそこに惹かれていました」
私の心臓が激しく鳴った。
「特に、隠しルートのエリザベート様は素晴らしかった。領地に追放された後、たった一人で経営改革を成し遂げ、民を豊かにする姿は……」
「隠しルート?」
「あ、ご存じありませんか? 特定の条件を満たすと開放される、エリザベート様がヒロインになるルートです」
私は驚愕した。そんなルートがあったなんて。
「僕はそのルートを50回以上プレイしました。何度見ても、エリザベート様の成長と愛の物語は美しくて」
レオンの瞳に、真剣な光が宿っていた。
「だから僕は、この世界に転生したとき決めたんです。今度こそ、エリザベート様を幸せにするって」
「レオン様……」
「僕と一緒に来てください、エリザベート様。僕の領地で、あなたの本当の力を発揮してください」
彼の手が、私に向けて差し出された。
「僕は前世で学んだあなたの経営手法をすべて覚えています。二人でなら、どんな困難も乗り越えられます」
私は彼の手を見つめた。この人は、私のことを誰よりも理解してくれている。前世の私も、今世の私も。
「分かりました」
私は彼の手を取った。
「一緒に参りましょう、レオン様」
「ありがとうございます、エリザベート様」
彼が私の手にキスをした瞬間、私の心に暖かいものが流れた。