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1980 日本

 コンピューター技術の発達は家電製品など電子部品を大量に使う製品の増加もあり、半導体技術の劇的な発達も同時に進行した。

 音響機器では真空管は過去の物とされ一部の愛好家向けになっていく。テレビも真空管が無くなり発熱量の低下と小型化が進み省電力が進む。

 自動車などの輸送機器もエンジンの電子制御化を進めている。自動車などの輸送機器には排出ガス規制が始まっていた。

 これは転生者達が工場のみならず自動車にも排出ガスの浄化を義務づけるべく早くから活動を始めていたのでメーカー各社の研究開発が進み、混乱も少なく一時的な性能低下も最小限に抑えられている。性能低下を電子制御化で押さえようという試みは概ね成功している。ただ、全車20万円ほど価格が上昇し販売台数は落ちた。まあ、代替需要が有るので販売台数は元に戻るだろう。

 テレビは森田さんの東京音響研究所改めSONICが発売開始したトライトロンブラウン管搭載カラーテレビが大人気で製造が追いつかないらしい。他のメーカーも指をくわえているわけではなく、対抗できるブラウン管開発に余念が無い。テレビの高画質競争が激しい。






 1980年秋 山田一郎自宅


 あ~あ。森田さん。今度こそはかな。ベータマックスを売り出したよ。前世と同じ規格で。大丈夫かね。買ったけど。VHSも去年2年遅れで発売開始して今では激しい販売合戦だ。三倍モードのないVHSなら怖いのはVHS陣営の販売網だけだ。三倍モードが出たら負け確定だろうな。

 

 あ~~~~!こら、ダメでしょ。触っちゃダメと言ったのに。言ってもわかる年でもないな。テープをそこらにほかしておいた俺も悪いんだけどさ。よだれの付いた手でテープを触られてしまった。うん。テープがビチョビチョ。乾かせばいけるかな。とりあえず拭き取ろう。姪っ子はかわいいな。妹よ早く帰ってこい。早く小型のテレビカメラを出せと森田さんに会ったら言っておこう。


 





 1982年 宮城県作並温泉


「えー。君らの言う人口爆発についてだが」

「こんなとこで言う話でもないと思いますが。女性陣も居ませんし」

「そうだねぇ。後で部屋でするか。見掛けない顔も居るが説明してくれるのだろうね、予想は付くがな」

「そうしましょう。いい湯ですね」

「うんうん」


 現職一郎とこ、俺山田一郎は党顧問となっている飯島弘樹前総理大臣と一緒の湯船に入っていた。野党になってしまい護衛が無くなった。気楽になったよと。

 広瀬川に泳ぐ魚が見える。釣れそうだな。

 部屋に戻ると、若干色っぽい人もいるが皆穏やかな顔をしている。温泉効果か。

 護衛の皆さんの分も含めて団体様予約でワンフロア借り切っているので、聞かれる心配は少ないだろう。

 現職総理大臣が来ていないが、前総理から後で報告するそうだ。



「さて、今日は人口爆発についてだが、君らの不安と意見を聞きたい」


 前総理が口火を切った。議長になる気だろう。

 政府側参加者は飯島前総理と現軍令部総長村上浩一大将に前参謀総長前田利之退役大将の三人。前田退役大将はいわゆる前田の殿様である。

 俺たちは俺と木村さんと中村女史。森田さんは来ると言っていたがまだ来ていない。


「まずは、中村君から行こうか」

「私ですか」

「うん。君は他の転生者とは違い考えかもしれない」

「政治思想からですか。もうほとんどありませんよ」

「ほとんどと言うことはまだ残っているのだろう。そこで違う意見になるかもしれない。それを聞きたい」

「まあ、良いですけれど。それでは、言わせて貰いますね。まず、人口爆発は発展途上国で起こり、保健衛生の高度化と普遍化によりいわゆる後進国でも発生します。そしてG5を初めとする先進各国では人口増加は収まりつつあります。10年後には少子化が問題となるでしょう」

「さすがに教師だけあるね」

「もう定年で退職しましたよ。続けます。人口爆発の要因は衛生環境の高度化と経済発展ですが、人口爆発は無策で先進国並みになることはありません。将来の食料危機や資源危機と環境破壊に備えて抑制する必要があります。ここまでにします」

「ありがとう。政治家や役人の間では危機感は無かったが、それほど重大なのかな」

「それについては一郎さんからお願いします」


 なんで俺?皆さん、見ないで下さい。


「えー。一郎です。まず先にこいつらを紹介します。次世代一郎達です。そしておそらく最後の」

「「「何だ最後とは」」」

「いや、もう時代が我々の転生元時代に追いつこうとしているのです。彼らは23才から32才です。あと40年は持ちます」

「見慣れない顔はやはり次代の者たちだったか。ここに居る時点でそうだとは思ったが」

「政府関連施設では緊張すると思われますのでこの機会にしました。護衛の方々からは了解を得ています」


 そこには三人が居た。随分居づらそうではある。俺も経験はあるから気持ちはわかる。


「自己紹介を。太田君から行こうか」

「あ、はい。ご紹介にあずかりました太田一郎です。年齢は28才。職業はアニメ関連です」

「え、つぎ私?では。自己紹介いたします。牧村葉子です。年は言いたくないですが角田さんよりは若いです。職業は女優です。売れていませんけれどね」

「最後は私です。篠田三郎です。同じ名前の役者さんがいますが別人です。年も近いのでよく間違われます。職業は()()の会社員です」

「三人以上は見つかっていますが、協力してくれると了承を得たのが三人だけでした」


「アニメ関連の太田君と女優の牧村さんは山田君が見つけたのか」

「そうです。だいたい発言が迂闊に過ぎますのでわかりました。周囲からは変わり者としか思われていませんのでご安心を」

「篠田君は」

「それがですね。そこに居る木村さんからの紹介です」

「と言うと勤め先が同じなのか」

「はい、後輩になります」

「ボロを出したのか」

「盛大に出しましたね。おかげで製品化が早くなります」

「何の製品だね」

「NANDフラッシュメモリです。世界初だから誤魔化せるかと」

「今まで無かったのかね」

「有りませんでした」

「他には何かやりそうかな?」

「やりそうなので引っ張ってきました」

「君もFETでやらかしているからね」

「昔の話です」


 何を言ってるんだという目で木村を見る篠田。


「あー。篠田君。木村さんはアメリカでバイポーラトランジスタを発表した年にFETを発表しようとしていたんだよ。勿論止めて社内秘にしたけどね。政府の方で発表期日をコントロールすることにしたんだ」

「山田さん。社内に有るFETの開発史に不自然な部分が有るのって」

「そういうこと。NANDフラッシュメモリ開発史にも不自然な部分が残ると思うよ」

「うわ~」

「まあ、おかげさんでバイポーラトランジスタはアメリカが得意。FETは日本が得意と言う棲み分けが出来たわけだが」

「歴史に介入してますね」

「そんなもの世界中で行われているぞ。戦争や一方的に利益をむさぼらなければいいのさ」

「山田さんもですか」

「俺はほとんど意見だけ。歴代一郎の中でも初代は凄かったらしいぞ」


「内輪話はそこまでにしよう。人口爆発のことだが続けるぞ」

「「「「はい」」」」



 ・・・・・・・・・・・・・・・

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人口爆発に対する対策は、途上国や後進国に娯楽を安価で提供し夜のナニをする時間を減らそうという姑息な手段を執ることなった。娯楽にはインフラも必要なのでインフラ整備に協力をするということも。勿論政府開発援助ODAである。


次回更新 10月27日 05:00です。

次回間に合うか。

もう戦争場面は出てこないと思います。出ても数行で終わりだと思います。


トリニトロンは勿論買いました。自作オーディオラックに入る大きさのKVー19HT1という奴です。スピーカーレスでオーディオのスピーカーで聴こうと思ってです。


よだれの付いた手でテープを触られてしまった。うん。テープがビチョビチョ。大人の男の指だと小指くらいしか入らないんだけど、子供の小さな指だと入るんです。あの隙間に。

結構な数のご家庭で有った現象です。


作並温泉。良いですよ。一番下の温泉から広瀬川に泳ぐ魚が見えます。釣り竿持ってったらダメなんだろうな。



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