閑話1 グンマとの出会い
閑話ということで、テレスと仲間との出会いを書いていきます。閑話1はグンマ!戦闘狂の僧侶との出会いを書きました。
「よいしょ、よいしょ…よし!」
村を囲むように建てられた柵の隙間をくぐり抜けると広い草原が広がっている。
右手に木の枝を握りしめ、草原に駆け出す。気分は冒険者だ。
「あ!角うさぎだ!」
そういって角も何もない普通のうさぎを追いかける。
猛りし炎よ以て総てを焦がし尽くしたまえ
そう唱えると小さな火の玉が飛んでいく。そしてぎりぎりでかわしたうさぎの足元にほんの小さな焦げを作る。
「あー!逃げられちゃった…」
するとまた別のうさぎを見つけてまた追いかける。
そんなことを繰り返していると突然怒鳴り声が響いた。
「天誅ぅ!!」
背後からの突然の怒鳴り声に驚き、すぐ横によける。
「痛ってぇええ!」
見ると私がいたところに男の子が右手を抱えてうずくまっている。
「ど…どうしたの?」
「なんか面白そうなことやってたから…」
短髪の少し痩せた男の子が話す。
「なんか面白そうなことって…だとしても殴りかかってこなかった?」
「そりゃ…なんとなく」
痛みが引いたのかすっかりテンションの高くなった男の子はさも当然かのように言った。
「なんとなくって…なんとなくで殴られるこっちの身にもなってほしいんだけど?」
「うーん、まぁわかった」
「わかったならいいや」
「じゃあバトルしようぜ!」
「なんで!?」
突然バトルとか言い出すし、こいつはどんな思考回路をしてるんだろうか。
「うぉりゃああ」
殴りかかって来たので足をかけてころばせる。
「うぉお!?」
ギャグかというくらい盛大にころぶ。
「お前…やるな!」
何が「やるな!」なんだろうか。
「もう1回だ!」
「ちょっと待ってよ!」
聞かずに今度は頭突きをしてくる。
避けようとする直前に男の子が宙に浮く。
見ると背の高い僧侶に首根っこをつかまれて持ち上げられている。
「グンマ!お前はまた修行をほっぽり出して!」
「痛いって!だってつまらねえもん!」
「はいはい、さっさと帰るぞ」
グンマと呼ばれたその男の子は何かを喚きながら僧侶に引きずられていった。
「何だったんだろう…」
その時は深く気に留めなかったのだが、それからというもの、その男の子は私が一人で冒険者ごっこをしているとよく乱入してきた。大体しばらくすると僧侶に連れ戻されるのだが、連れ戻されてしばらくするとまた戻ってきたりと好き放題やっているようだ。やがて仲良くなると、2人で村の人にいたずらを仕掛けたり冒険者ごっこをしたりということをするようになった。
これが私とグンマの出会いだった。
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