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その頃欧州では

1936年夏  ドイツ帝国ベルリン王宮


「そなたが新しい宰相か」

「新たに議会により選出されましたアドルフ・ヒトラーにございます」

「ヴィルヘルムを盛り立てドイツが強い国であり続けるようにな」

「畏まりました。全身全霊を尽くします」

(ふん。どうだかな)

「?いかがなされましたか」

「何でも無い。下がって良い」

「失礼いたします」


 彼奴がヴァルハラに旅立ち7年か。父の代から忠告を聞いて戦乱も無く栄えてきたが、最近景気も良くないし民族主義とかが台頭してきている。どこで間違えたかな。やはりモスクワ大公国への対応か。奴はフィンランドに手を出させるなと言っていたが、余が許したのだった。あそこからか。奴はモスクワ大公国を今の規模にしておけ、と言っていたな。

 最後の指示というか出来たらやって欲しいことに軍縮会議の開催があり、機を見てやった。海軍力の制限が思いのほかきついが、大西洋で偉そうな態度を取る必要もないのであの程度で十分だろう。我が国は陸軍国だしな。

 それからイギリスやフランスと疎遠というか意思の交換が思うようにいかなくなった。母上も怒っていた。民族主義の発言が目立つようになってきたのもこの頃だ。

 ロシア帝国を分断して小さくしたのは正解であったが、モスクワ大公国があれほどに言うことを聞かないとは。誰がモスクワ大公国発足を手伝ってやったと思っているのだ。やったのは父上だがな。

「絶対に民族主義を目覚めさせるな。いいな絶対だぞ」と言っておったが、一部で最近うるさいのよ。奴の言う民族浄化は聞いても恐ろしかった。我がドイツ国民の行いとは思えなかった。だから余も目覚めさせてはいかんと考え様々な手法で尖鋭化を押さえ沈静化を図ってきた。しかし、動き出してしまうとこうも厄介とは。先ほど目の前にいたヒトラーなど奴の言う悪魔だぞ。民族主義を上手いこと使って政権の座に着いた。ただ、聞いていた動きと今の動きは全く違う。ドイツが奴のいた歴史を辿っていないからだろう。願わくば、悪魔の降臨でないように。





1936年秋

 

 ドイツ皇帝ヴィルヘルム二世退位。

 新たな皇帝に皇太子ヴィルヘルム・フォン・プロイセンが即位した。



1937年春


 ドイツ帝国が陸軍の定数を増加させる。パリ軍縮会議の規定で1,000万人あたり5万人とするならば、人口7500万人のドイツ帝国なら37万人は許容範囲であるとして35万人まで拡充するとした。1937年現在は30万人で陸軍29万人、空軍1万人であった。その5万人の中で空軍に充てる人員が4万人ということから空軍力強化以外の何物でもなかった。

 世界的な景気後退により落ち込んだ景気を軍事力強化という政策で持ち上げるのが目的だ。お題目は。同時にドイツ帝国国内で民族主義という勢力が目立つようになってきていた。

 景気浮揚策として全土にまたがる高速道路網の建設や国民車構想も盛り込まれている。


 フランスは慌てる。イギリスは直接国境を接していないし、航続距離的に問題なさそうだった。

 1920年代のフランスは、普仏戦争で落ち込んだ国内景気と世情を植民地の収益でようやく落ち着かせて景気をまだ上げていこうという頃だった。1930年代に入って景気は良くなっていた。だが、そこに待ち受けていたのが世界的な景気後退であった。

 そして1937年。国境を接するドイツ帝国が、軍事力強化に踏み切った。今やるなよ。と思いながらも対抗せずにはいられないのがヨーロッパの中央を自負するフランスだった。

 何だったらアルザスロレーヌを取り返す。ここまで望んでいた。しかし、人口5000万人のフランスにドイツと対抗出来る陸軍と空軍を作り出すことも維持も不可能だった。


 フランスにとって持つべき物は友、ということからイギリスに助けを求めた。もちろん誇り高いフランスであるから、直接助けてなど言わない。対ドイツ共闘をしないか。

 イギリスにとってもフランスがやられれば次はイギリスであり、対ドイツ共闘は頷ける物で仕方なしに消極的な共闘態勢を構築することとなった。

 海軍力はフランスも合わせればドイツなど恐れることは無かった。陸軍もイギリスが支援すればフランス国内を蹂躙されることは無いだろうという見通しが立った。

 懸念は補給物資の共通性に欠ける事だった。イギリスはヤードポンド法だがフランスはメートル法である。ネジ1個から共用で使えない。

 結局、現用の武器弾薬共用化は諦め軍用補給品にはヤードポンド単位とメートル単位の比較表を記載することで当面はしのぐとした。


フリードリヒ三世時代とヴィルヘルム二世時代は政治力を持った謎の転生者が影響をもたらしていた模様。

1932年くらいから世界的な景気後退局面へと移っています。日本も当然連動して景気悪化しています。

ドイツもフランスも人口が多いのは第一次世界大戦で出生に関わる年代が減っていません。イギリスも中欧もモスクワ大公国もです。モスクワ大公国の人口が少ないのは支配か地域が独立してしまったので、国土がモスクワ周辺から黒海辺りまでだけになってしまったからです。

スペイン風邪の死者が抗生物質の出現で半分程度まで減っていますので、戦争の犠牲者が少ないことも含め世界の人口は史実よりも多いです。


機関銃でエリコン20ミリFFはドイツ帝国が健在なので無いと思います。ドイツの他の会社かな。ボフォースのドイツ系火器も無いでしょう。しかしボフォース40ミリはドイツ関係ないので在りますね。イスパノ・スイザHS404もエリコン系なので無しかと。

日本の航空機関銃・航空機関砲は、ヴィッカースとホチキスやブレダが原型になると思います。ブローニングも有るかもしれない。どうしよう。九九式20ミリ機銃はどうしましょうね。


次回更新 8月07日 05:00です。


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なんでドイツの転生者は民主主義否定してるの?
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