6話 窮地
グンマが治癒に専念できるよう、囮になる。広場の方に走り出してみせるとカラスはターゲットをこちらに変えてきた。飛んでくる羽根を避けながら木の陰に隠れる。
木の葉の間から空を見上げると目標を見失ったカラスが困ったように旋回していた。
一息ついていると突然地面が割れた。
とっさに横に避けた私のすぐ横に槍のように鋭い木の根が伸びてきた。避けるのが遅れてたらと思うとぞっとする。
つまりはこういうことだ。空から飛んでくる刃のように鋭い羽根。隠れようとすると地面から槍のように鋭い木の根。魔法で攻撃しようにも詠唱に集中させてもらえない。物理攻撃しようとしてもカラスには届かず亀は壁を作り出す。そもそも戦士は負傷中だ。
「これ…勝てんのか?」
つい悲観してしまう。してしまってもしょうがない状況である。
「テレス!先にカラスをやるぞ!」
確かに亀からの攻撃はカラスに比べてぬるい。
ならば、とばかりに詠唱。時間がないから第1階梯。
美の極致たる氷よ出で来よ
氷の第1階梯、氷礫
威力は低く、変わった性能もないが詠唱が短く使い勝手が良い。
直径20cmほどの円錐形の氷が勢いよく飛ぶ。そしてカラスの翼に当たった。大した傷は負わせられなかったがバランスを崩した。
だがそれが良くなかった。カラスは怒ったように羽根を飛ばしてきた。速さも、数も、今までとは段違いだ。
当然避けられるはずもなく、眼前に鋭い羽根が迫る。
(死ぬ…!)
今回は物語の区切れの問題で少し短くなりました。
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