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第十話 悪戯好きって誰の事③

今回会話がほぼないです。ずっと自分の考えに沈んでいて、これからの事を考えようとしていません。本当に良いのでしょうか。


 ログネル王国の民が、ログネル貴族への無礼に怒っている。それぞれの国での庶民たちからの王族への評判が落ちてきている。


 こんな噂は今の時点では、たいして有利には働かないのだろうけど、そのうちにおおっぴらに言われるようになり、アランコの民の不安は増すことだろう。ログネルと言う大国が相手となっているため、庶民の不安はいつか戦火に巻き込まれるのではと気が気ではないのかもしれない。更に言えば、アランコ王国は特にログネル王国と国境を接している。攻め込まれる可能性は高いと、民は不安視しているだろう。


 ちなみにあまり知られていない事だろうが、アランコ王国軍の総数は、ログネル王国の一番領地の広い大公の持つ領軍とほぼ同数になる。だからと言って、大公の持つ領軍がアランコ王国を攻めるわけではないが、国力の差は、ログネル王国とアランコ王国では雲泥の差がある。つまり、このことはログネル王国にはアランコ王国を攻めたにしても軍の一部を動かせばアランコ王国の軍と渡り合えるが、アランコ王国の方は、アランコ王国の民全部で臨戦してもログネルの侵攻時の戦線を維持できないことを指す。この国力の差は、圧倒的にアランコ側に不利を敷いており、私がアランコ王国の軍司令官なら攻めてこられただけで対戦することなく白旗を上げることになるだろう、という甚大なものだ。


 今まではログネル王国が、連戦を続けてきたログネルの休息と言うべきもので、体を休めているのに等しい。それなのにだ、怖くて堪らないはずのログネル王国に対し、あの俺様第三王子はログネル貴族に対し、喧嘩を売ったことになる。・・・曲がりなりにもログネル王国の女王陛下お声掛かりのログネル貴族の婚約者選出のための顔見せなのだから。


 と、そこまで考えてふと女王陛下の考えがようやく読めたように思う。


 女王陛下は自ら書を出して顔見せの依頼を出してはいないあの俺様王子が、顔見せをすること自体は構わなかったのだろう。器量が良いと、私があの王子を気に入れば、配偶者となり、そしてアランコの港も破格の利用料での使用許可を取る。そして改めてアランコ王国を併合する手立てを考えるだろう。反対に私があの王子を気に入らなければ、何かの理由を付けてこれまたアランコの港を破格の料金で利用できるようにし、後日機会を改めてアランコ王国を征服するだろう。


 武力を用いるか、融和策で併合するかの違いだけで、どのみちアランコ王国はログネル王国の一地方になる、と女王陛下は考えたのだろう。だから悪戯心を出して、あの顔見せも怒ることもなく静観した。

 そう考えれば妥当だった。


 しかしながらこのエルベン王国の第二王子殿下については、女王陛下自ら書を出して、顔見せをしてほしいと頼んでいた。・・・面子をつぶされたとか言い出すとは思わないけど、あの女王陛下が第二王子殿下の婚約について知らないなどと言うことがあるだろうか。


 あり得るとは思えないのだが、エルベン王国には事前の工作が間に合わなかったとかあるのだろうか。


 そう考えた後、私は宙を睨みながら一つの考えに思い当たった。


 まさか、あの第二王子殿下を気に入っていたとかだろうか・・・。


 そこまで考えて頭を左右に振る。


 ・・・母も今だ美貌は衰えず、若い男性は嫌いな方ではないはずだが・・・、いやそもそもあの第二王子の容姿は、母の好みではなかったはずだ。


 あ、そうだ、・・・母の理想は父のような怜悧な容姿が好みだったはずだ。自分の外見が可愛らしく見えるところが好きではなかったから、どちらかと言うと反対に見える男性が好きで、旧帝国の血筋である大公が王宮を訪問したときに、一目で惚れてしまい、政務を放り出して大公の領地まで会いに行ったという話を幾度となく聞かされたものだ。


 ・・・どちらかと言うと私も怜悧な容姿が好きなのだが、今時はそのような男性はなかなかお目に掛かれないし・・・。あ、ちょっとだけ妄想が入った・・・。


 私の表情は百面相をしているかもしれない。今日のお付きのカイサが、呆れたように私を見て首を振っている。


 「・・・お嬢様、容姿は優れているのに、なぜそのようなお顔をなさるのですか・・・。男性が見たら、百年の恋も冷めてしまいますよ・・・」


 私は、カイサの言葉がよく聞こえていなかったためだ。私は自分の考えにさらに没頭した。


 待て待て・・・。これは下手をすると年齢を重ねた母も好みが変わってきていて、案外あの第二王子殿下の容姿が気に入っているとかはありはしないだろうか・・・。


 そう考えてから、すぐに私は白目をむいたのち苦笑を浮かべた。


 観賞用に容姿の良い男性を飼っておく趣味は、母にはなさそうだ。人は須らく何かの役割がある、それが母の持論だった。だから、あの第二王子殿下を母が飼うなどあり得ない。


 あるとしたら、エルベン王国に貨幣製造について影響を及ぼしたいとかが理由になるだろう。私の婚約者としてエルベン王国から連れてきて、エルベン王国の現王家にあれこれ口を出して、貨幣の価値を下げさせたいとか、鋳造技術をさらに上げて贋金を作らせないようにするとかが、ありそうな話だろう・・・。


 そう考えたときに、母が私が先ほど考えた第二王子殿下を飼うとかの考えを母が知り、怒った母に思いっきり頭を叩かれる姿が脳裏に浮かんだ。その母は残忍な表情を私に向け、平手ではなく握りこぶしを思い切り私に振ってきたのだった・・・。



 











母君は娘にエライ言われようですが、腹黒いのでたぶん気にしていません。ただ、これだけは言えます。母君はもし政略で婿を迎えても、受け入れるだけで会うこともしないでしょう。会ってもうまみがない場合は、スルーしちゃう人です。

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